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【ユーカリ紹介-26】
ユーカリ・モリスビー (Eucalyptus morrisbyi)

続きまして第26回目は
絶滅危惧種に指定されているタスマニア生息種、
銀丸葉が美しく育てやすいユーカリ・モリスビーです。

◎ユーカリ・モリスビー
【学名:Eucalyptus morrisbyi】
【英名:Morrisby's Gum】

fancyboxモリスビー(Eucalyptus morrisbyi)の画像1

fancyboxモリスビー(Eucalyptus morrisbyi)の画像2

このmorrisbyi絶滅危惧種に指定されています。
ところがそれは自生する個体での話のようで、
栽培用の種子としては相応に出回っています。

とはいえ、かなりマニアックなユーカリの一つで、
日本で見かけることはまずないといっていいユーカリでしょう。

タスマニアには美しい銀葉の丸葉ユーカリがいくつか存在します。
皆さんが良くご存知のgunniiはその代表格ですし、
他にもurnigera/rubida/perriniana/archeriなどがあります。
morrisbyiもこの中に名を連ねる一種です。

私がこのマニアックなユーカリを知ることができたのは、
私のユーカリ同好会仲間であるOsakano_Jieさんのお陰です。
Osakano_Jieさんは、この美しいユーカリに、
いち早く目を付けられ、栽培を行ってこられました。
その折にタネをお分けいただいて、育てたのが写真の株です。
>>>Osakano_Jieさんのブログはこちらこちら

morrisbyiはとにかく白く美しい銀葉が特徴の品種です。

fancyboxモリスビー(Eucalyptus morrisbyi)の画像3

gunniiurnigeraに良く似ていますが、
茎も葉と同様に白く粉を吹いておりザラザラで、
葉の周囲はcrenulataのようにギザギザになっています。
また、冬季には新芽が薄ピンク色になり、これがまた綺麗です。

オーストラリアのユーカリに関する文献には、
果実は白く粉を吹き、壺のような形でurnigeraに似る、
大きくなってからの新芽はcordataに似るとあります。
また生息域の環境はgunniiと良く似ているとのことです。

ちなみにこのmorrisbyiという人の名前のような学名の由来ですが、
全くその通りにMorrisby氏が発見したユーカリだからです。

morrisbyiはユーカリの中ではさほど大きくなる方ではなく、
16m程度のねじれたかのような珍しい樹皮を持つ樹木へと育ちます。

fancyboxモリスビー(Eucalyptus morrisbyi)の画像4

また、繊細で美しい外観からは想像できないほどに強健で、
涼しい季節をメインに脇芽をガンガン出して成長していきます。

暑い夏はさほど得意ではないようで、
盛夏にはほとんど成長が進まなくなります。
ただそこまで暑さに弱いというわけではなく、
今のところ高温障害の症状が出たことはありません。

タスマニア生息種には湿地帯を好み、
日陰に対する耐性を持ち合わせている品種が多いのですが、
このmorrisbyiはタスマニア生息種の中でも
かなり日光が大好きな品種といえるでしょう。

半日陰以下の日照の場所では、
生育がかなり悪くなり、ヨレヨレの葉ばかりを生成します。

またこのような葉は酷いうどんこ病
ハダニの被害を受けることにもなるので、
morrisbyiを育てる上で日照はとても重要になります。

fancyboxモリスビー(Eucalyptus morrisbyi)の画像5

家のベランダのように日照が控え目な環境では、
比較的小丸葉で可愛いくヒョロっと育っていきますが、
Osakano_Jieさんのところのように
十分な日照の得られる環境では、
goniocalyxほどではないですが、
中々にたくましい大葉へと育っていくようです。

成長力や外観、その強健な性質を見ていると、
gunniiを育てているかのような気がしてきます。
率直なイメージとしては日光の好きなgunniiといった感じです。

morrisbyiはユーカリ中でもかなりの過湿耐性を備えており、
どちらかというと湿地帯に近い環境を好む品種といえます。
かなり水を好むユーカリで、水切れにもさほど強くはありません。
この辺りもgunniiと良く似ているなと思っています。

このような強健なユーカリが絶滅危惧種に指定される要因として、
一つは元々の生息域がかなり限られていることと、
近年、タスマニアの雨量がかなり減少しているため、
湿潤を好むユーカリ達がそれに耐えられないことが推測されます。

耐寒性についてはユーカリ中でもトップクラスで
-12℃くらいまでは枯れずに生き残ります。
さらに寒い環境にあって、土から上が枯れても、
高確率で春には新芽を吹くほどに強健です。
大阪の冬ではほとんど葉が痛むことさえありませんでした。

気になるmorrisbyiの香りですが、
非常に爽やかな柑橘系の香りが強く感じられて、
その後にシネオール系の香りがスッと突き抜けます。
pulverulentaに良く似た非常に爽やかで快適な香りです。
香りの強さはcinereaなどと同じで、
葉を軽く指で擦ると良く香ります。
香りを楽しんだり、花材としても十分利用できると思います。

fancyboxモリスビー(Eucalyptus morrisbyi)の画像6

日光の良く当たる環境さえあれば、
gunniiとほぼ同じように育てることができます。
また、成長力や鉢植えでの管理もgunniiとほぼ同じです。
私の私見ですが、gunniiよりも香りが強く心地よいです。
gunniiが大好きで、さらにバリエーションを
増やしたい方にオススメです。

ところが困ったことに、
日本ではmorrisbyiを手に入れる手段が全くありません。
私も現在は余分な苗は持ち合わせていませんし、
おそらく栽培している業者も日本には存在しないと思います。

どうしても育ててみたい方にはタネの販売所をご紹介します。
タネから育てる難易度としてはさほど難しい方ではありません。
もしmorrisbyiに興味があって、
どうしても育ててみたいという方は、
遠慮なく私に声をかけてくださいね。

育てやすいし、綺麗だし、香りも心地よいし、
日本で流行ってもいいのになあと思うmorrisbyiでした。

------------------------------
<栽培難易度:A+>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★★

要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2011-04-23 14:52 | ユーカリ紹介
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