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【ユーカリ紹介-17】
ユーカリ・クルセアナ (Eucalyptus kruseana)

第17回目にして、ハートリーフ三兄弟以外で
やっとまともな西オーストラリアのユーカリが出てきました。
海外の文献も絶賛! 私も「ユーカリ界の青白い宝石」と一押し、
とにかく美しすぎて毎日眺めてはうっとりしてしまう。
ユーカリ・クルセアナです。

◎ユーカリ・クルセアナ
【学名:Eucalyptus kruseana】
【英名:Bookleaf Mallee / Kruse's Mallee】

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像1

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像2

実は私、kruseanaには早い段階で目を付け、
タネを播いていたのですが、育苗の難易度が非常に高く、
昨年の種播~育苗は一旦断念した次第です。

とにかく、強い直射日光と高い温度が必要になってきます。
特に育苗初期には良く日光に当てて、
丈夫な根を育む必要があります。

我が家のベランダで通常通り育苗していると
日光の量が圧倒的に足りないため、
いつまでたっても大きな葉を作れずに貧弱で小さいままです。

そこでポット数個分だけと非常に限られていますが、
日中に直射日光が常時当たる場所を何とか確保しました。
そこで育苗を行った結果、やっとまともな苗が育ちました。

昨年の育苗を断念したと同時に、
上の写真の苗を親愛なるこあら師匠の農場より購入しました。

以前、ユーカリの葉の白く粉をふいたものは、
オーストラリアの強烈な紫外線を避けるための
日焼け止めの役割を果たしているとご紹介しましたが、
このkruseanaは特に強力な日焼け止めを持っています。

そのため、日本で育てていくためには、
特に強烈な直射日光がフルタイムで必要になります。
上の写真の苗も半日直射日光が当たる環境に置いていますが、
あまり大きく丈夫な新葉を生成できずにいます。

このkruseanaは同居人や実家の親父さえも
地植えしたいというほどの美しさです。

とにかく新芽は完全に白く粉をふいており、
太陽に当ててみるとほぼ純白そのものなのです。
下葉も白に近いエメラルド色で、
まるでユーカリがおしろいを塗ったようです。

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像3

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像4

このkruseanaは育てていくのに何かと都合が良いのです。
まず、余り大きく育たずに茂み状に育つこと、(大きくても2~3m程度)
この美しい丸葉を最後までしっかりとキープすること、
樹高数十センチ程度の鉢植えであっても、ユーカリでは非常に珍しい、
ライムグリーンの花を美しく咲かせてくれるからです。

実家の庭のkruseanaの株では、
実際にわずか60cm程度の株で開花を実現できています。

このライムグリーンの花は中々に美しく、
何よりもとてもたくさん咲くことが特徴です。

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像5

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像6

恐らくこのkruseanaを数年間育て上げることさえできれば、
ほとんどの方がこの花を楽しむことができるはずです。

ただ、このkruseanaには、大きなネックが一つあります。
日本の環境にはあまり合っていないために、
栽培難易度が少し高くなってしまうということです。

kruseanaを過去販売していた業者に問い合わせたところ、
まず、育苗難易度が高く、在庫を多く確保できないこと、
苗を販売しても、うまく育てられない購入者が多いこと、
そもそも健康に育てられる環境を用意すること自体が大変で、
商品として成り立たせるのが難しいというお話でした。

このユーカリは元々、西オーストラリア内陸部の
Kalgoorlieという砂漠の金鉱の町近辺だけに自生する品種です。
それがアメリカなどで切枝用として注目され
園芸品種としてメジャーになったようです。

生息地は年間降雨量200mm程度(大阪の1/8以下)で、
夏期の最高気温は48℃、夜間は8℃程度まで下がり、
冬季の最低気温は-3℃程度とかなり激しい環境です。

気候としてはステップ気候や砂漠気候に属します。
またこの地域は冬季が湿潤で夏季が乾燥しているという
日本とは全く逆の環境にあるのです。

そのため、極度に高温多湿を嫌うこととなり、
雨ざらしでは、梅雨などの季節を乗り越えるのが少し困難になります。

水はけの良い用土で、かなり乾燥気味に管理する必要があります。
育苗で感じたのは、用土に水分が残ることを極端に嫌うようです。
1~3日で完全に用土が乾ききるというのが、
ベストな栽培環境になってくるのかなと思っています。
ところがこの環境を湿潤な日本で作りだすには中々難しいのです。

これを作るためには温室やビニルハウスで専門的に管理するか、
放任主義ではなく、小マメな管理をするしかありません。。。

また、他には、ワンサイズ小さな鉢で管理したり、
土から上だけでなく、鉢にも良く日光に当たるようにすることで、
過湿を避け、高温を好むkruseanaに適した環境を構築できます。

このクラスのユーカリを育てるに当たって、
まず行って欲しいことは、
「ユーカリを毎日必ず観察する」ことです。

毎日、用土や株の状態をしっかりと観察していれば、
よほどのことがない限り、枯らせてしまうことはないでしょう。
逆に植物はほおって置く主義という方には不向きなユーカリです。

成長速度についてはどちらかというとゆっくりな方です。
また、かなり乾燥を好みますが、
そこまで水切れに強いというわけでもなく、
用土が完全に乾いたらたっぷりと水遣りをする必要があります。
この辺りも多肉植物とは違い少し手間のかかるところです。

耐寒性については-5℃くらいと言われています。
ユーカリ中ではあまり強い方とはいえません。
大阪では30cmを超えるような株であれば特に問題はありませんが、
小さな苗については、寒い日は簡易温室などに退避しないと、
新芽などに枯れや痛みがでることがあります。
また、寒い日に葉に水をかけると痛みの出る場合があります。

寒さにあまり強くないからといって、
室内管理は絶対に避けてください。

室内では空気の流れがないため、用土に余分な水分が残りやすく、
過湿で根を痛め、ほぼ100%に近い確率で枯らせてしまいます。
少し寒くても、寒風さえ防げるなら、野外管理が必須です。

また冬季は本当にびっくりするほど水を吸わなくなります。
我が家でもたまにスリット鉢の底のスリットから
少しシャワーで水をかけてあげる程度で、
冬に鉢の表面から水を与えることはまずありません。
ハッキリ言って断水に近いような管理になります。

冬だけでなく、最高気温が30℃に満たなくなってくると
急激に吸水量が減ってくるので注意が必要です。
ここで吸水量の激減を察知できずに、
涼しくなった途端に過湿で枯らせることが多いです。
これはmacrocarpaなどと同様にとても厄介なポイントです。

我が家は日照があまり良くないこともありますが、
基本、最高気温が30℃を切ったくらいから、
鉢の表面からの吸水はストップして、
底面吸水のみに切り替えています。

気になる香りについては、
orbifoliapulverulentaに良く似ています。
シネオールの香りをベースに爽やかな柑橘系の香りがします。
香りの強さは弱くもなく強くもないという程度で、
葉や茎を指で触ると、良く香ります。
非常に爽やかで誰もが好きになれる良い香りです。

とにかくユーカリの中では一押しなのですが、
育てるのが少し面倒でマメな管理が必要になると思います。

fancyboxクルセアナ(Eucalyptus kruseana)の画像7

でも、その面倒を受け入れてでも育ててみたくなるユーカリです。
私はこのkruseanaを徹底的に経験し、学んで、
いつか量産できるように密かな野望を持っています。

このkruseanaを育ててみたい方には
素晴らしいユーカリ農場をご紹介しますので
是非、ご連絡をいただければと思います!

------------------------------
<栽培難易度:E>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★

要水分:★★
耐過湿:
耐水切:★★★★
耐日陰:☆
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2010-08-21 12:16 | ユーカリ紹介
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(4)
By aki at 2016-12-19 10:34 x
はじめまして。
ユーカリが好きで以前からこちらのサイトで、いろいろ見させてもらってお世話になっています。
三週間前に園芸店で買ったクルセアナについて、お聞きしたくコメントしました。
樹高1メートルくらいで、買った時の鉢(スリット鉢)のまま管理しているのですが、鉢底を見ると、根が鉢から出てしまっています。だいたい三センチくらいの根がはみ出ています。これは、植え替えをした方がいいのでしょうか?
お時間ある時で構いませんので、お返事いただけると幸いです。
By eucalyptus_k at 2016-12-22 18:50 x
aki さん、初めまして、こんばんは。
お問い合わせの件についてメールを送らせていただきました。
お時間のあるときにでもご確認お願いいたします。
By aki at 2017-01-27 13:06 x
eucalyptus_k 様
先月は、詳細なお返事を頂きまして、ありがとうございました。
クルセアナは今のところ、枯れることなく育っております。
この寒さで、また質問させて頂きたいのですが…
さすがに氷点下2度3度になる夜には玄関に取り込んで、朝になると日なたに出し、一日中日の当たる場所に移動したりして管理しています。水は、10日に一回は底面給水させたり、土の上から水をあげたりしていたんですが、最近、乾燥させすぎ?なのか、鉢と土の間に隙間が出来ています。あと、葉の色はいいのですが、触るとパリパリで硬いです。前より少し葉が反り返ってる感じもします。これは、どういう状態なのか…ご教授頂けると幸いです。
よろしくお願い致します。
By eucalyptus_k at 2017-01-29 04:00 x
akiさん、こんばんは!

まず管理については問題ないと思われます。
クルセアナは正直あまり寒さに強いユーカリとは言えません。
我が家や私の実家ではフルタイム屋外で栽培しています。

私の住むところは大阪でもほとんど京都に近い場所で
-2~3℃になることは多く、時には-5℃になる日もあります。
正直このような環境では、水遣りに気をつけていても、
冬が明けると大部分の葉は痛んで散ってしまい、
葉が空き空きになって、見るも無残な姿になります。

クルセアナは成長の遅い品種とはいっても、
それでも成長期には毎年それなりに美しい樹形に
復活して花を咲かせてくれたりしています。

恐らく寒い日の夜間などに玄関に取り込んだりなど
マメな管理をされているので、このような
酷い落葉は起こっていないのだろうと思います。

ただ成長の遅い品種とはいっても
ユーカリの葉の生成サイクルはそれなりに早く、
美しい新芽も成長期が終わると風化して
だんだんと色あせていくもので、
同じ葉が半年も美しいままというのはほぼありえません。

特に冬季は完全に休眠状態で
ほとんど水を吸わずに葉も乾燥していますから、
私でも「あれ?枯れてる?」と一瞬思ってしまうほどに
葉は硬くなり、乾燥で反り返ったりもします。

クルセアナは調子を崩すとすぐに落葉するので、
枯れた葉は早い内にパラパラと散ってしまいます。
葉に軽く触れても葉が散らないのであれば、
それは生きている葉で間違いないと思います。

寒さに強い品種では冬の間も新芽を展開して
寧ろ冬の新芽が美しいものもありますが、
クルセアナは寒さに弱く、冬は休眠する品種なので、
冬季は最も美しくなくなる時期ではあります。

逆に寒さに強い品種では夏に休眠を取ることになり、
夏の葉は非常に汚くなることが多いです。

私はクルセアナは年中樹形を維持することは不可能で、
冬季は半落葉樹みたいなものと割り切って育てています。

伺っている限り非常にマメな管理をされていますし、
問題はないと思われますので、
冬のクルセアナはそんなものであると理解して、
春以降の成長期をじっくり待ってみてください。

ただ上記の性質上、マメな管理をされていても、
冬明けにはある程度葉が散る可能性はあります。

もし葉の多くが軽く触れただけでも
パラパラと散ってしまうようであれば、
またご一報いただければと思います。

それではご参考までによろしくお願いいたします。
 
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