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【ユーカリ紹介-72】
ユーカリ・カンフォラ (Eucalyptus camphora)

続きまして第72回目は、日本では
マウンテンスワンプガムの名前で知られた
湿地帯生息種のハートリーフ系ユーカリ
ユーカリ・カンフォラです。

◎ユーカリ・カンフォラ
【学名:Eucalyptus camphora】
【英名:Mountain Swamp Gum / Swamp Gum】
fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像1

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像2

日本ではマウンテンスワンプガムという名称で
ホームセンターや園芸店などで目にすることができます。

camphoraはパッと見、ポポラスのように見えることもありますが、
白みの強いポポラスよりも濁った緑色の葉色をしています。

また幅の広い葉が生じることの多いポポラスに比べると、
camphoraは縦に長い葉を生成することが多くなっています。

名前の由来はcamphor(樟脳)と同じ成分を含む、
その精油が由来となっています。

実はこのcamphoraには原種のssp. camphora
亜種のssp. humeanaという二種が存在します。

ところが二種に分けられているケースは皆無で、
二種合わせてEucalyptus camphoraと一つの品種として
まとめられていることがほとんどです。

実際に現地オーストラリアでも、
タネの段階から分けられて販売されているケースは
今までに一度も見たことはありません。

camphoraの生息地は、
ニューサウスウェールズ州からビクトリア州にかけて
幅広い地域の高地、谷間などの湿地帯や水辺周辺です。

どちらかというとssp. camphoraの方が北部寄り、
ssp. humeanaの方が南部寄りの生息種になります。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像3

ssp. camphoraは単にスワンプガムと呼ばれることもあり、
葉はかなり細く縦長になる傾向が強いですが、
樹高自体は10m程度のMallee型(灌木型)へと育ちます。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像4

一方、ssp. humeanaマウンテンスワンプガムと呼ばれ、
葉は縦長ではありますが、より幅のある、
大きなハートリーフになる傾向が強いです。
また10m程度のMallee型(灌木型)になる種から、
25m程度のTree型(木立型)まで幅広い樹形に育ちます。

こちらで紹介させていただいている株もそうですが、
日本で良く見かけるマウンテンスワンプガム
比較的葉に幅のあるものが多いので、
どちらかというとssp. humeanaになると思います。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像5

実際に現地でもssp. humeana系のcamphoraの方が
遥かに多く出回っているようですが、
親愛なるこあら師匠の農場のcamphoraでは、
ssp. camphora系の株もいくつか見られます。

原種と亜種による差は上記の通りですが、
その他では大きな性質上の差はないようです。

また双方の間のような種も存在するようで、
亜種というよりは地域種として捉えた方が
わかりやすいかもしれません。

実際にこれ以上の資料は皆無で、
園芸・栽培的にまず分けられていることはないので、
ここから先は単にEucalyptus camphoraとして
進めていきたいと思います。


camphoraの大きな特徴はやはり
ハートリーフを中心としたその外観でしょうか。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像6

ただ、かなり縦長の葉が多くなるので、
パッと見ハートリーフと言うよりも
初心者マークのような感じにも見えます。

葉が青っぽくなることはあっても、
白く粉を吹くことはありません。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像7

また茎も同様に粉を吹くことはなく、
少し赤みがかった黄緑色をしています。

orbifoliawebsterianadecipiensと比べると、
camphoraポポラスはそこまで頻繁に
ハートリーフを生成するとは限りません。

camphoraは良くポポラスと比較されたり、
ポポラスと間違えられることがあります。

ところが白みの強いポポラスと比べると
camphoraは幾分地味な葉色になります。

またcamphoraのような縦長のハートリーフよりも
ポポラスのような少し幅のあるハートリーフの方が好まれるため、
どうしても外観ではポポラスには一歩及びません。

camphoraの方が勝っている点を挙げるなら、
万能で強健、育てやすいというその性質と
ポポラスよりもかなりコンパクトで
脇芽を出しやすい性質を持っているという点です。

前述した通り、一部Tree型になる個体もあるものの、
ほとんどのcamphoraでは
10m程度までのMallee型(灌木型)へと成長します。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像8

10mというと相応な大きさにはなりますが、
それでもpulverulentaなどよりも少し小さなサイズなので、
実際に鉢植えで管理しやすいユーカリということになります。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像9

Malleeという性質が強いため、
株元からたくさんの脇芽を出す性質が強く、
個体によっては樹形がかなり暴れることもあります。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像10

またその樹皮はねじれて
どんどんと剥がれて行くタイプですので、
最終的には白っぽくスッキリした外観になります。

その他にcamphoraの魅力を挙げるとすると、
成長が進んでもあまり葉の形に変化がないという点です。

ポポラスの場合はある程度の樹高にまで育つと、
ハートリーフではなくなり、
槍の先のような葉へと変化します。

ところがcamphoraは、
少し葉が細長くなることはあるものの、
あまり大きな葉の変化は起こらないようです。

また比較的低樹高での開花も目指せると思います。
花自体は白いスタンダードなユーカリの花ですが、
たくさんの花を咲かせてくれるようです。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像11

camphoraの育て方についてですが、
とにかく育てやすく、万能で強健なユーカリです。

英名にスワンプとあるように
完全な湿地帯生息種になりますので、
水に浸かった土壌での栽培も可能となり、
事実上、過湿による根腐れ知らずです。

またあくまでもユーカリの中では...ですが、
耐陰性もかなり高い方になりますので、
半日陰程度の場所でも経過は良好です。

用土や環境、水分管理に寛容で、
かなり強健なユーカリになりますので、
初めてユーカリを育てる人でも
あまり気にせず簡単に育てることができます。

ただcamphoraはかなり冷涼な地域出身のため、
大阪などの暖地の暑さはあまり得意とは言えません。

成長のメインの時期はかなり涼しい季節中心で
夏場は成長が緩慢になるか、ほぼ完全にストップします。

毎年春に新芽の出る時期もかなりの早春で、
まだ寒さがかなり残っています。

その時期になると黄赤みがかったたくさんの新芽を出します。
この新芽を出す時期と新芽の色と形状により、
ポポラスとの明確な識別が可能になります。

高温障害の症状が出ることはほとんどありませんが、
camphoraを暖地で管理する場合には、
ある程度、用土の排水性を確保しておいた方が、
夏場の根の蒸れなどを防ぐことができます。

東北などの冷涼な地域で栽培する場合には
その本領を発揮して、ほぼ怖いもの知らず、
枯れる気のしないユーカリになると思います。

実際に東北でcamphoraを栽培している方の話では
すこぶる調子が良いと聞いています。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像12

耐陰性が高めとはいっても、
もちろん直射日光に当てて育てた方が
明らかに健康で丈夫な株へと育ちます。
室内での管理はできません。

湿地帯生息種というとかなりの水食いで
水切れに注意という品種が多くなります。

このcamphoraもかなりの水食いで、
夏場などはほぼ毎日の潅水が必要になります。

ただその他の湿地帯生息種のように、
水切れ耐性が際立って低いということはなく、
ある程度の乾燥に耐える力も兼ね備えています。

実際にcrenulataなどの
水切れ耐性の低い湿地帯生息種と同じように、
水を与えまくりの状態でも育てられますし、
cinereaperrinianaなどの
平均的な吸水量のユーカリと同じ水分管理でも
問題なく育てていくことができます。

ただし、タネから栽培する場合には、
育苗初期の段階に限り、
ある程度乾燥気味の管理を行う必要があります。

この段階で乾燥気味の管理を行わないと、
根張りがほとんど進まずに、いつまで経っても
成長が進まなくなることがあるからです。

ただ多くの方はcamphoraの苗を購入されると思うので、
ほとんど心配するようなポイントはありません。

ある程度の樹高で根張りの進んだ株の場合、
あらゆる環境に合わせて元気に育ってくれます。

camphoraの耐寒性についてですが、
これもポポラスに大きく勝っています。

-14℃程度までは容易に耐えることができ、
栽培環境等により耐寒性の上がった株では
-15℃以上の環境でも生き残ったという実績があります。
camphoraはユーカリの中でもかなり耐寒性の高い品種です。

ポポラスの場合、耐寒性は-8℃程度です。
これは東北の寒い場所では栽培が難しい場合もあります。
またヨーロッパやアメリカ北部などの寒い地域では
ポポラスを屋外で栽培することはできません。

ところがcamphoraであれば、
東北以北でも屋外で栽培することが可能で、
世界的にも栽培できる地域が多くなります。

実際にポポラスは海外では
かなり暖かい地域のユーカリという認識で、
万能なcamphoraポポラスと同等以上の人気があります。

冬場にはある程度の紅葉は起こりますが、
あまり目立った葉痛みは起こりません。

ただし冬場は乾燥気味に管理した方が
明らかに葉を綺麗に保つことができます。

半日陰以下の場所で育てた貧弱な葉の場合、
冬の寒風で激しく葉が傷むこともありますが、
早春にはたくさんの新芽を出して復活してくれます。

気になるcamphoraの香りについてですが、
精油成分に多量の樟脳を含んでいるため、
シネオール中心のユーカリに比べると、
若草の香りと共に、爽やかで少し甘みのある
スッとした香りがします。

実際にクスノキの葉をクラッシュしたときの香りと
ほぼ同じといっても良いでしょう。

シネオール中心のユーカリの場合、
かなり薬用系の生臭い香りが強いのですが、
camphoraの場合、とにかく穏やかで、
ガツンとした感じはほとんどありません。

香り自体は弱い方ではないのですが、
そこまで香りを強く感じることはありません。

もしかすると香りを楽しむユーカリとしては
若干弱いと感じられるかもしれませんが、
香り自体は誰もが好きになれる爽やかな香りです。

fancyboxカンフォラ(Eucalyptus camphora)の画像13

日本では比較的手に入れやすいcamphoraですが、
どうしてもポポラスの影に隠れがちです。

ポポラスも特に栽培の難しい品種ではありませんが、
camphoraはさらに育てやすいユーカリで、
全く植物が初めてという方でも手が出せるレベルです。

とくに寒地でユーカリを栽培したい人には
最もオススメのハートリーフユーカリになると思います。

コンパクトで管理しやすいユーカリですので、
鉢植えでも育てやすく、庭木としても面白いかもしれません。

ぜひ一度camphoraを育ててみてください。
ユーカリの水分管理がうまくいかない人でも、
びっくりするほど楽に育てられますよ。

------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★

要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2015-08-10 18:11 | ユーカリ紹介
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Trackback(0) |  Comments(2)
By koaramate at 2015-08-11 23:07 x
マウンテンスワンプガムの葉の大きさは、大人の男性の握りこぶしと同じくらいの大きさになります。

過湿には強い種類ですが、感想にもかなり強いユーカリでもあります。

スワンプガムと呼ばれる方は、葉の大きさ形ともにオバータによく似ています。
わかりやすく言えばハッピーターンくらい。
By eucalyptus_k at 2015-08-17 18:25 x
私もいくつかタネを持っていますが、
オバータっぽい方にはまだ一度も出会えていません。
 
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