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【ユーカリ紹介-29】
ユーカリ・スミティー (Eucalyptus smithii)

続きまして第29回目は
高価で品のある精油として有名で、
甘く官能的な香りが魅力のユーカリ・スミティーです。

◎ユーカリ・スミティー
【学名:Eucalyptus smithii】
【英名:Gully Gum / Gully Peppermint
    Blackbutt Peppermint】

fancyboxスミティー(Eucalyptus smithii)の画像1

fancyboxスミティー(Eucalyptus smithii)の画像2

精油として利用されるユーカリの中では代表格の存在。
ユーカリ精油の中ではかなり甘みが強く、官能的で、
アロマティックな香りが魅力のユーカリです。

smithiiの精油にはシネオールの他にも、
甘みの強いAromadendrenという芳香物質が多量に含まれており、
香水になっても通用しそうなほどに良い香りがします。

ところがユーカリとしては比較的マイナーで、
viminalisradiataなどとほとんど区別のつかない、
典型的な細葉ユーカリといった外観をしています。

fancyboxスミティー(Eucalyptus smithii)の画像3

葉形や苗の間の樹形などでは
viminalisradiataと区別することはほぼ不可能です。
Eucalyptus viminalis var. pedicellarisと呼ばれることもあります。

敢えてsmithiiの特徴をあげるとするならば、
新芽が少し白っぽかったり紫がかっていたり、

fancyboxスミティー(Eucalyptus smithii)の画像4

茎が少し白く粉を吹き、ザラザラしているところです。

fancyboxスミティー(Eucalyptus smithii)の画像5

viminalisradiataは茎が白くなることはありません。

smithiiは外観で目を引くような品種ではなかったために、
以前は私も全く知ることのなかったユーカリでした。

ところが、あるとき百貨店のアロマテラピーコーナーで、
試供品のユーカリ精油の香りを嗅ぎまくっていたときでした。
当時は聞いたこともなかった
smithiiという名のユーカリ精油を嗅いで、
その香りのよさにビックリしたのが出会いのきっかけでした。

私は外見の面白さや美しさから
育てるユーカリを選定することが多いのですが、
香りの良さから興味を持ったのは、このsmithiiが初めてです。

smithiiの生息域はシドニーより南の沿岸部~内陸部で
比較的冷涼で多雨な気候の地域出身のユーカリです。
そのため、日本の猛暑には少し弱いところがあります。

さすがに暑さで枯れてしまうようなことはありませんが、
正午過ぎの激しい日差しを浴びるとヘロヘロになったり、
軽度の葉焼けが起こることもあるため、
少し遮光して育てても良いでしょう。
また、夏季には根の蒸れに少し注意が必要です。

樹木としては、45m程度の立派な大木に成長する種と、
10m程度の灌木状に育つ種に分かれていますが、
この2種については特に詳しく区別されておらず、
タネから育てる場合はどちらが育つかは全くわかりません。

主な生息地である
ニューサウスウェールズ州の沿岸部~内陸部には
前者の大木へと育つ品種が生息し、
これが最も一般的なsmithiiとされています。

一部ビクトリア州の内陸部高地に生息するsmithiiが、
後者の10m程度の灌木状に育つレアな種のようです。

smithiiはこの地域に生息するユーカリとしては
かなりの水好きで準スワンプ系のユーカリともいえます。
また過湿に対する耐性をそれなりに備えています。
用土の乾燥を好む多くのユーカリとは異なり、
少し用土に水分が残っているような状態を好みます。

水が大好きなので、水切れに注意したいところですが、
同時に少し暑さにも弱いところを持っています。
そのため、夏季の熱い時間帯の過湿によって起こる、
苗の蒸れを避けるために、涼しい時間の水遣りを心がけてください。

smithiiのメインの成長期は早春と晩秋で、
昼でもかなり涼しく、夜は寒いくらいの時期です。
成長力はかなり旺盛な方で、
暑さに弱いgunniiとして育てられますが、
成長期にはgunniiよりも水を吸うので注意してください。
逆に夏は活動を休止して、吸水は少し控え目になります。

耐寒性についてはかなり強い方で、
-10℃程度と大阪の冬ではほとんど痛むこともありません。
ただ、viminalisなどに比べると、幼いうちは少し葉がうすいので、
小さな苗の間は、強い寒風を避けた方が葉を綺麗に保てるでしょう。

すでに太鼓判を押しているsmithiiの香りですが、
非常に甘みの強い香水のような香りが強く漂い、
その後にシネオールの香りがスッと突き抜けます。
軽く葉を指で撫でただけでも、非常に強く香るほどです。

pulverulentaBaby Blueの香りにも少し似ており、
甘みをさらに強化したような感じがします。
おそらくこの香りを好きになれない人はいないでしょう。
私はこの香りをそのまま香水にしても良いと思っています。

globulusなどの市販されている多くのユーカリ精油は
シネオールが中心で、メンタームのような香りがすると思いますが、
smithiiの精油はかなりアロマティックでうっとりできます。

夏の管理にさえ少し気をつければ、
どちらかというとかなり育てやすいユーカリで、
我が家のような日陰でも生育状態は非常に良好です。

fancyboxスミティー(Eucalyptus smithii)の画像6

細葉ユーカリに興味があり、
良い香りのユーカリを育ててみたいという方には、
これ以上にはない!といったようなユーカリです。

どうしても育ててみたい方には、
親愛なるこあら師匠の農場をご紹介します。

魅力的な香りのviminalisと一緒に育てれば、
共に成長力も旺盛で育てやすく、
香りを楽しむハーブとして大活躍することと思います。
ぜひ、この魅惑の香りをご堪能ください!

------------------------------
<栽培難易度:A+>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★

要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★★
耐暑性:★
耐病虫:★★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2011-05-06 17:34 | ユーカリ紹介
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