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【ユーカリ紹介-49】
ユーカリ・エクストリカ (Eucalyptus extrica)

続きまして第49回目は、
先日紹介したpleurocarpaの亜種で
テトラゴナ・グリーンこと
ユーカリ・エクストリカです。

◎ユーカリ・エクストリカ
【学名:Eucalyptus extrica】
【英名:Eastern Tallerack】
fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像1

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像2

以前はpleurocarpaと同種で
Eucalyptus tetragonaという学名でしたが、
近年、その異なる特徴が発見されたために、
Eucalyptus extricaという学名に分割されています。

新しい学名が付けられた今日でも
tetragonaという名称は未だに根強く残っており、
緑色の強いextricaテトラゴナ・グリーンとも呼ばれます。

日本でも切枝としてメジャーなpleurocarpaとは異なり、
知る人ぞ知る、とてもマイナーなユーカリです。

あまりにもマイナーなため、
日本の切枝に混ざっていることは恐らくあり得ないでしょう。

現在、このextricaのタネを販売しているタネ屋は
オーストラリアにただ一つしか見つかっていません。

やはり、extricaの何よりもの魅力は、
エメラルドグリーンの葉と茎でしょう。

pleurocarpaには及びませんが、
それでも他のユーカリと比べると、
白銀色はとても素晴らしく美しいです。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像3

実は、このextricapleurocarpaと同様に、
発芽してからしばらくの間は、
緑色の葉をしており、たくさん毛が生えています。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像4

上の写真の株とその他の写真の株は
全く同じ株になります。

最初育て始めたときには、
別のユーカリ?とさえ思ってしまいます。

この時点でextricapleurocarpa
見分けることはほぼ不可能です。

そのまま成長していき、50cmを超えるくらいから、
急に全ての毛が抜けていき、毛のない葉が生え出します。

葉や茎の白銀色もそのあたりから強くなり出します。

そして、どんどん成長していくに従って、
葉や茎の白みはどんどん増していきます。

extricapleurocarpaの違いは
グリーン/シルバーの通りまずその色です。

確かにextricaの方が葉色がエメラルドグリーンになり、
pleurocarpaの方が葉色が白くなる傾向にあります。
ところが実際は、葉色にはあまり差がなく、
個体差で十分に入れ替わってしまいます。

ところが茎の色にだけははっきりとした違いがあります。
グリーン/シルバーという違いは、葉色ではなく、
その茎の色の違いから来ているようです。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像5

少し写真ではわかりにくいところがありますが、
extricaの方が明らかに緑色が強くなっています。

また、茎の形状が、
強いウイング型をしているpleurocarpaに比べて、
extricaはそこまで激しいウイング型ではなく、
通常の四角形に近くなる傾向が強いです。

他には、extricaの方が葉先が尖り、葉が長細くなり、
脇芽をたくさん出して、横に広がる性質が強いです。
一方のpleurocarpaは、葉が丸みを帯びており、
比較的真っ直ぐに上に伸びる性質が強いです。

下の写真でもわかるように、
すでにたくさんの脇芽を出しています。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像6

それでも、葉の形状や樹形、茎の色だけでは、
なかなか素人目には見分けがつかないこともあります。

亜種として分けられる要因にもなった決定的な違いは、
その蕾・実の形状と色です。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像7

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像8

角があり、四角形のpleurocarpaの実と比べると、
extricaの実はほとんど角が存在せず、
全くもしくは少ししか粉を吹いていません。

この実こそが決定的な識別のポイントですが、
何株もextricapleurocarpaを育てていると、
最終的には、パッと見でわかるようになります。

ちなみにextricaという学名には
抜け出たという意味があり、tetragonaから抜け出した、
特殊な特徴をもったユーカリということになります。

その生息地は、オーストラリア南西部の沿岸地域、
エスペランス東のオーストラリアでも有名な
美しい海岸が広がっている地域です。

extricaは、pleurocarpaの生息地よりも、
さらに東部の狭い範囲の地域に生息しているため、
Eastern Tallerackと呼ばれています。

この辺りは、たくさんの珍しいユーカリが生息する地域で、
沿岸部出身なので、どれも耐塩性がかなり強いようです。

そのため、extricaは、海の傍であっても、
容易に栽培することが可能なようです。

extricaは低木のMallee(灌木型)です。
最高樹高はpleurocarpaよりもさらに低く4m程度で、
より横に広がりやすい性質を持っているようです。

そのため、サイズ的には鉢植えでも管理しやすく、
何よりも数十センチの樹高で開花が見込めます。

以前の記事でも紹介しましたが、
我が家での開花第一号はこのextricaでした。

開花した株は、わずか樹高50cm弱と低いながらも、
とても美しく、繊細で小さな花を咲かせてくれました。

下の写真は最も満開の時の写真です。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像9

こんな魅力満点のextricaですが、
栽培に関しては少し我儘なところがあります。

まず、他の西AZのユーカリの例にもれず、
直射日光に良く当てて、乾燥力の強い用土で、
乾燥気味に育てることが大切です。

水分管理にはかなりうるさいようで、
好む環境が作れていないと、
全くと言っていいほど成長してくれません。

extricapleurocarpaよりも
さらに少しだけデリケートな面を持っています。

私は当初、水分管理がうまくできずに、
一年で5cmしか成長しなかったことがあります。

あまりにも成長が緩慢だったので、
マイペースというあだ名を付けていたほどです。

ところが、ひとたび好む環境を構築できれば、
成長力はalbidaなどよりも遥かに激しくなります。

またひとたび成長力に火がつくと、
夏季の吸水量は半端なくなります。
夏季限定でgunniiなどの吸水量は顔負けになります。

また、激しく粉を吹いているので、
macrocarpaなどと同様に、激しい西日を浴びても
全く葉焼けするようなこともありません。

とにかく、乾燥力の強い用土で、
終日直射日光に当てることが、栽培のポイントです。

真夏は成長が控え目になる植物が多い中、
extricaは真夏でも激しく成長します。

注意するところは、先述した激しい吸水量です。
水が切れると、結構早い段階で葉先に枯れが出ます。

吸水量が激しく、水切れにも弱いくせに、
水分管理にうるさく、過湿を嫌うというのが、
このextrica栽培の最も難しいポイントです。

このextricaを上手く育てるポイントとしては、
育苗初期には少し小さめの鉢で育て、
成長力に火が付いたら、一気に大きな鉢に植え替えるというのが
個人的には良いように思っています。

何はともあれ、早く乾く土で頻繁に乾いて水を与えるという、
栽培では最も手のかかるサイクルを好むユーカリの代表格です。

また、もう一つの成長のポイントとしては、
高い気温のようです。

親愛なるこあら師匠の農場でも、
夏季に40℃を超えるようなビニルハウス内で
ひと際元気に育っていると伺っています。

他のユーカリと比べると少し我儘なextricaですが、
私は西AZのユーカリの入門編に最適だと思っています。

育て方がハッキリしていてわかりやすく、
西AZのユーカリの特徴を掴むのに最適だからです。

また、育苗難易度も立ち枯れしにくく、
西AZのユーカリの中では簡単な部類になります。

ただし、pleurocarpaに比べると、空中湿度に敏感で、
湿度の高い梅雨時期などには、葉に枯れが出たり、
褐班ができることが多くなっています。

毎年、我が家のextricaは、全ての株が、
梅雨時期に何らかしかの葉痛みが発生します。

そのため、pleurocarpaよりも風通しを重視し、
空中湿度をあまり上げないようにする工夫が
必要になってくるかと思います。

気になるextricaの耐寒性ですが、
実はこの耐寒性がextricaのネックになります。

そこそこの樹高にまで育ち、
毛がなくなり、硬い葉に育ったextrica
-5℃程度までは問題なく耐えられます。

ところが毛の生えている間の小さな株は
0℃以上で管理することが推奨となります。
また霜にもとても弱く、激しく葉痛みを起こします。

60cmを超えるような株であれば、
関西や関東の暖地では容易に野外越冬が可能ですが、
小さな間は無加温の簡易温室内で越冬する方が無難です。

無加温であっても、簡易温室内で寒風を防げるならば、
-5℃の環境で、発芽したての苗の越冬実績があります。

この耐寒性の弱さは、extricaの生息地が
ほとんど0℃を下回ることのない地域であることに起因しています。

extricaはとにかく、あまり寒さには強くないユーカリなので、
どうしても葉痛みを避けたい場合には、
寒い夜には簡易温室内に退避すると良いでしょう。

一つ注意するポイントですが、
冬になれば、確かに吸水量は激減しますが、
毛の生えているユーカリは、余り寒い冬を知らないためか、
冬になっても、他のユーカリと比べると水を欲する傾向があります。

とはいえ、1週間に一回程度のペースですが、
安心していると水切れを起こすので少し注意してください。
pleurocarpaと比べると若干乾燥を好むようです。

次に気になるextricaの香りですが、
残念なことに、pleurocarpaと全く同じ香りで、
万人受けする良い香りとは言えません。

現地では、レモンの香りと言う人もいるようですが、
レモンと言うよりは、レモンの皮を砕いたときの生臭い香りに、
シネオールが加わったような、少し渋い香りです。

また、ユーデスモールという漢方成分も含まれているため、
少しスパイシーな薬草っぽい香りにも感じます。

香り自体は決して弱い方ではなく、
指で葉を軽く撫でると香るほどですが、
香りを楽しむユーカリとしては少しキツイかもしれません。

薬草系の香りが好きなマニアの方には
もしかすると喜ばれる香りかもしれません。

fancyboxエクストリカ(Eucalyptus extrica)の画像10

香りはともかくとして、
シルバーのpleurocarpaに対して、
エメラルドグリーンの美しいextrica
明らかに見るものを魅了することのできるユーカリです。

また西AZのユーカリのスタンダードとしても最適で、
ユーカリファンの人にはぜひ一株育ててほしい品種です。

とはいえ、pleurocarpa以上にマイナーで、
タネを手に入れることさえ困難なユーカリです。

ところが、、、このextricaも!
親愛なるこあら師匠の農場では主力商品です。

この美しいextricaを育ててみたい方には
素晴らしい農場を紹介します!

extricapleurocarpaを一緒に育てて、
その違いを見比べてみるのも一興ですよ!

------------------------------
<栽培難易度:C>
香良さ:★
香強さ:★★★
成長力:★★★

要水分:★★
耐過湿:★★
耐水切:★★
耐日陰:★
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2012-08-31 09:26 | ユーカリ紹介
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【ユーカリ紹介-48】
ユーカリ・プレウロカルパ (Eucalyptus pleurocarpa)

続きまして第48回目は、
日本では切枝用としても人気があり、
白銀の葉と茎がひときわ眩しい、
テトラゴナ・シルバーこと
ユーカリ・プレウロカルパです。

◎ユーカリ・プレウロカルパ
【学名:Eucalyptus pleurocarpa】
【英名:Tallerack / Mealy Gum / Silver Marlock / White Marlock】
fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像1

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像2

とても人気のあるpleurocarpaですが
やっとこちらで紹介することができました!

とにかく、日本ではテトラゴナ名で切枝としても有名!
ユーカリの中でも、ずば抜けた美しさを持っています。

このユーカリ、元々はEucalyptus tetragonaという学名でした。
ところが、近年、大きな違いを持った亜種が見つかったため、
Eucalyptus pleurocarpaという学名に分割されています。

その大きな違いを持った亜種は、後日紹介しますが、
先日開花をした、Eucalyptus extricaです。

新しい学名が付けられた今日でも
tetragonaという名称は未だに根強く残っており、
白みの強いpleurocarpaテトラゴナ・シルバーとも呼ばれます。

また一方、緑色の強いextricaについては、
テトラゴナ・グリーンと呼ばれています。

基本的には、このシルバーのpleurocarpaの方が主流で、
日本で見かけるテトラゴナの切枝は、
ほぼ間違いなく、このpleurocarpaのものです。

pleurocarpaの何よりもの魅力は、
切枝でも評価されているその純白の葉と茎です。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像3

葉も茎も非常に強く粉を吹いています。
またその新芽はとても美しく純白そのものです。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像4

実は、このpleurocarpa
発芽してからしばらくの間は、
緑色の葉をしており、たくさん毛が生えています。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像5

上の写真の株とその他の写真の株は
全く同じ株になります。

最初育て始めたときには、
別のユーカリ?とさえ思ってしまいます。

そのまま成長していき、50cmを超えるくらいから、
急に全ての毛が抜けていき、毛のない葉が生え出します。

葉や茎の白銀色もそのあたりから強くなり出します。

そして、どんどん成長していくに従って、
葉や茎の白みはどんどん増していきます。

最終的に立派な木になった株は
下の写真のような美しい純白の外観になります。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像6

他にも我が家で大きく育ったpleurocarpaの写真があります。
詳しくはこちらの記事の写真をご覧ください。

pleurocarpaextricaの違いは
シルバー/グリーンの通りまずその色です。

確かにpleurocarpaの方が葉色が白くなり、
extricaの方が葉色が緑がかる傾向にあります。
ところが実際は、葉色にはあまり差がなく、
個体差で十分に入れ替わってしまいます。

ところが茎の色にだけははっきりとした違いがあります。
シルバー/グリーンという違いは、葉色ではなく、
その茎の色の違いから来ているようです。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像7

また、茎の形状はウイング型という尖った四角形をしています。
茎の断面が忍者の手裏剣のような形になります。

これがextricaですとそこまで激しいウイング型ではなく、
通常の四角形に近くなる傾向が強いです。

他には、pleurocarpaの方が葉が丸みを帯びており、
比較的真っ直ぐに上に伸びる性質が強いです。
一方のextricaは、葉先が尖り、葉が長細くなり、
脇芽をたくさん出して、横に広がる性質が強いです。

それでも、葉の形状や樹形、茎の色だけでは、
なかなか素人目には見分けがつかないこともあります。

亜種として分けられる要因にもなった決定的な違いは、
その蕾・実の形状と色です。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像8

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像9

実の形状は角があり、四角形をしています。
実はpleurocarpaという学名も
その実の形状から名づけられました。

pleuroribという意味でうねや盛り上がりという意味です。
carpaは実ですから、角のある実という意味ですね。

また、その実が白く粉を吹いていることも特徴です。

後日また詳しく紹介しますが、extricaでは、
実に角がなく、ほとんど粉を吹いていません。

この実こそが決定的な識別のポイントですが、
何株もpleurocarpaextricaを育てていると、
最終的には、パッと見でわかるようになります。

pleurocarpaは現地ではその学名よりも
Tallerackというアボリジニ名で親しまれています。

その生息地は、オーストラリア南西部の沿岸地域、
エスペランス東のオーストラリアでも有名な
美しい海岸が広がっている地域です。

この辺りは、たくさんの珍しいユーカリが生息する地域で、
沿岸部出身なので、どれも耐塩性がかなり強いようです。

そのため、pleurocarpaは、海の傍であっても、
容易に栽培することが可能なようです。

pleurocarpaは低木のMallee(灌木型)です。
上に伸びれば、最高5mくらいにはなるようですが、
大体は横に広がって、2~3mくらいのブッシュ状になるようです。

そのため、サイズ的には鉢植えでも管理しやすく、
何よりも数十センチの樹高で開花が見込めます。

下の写真は我が家のベランダの
pleurocarpaの開花写真です!

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像10

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像11

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像12

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我が家のベランダでpleurocarpaが開花!
※更に詳しくはこちらの記事をご覧ください。
------------------------------------------------------

こんな魅力満点のpleurocarpaですが、
栽培に関しては少し我儘なところがあります。

まず、他の西AZのユーカリの例にもれず、
直射日光に良く当てて、乾燥力の強い用土で、
乾燥気味に育てることが大切です。

水分管理にはかなりうるさいようで、
好む環境が作れていないと、
全くと言っていいほど成長してくれません。

私は当初、水分管理がうまくできずに、
一年で5cmしか成長しなかったことがあります。

あまりにも成長が緩慢だったので、
マイペースというあだ名を付けていたほどです。

ところが、ひとたび好む環境を構築できれば、
成長力はalbidaなどよりも遥かに激しくなります。

またひとたび成長力に火がつくと、
夏季の吸水量は半端なくなります。
夏季限定でgunniiなどの吸水量は顔負けになります。

また、激しく粉を吹いているので、
macrocarpaなどと同様に、激しい西日を浴びても
全く葉焼けするようなこともありません。

とにかく、乾燥力の強い用土で、
終日直射日光に当てることが、栽培のポイントです。

真夏は成長が控え目になる植物が多い中、
pleurocarpaは真夏でも激しく成長します。

注意するところは、先述した激しい吸水量です。
水が切れると、結構早い段階で葉先に枯れが出ます。

吸水量が激しく、水切れにも弱いくせに、
水分管理にうるさく、過湿を嫌うというのが、
このpleurocarpa栽培の最も難しいポイントです。

このpleurocarpaを上手く育てるポイントとしては、
育苗初期には少し小さめの鉢で育て、
成長力に火が付いたら、一気に大きな鉢に植え替えるというのが
個人的には良いように思っています。

何はともあれ、早く乾く土で頻繁に乾いて水を与えるという、
栽培では最も手のかかるサイクルを好むユーカリの代表格です。

また、もう一つの成長のポイントとしては、高い気温のようです。

親愛なるこあら師匠の農場でも、
夏季に40℃を超えるようなビニルハウス内で
ひと際元気に育っていると伺っています。

他のユーカリと比べると少し我儘なpleurocarpaですが、
私は西AZのユーカリの入門編に最適だと思っています。

病虫害にも比較的強く、
育て方がハッキリしていてわかりやすく、
西AZのユーカリの特徴を掴むのに最適だからです。

また、育苗難易度も立ち枯れしにくく、
西AZのユーカリの中では簡単な部類になります。

このpleurocarpaを上手く育てることができるなら、
他の西AZのユーカリも問題なく育てることができますし、
このpleurocarpaの育て方をベースにするととても良いです。

気になるpleurocarpaの耐寒性ですが、
実はこの耐寒性がpleurocarpaのネックになります。

そこそこの樹高にまで育ち、
毛がなくなり、硬い葉に育ったpleurocarpa
-5℃程度までは問題なく耐えられます。

ところが毛の生えている間の小さな株は
0℃以上で管理することが推奨となります。
また霜にもとても弱く、激しく葉痛みを起こします。

60cmを超えるような株であれば、
関西や関東の暖地では容易に野外越冬が可能ですが、
小さな間は無加温の簡易温室内で越冬する方が無難です。

無加温であっても、簡易温室内で寒風を防げるならば、
-5℃の環境で、発芽したての苗の越冬実績があります。

この耐寒性の弱さは、pleurocarpaの生息地が
ほとんど0℃を下回ることのない地域であることに起因しています。

pleurocarpaは現地オーストラリアでも栽培用として人気があります。
ところが多くの地域ではpleurocarpaの生息地よりも寒くなるので、
激しい葉痛みが起こりますが、現地の栽培者も親愛なるこあら師匠も、
冬にはある程度は傷むものだと割り切って育てているようです。

pleurocarpaはとにかく、あまり寒さには強くないユーカリなので、
どうしても葉痛みを避けたい場合には、
寒い夜には簡易温室内に退避すると良いでしょう。

一つ注意するポイントですが、
冬になれば、確かに吸水量は激減しますが、
毛の生えているユーカリは、余り寒い冬を知らないためか、
冬になっても、他のユーカリと比べると水を欲する傾向があります。

とはいえ、1週間に一回程度のペースですが、
安心していると水切れを起こすので少し注意してください。

次に気になるpleurocarpaの香りですが、
残念なことに、万人受けする良い香りとは言えません。

現地では、レモンの香りと言う人もいるようですが、
レモンと言うよりは、レモンの皮を砕いたときの生臭い香りに、
シネオールが加わったような、少し渋い香りです。

また、ユーデスモールという漢方成分も含まれているため、
少しスパイシーな薬草っぽい香りにも感じます。

香り自体は決して弱い方ではなく、
指で葉を軽く撫でると香るほどですが、
香りを楽しむユーカリとしては少しキツイかもしれません。

薬草系の香りが好きなマニアの方には
もしかすると喜ばれる香りかもしれません。

fancyboxプレウロカルパ(Eucalyptus pleurocarpa)の画像13

香りはともかくとして、
その美しい外観は明らかに見るものを魅了します。

また西AZのユーカリのスタンダードとしても最適で、
ユーカリファンの人にはぜひ一株育ててほしい品種です。

とはいえ、その辺に簡単に売っているような
超メジャーなユーカリではありませんが、
親愛なるこあら師匠の農場では主力商品です。

この美しいpleurocarpaを育ててみたい方には
素晴らしい農場を紹介します!

私も将来、広い庭を手に入れた暁には、
是非とも露地植えしたいと考えているユーカリです。

------------------------------
<栽培難易度:C>
香良さ:★
香強さ:★★★
成長力:★★★

要水分:★★★
耐過湿:★★
耐水切:★★
耐日陰:★
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2012-08-30 09:13 | ユーカリ紹介
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今年の夏!調子の良いユーカリ
プレウロカルパ/カエシア/ガモフィラ編

先日、ご紹介しました、
今年の夏に調子の良いユーカリのうちから、
pleurocarpa/caesia ssp. magna/gamophylla
の三種をご紹介します。

fancybox記事224の画像1

左から順に
pleurocarpa/caesia ssp. magna/gamophyllaです。

まずpleurocarpaです。
これは我が家で今年一番調子が良いユーカリです。

fancybox記事224の画像2

このpleurocarpaは何と!
1日に二回もの水遣りを必要とします。
成長力も半端なく、葉もとても立派で大きいです。

fancybox記事224の画像3

今年はもっと状態の悪いextricaに先を越されましたが、
来年は開花が見込めるでしょうか? 楽しみです。

次にcaesia ssp. magnaです。
非常に強健なユーカリなので、
昨年までは日照の悪い場所に置いていましたが、
今年からは開花を目指して、フル日光の場所に出しました。
その途端、成長力に火がついて激しく成長し始めました。

fancybox記事224の画像4

このcaesia ssp. magna
およそ1.5日に一回の水遣りを必要とします。
また、水を切らすと、結構早く葉先に枯れが出るので、
水切れには特に注意が必要なユーカリです。

太陽をふんだんに浴びると
ウサギの団扇のように大きな葉に育ちます。

fancybox記事224の画像5

先程のpleurocarpaとこのcaesia ssp. magna
一升瓶との大きさ比較写真です。

fancybox記事224の画像6

そして、今日の最後は、Blue-leaved Malleeことgamophyllaです。
他の二種に比べると幾分か乾燥には強いようで、
1日一回の水遣りで、水切れは防げるようです。

fancybox記事224の画像7

このユーカリはperrinianaのように
ツキヌキ状になる品種なのですが、
今のところ、いくつかツキヌキ状の葉はありますが、
そんなに頻繁にツキヌキにはなっていないようです。

fancybox記事224の画像8

fancybox記事224の画像9

写真では、とても白いユーカリに見えるかと思います。
ところが、ほとんど粉はふいておらず、
純粋に葉色が白い感じになっています。
葉は粉をふくどころか、少し光沢がありツルツルしています。

このユーカリも低木Malleeだからでしょうか?
非常に癖が悪く、真っ直ぐに伸びてくれることはありません。

この三種全てが、比較的低木のMallee(灌木型)ですから、
我が家のベランダでも開花が見込めるかと思います。

このまま傷まずに順調に成長を続けて欲しいものですね。

# by eucalyptus_k | 2012-08-29 20:50 | ユーカリ(栽培実績)
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今年の夏!調子の良いユーカリ・マクロカルパ編

先日、ご紹介しました、
今年の夏に調子の良いユーカリの一つ、
我が家のベランダのmacrocarpaを紹介します。

fancybox記事223の画像1
※比較対象の日本酒の瓶は一升瓶です。

家にはmacrocarpa ssp. macrocarpa
合計で4本ありますが、
そのうちの調子の良い二本です。

右の株は真っ直ぐに伸ばせば
1m弱はあるかと思います。

また葉もとても硬く、
葉の端で手が切れそうなほどの硬さです。

fancybox記事223の画像2

このmacrocarpaは日照が足らないと
酷い生育状況になってしまいますが、
終日直射日光に遮光なしで当たっていても、
全く葉焼けするようなことはありません。

寧ろそのような過酷な日光が必要なようです。

冬はこの大きさでも、数週間に一回しか
水遣りを必要としないほどですが、
今の季節は、とてつもなく水食いになります。

右が終日直射日光の場所に置いてあり、
1日一回の水遣りを必須にしています。

左は午後からのみ直射日光が当たる場所で、
2~3日に一回の水遣りを必要とします。

fancybox記事223の画像3

株元からも新しい芽が二本出だしています。

我が家のように、
日光が一方向からしか当たらない環境では、
なかなか真っ直ぐには伸びてくれません。

来年、もしくは再来年には花が咲くでしょうか?

調子が良いユーカリの中では、
私が最も過保護に育てているユーカリです。

多くのユーカリは、私の過保護な管理を嫌いますが、
macrocarpaは過保護な方が良く育つようです。

fancybox記事223の画像4

fancybox記事223の画像5

# by eucalyptus_k | 2012-08-28 12:58 | ユーカリ(栽培実績)
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今年の夏はユーカリさえも辛い!?

親愛なるこあら師匠のブログによると
今年の夏はとても暑く、
日本の数倍も乾燥しているオーストラリアに生息する
ユーカリでさえも根を上げているとのことです。

家でも暑さで、多数のユーカリが傷んでいます。

主な症状としては、
葉に不規則な褐色の斑点ができたり、
葉の葉緑素が少し抜けて、黄緑色になり、
規則的な斑点ができるというものです。

他には、炭ソ病のように、
葉先の方が不規則に枯れるというのもあります。

これらの症状は当初、
菌類による病気であると思っていました。

ところが涼しい季節には全く起こらず、
真夏の暑い盛り限定の症状で、
秋になって涼しくなると完全に終息するので、
この度、暑さが原因であると判断しました。

また、発生する品種は完全に限定されており、
どれも高山や冷涼な地域に生息するユーカリばかりです。

我が家で特に症状の酷い品種は

Eucalyptus 'Baby Blue'
Eucalyptus pulverulenta
Eucalyptus coccifera
Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila
Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis
Eucalyptus nitens
Eucalyptus risdonii
Eucalyptus tenuiramis

などです。

他にいくつかの西AZのユーカリでも
似たような症状が発生しています。

夏が大好きなユーカリですが、
日本の夏のように「湿潤」が入ると
どうしても参ってしまうようです。

逆に、今年の夏に、
際立って調子が良いのが下記の品種です。

Eucalyptus macrocarpa
Eucalyptus rhodantha
Eucalyptus pleurocarpa
Eucalyptus caesia ssp. magna
Eucalyptus erythrocorys
Eucalyptus gamophylla
Eucalyptus pachyphylla

上記の中でも特に調子の良いのが、
macrocarpa/pleurocarpa/erythrocorys
caesia ssp. magna/gamophyllaです。

これらのユーカリは近日中に
写真で紹介したいと思います。

これらのユーカリは調子が良すぎて、
一日に一回以上の潅水を必要とするものもあります。

私が昼にも水遣りのできる暮らしなので良いですが、
そうでなかったら育てるのが大変です。

調子が良すぎるのも困りものですね。。。

# by eucalyptus_k | 2012-08-27 14:00 | ユーカリ(栽培実績)
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