月別の記事表示
月 
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
             

西オーストラリアのユーカリ栽培のポイント

一般的に西AZのユーカリは
日本と環境が合わないため、
栽培が難しいと言われています。

確かに中には少しのミスで枯死につながるものや、
毎年同じ時期になると調子を崩すものがあり、
安心して放置できないものが多いです。

日本との大きな環境の差としては、

●絶対的な降雨量に差があること(日本の1/6程度)
●夏が乾燥し、冬が若干湿潤であるということ
●日本のような年単位での寒暖差より一日の寒暖差が大きいこと
●降雨による水分よりも地下水を吸っていること
●土壌の養分が日本と大きく異なること(日本よりも貧しい土壌)

などが挙げられるかと思います。

同じユーカリと言うことだけで、
日本でありふれたgunniiなどと
同じように栽培しているだけでは、
確かにうまくいかないこともあるでしょう。

ただ一部の難しい品種を除けば、
後はその栽培方法にさえ慣れてしまえば、
そこまで難しいものばかりではありません。

私が勝手に感じている範囲で
西AZのユーカリにはいくつかのグループがあります。
それによって若干栽培方法が変わってきます。

あくまでも我が家の栽培環境による判断ですが、
西AZのユーカリの栽培ポイントについて記します。
※あくまでも鉢植えでの管理のポイントです。

ただしあまりにも西AZのユーカリの管理に慣れ過ぎると、
植物=乾燥を好み、肥料はほぼ不要となってしまって、
私のようにパセリを枯らすことになるかもしれません。


1. 半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
最も日本と環境の差のあるグループです。
大体、難しい品種というのは、
このグループに含まれるものが多いです。

とにかく用土の選定を間違えると
難易度がさらに驚異的に跳ね上がります。

またものによっては、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものもあります。

○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○真夏はほぼ一日で用土が全乾きするくらいの配合が良い
○この配合で朝に一日一回の水遣りで夏を乗り切る
○終日直射日光に当てて育てる、半日陰は苦しい
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○荒れ地に生息しているため高pHや多肥を嫌う傾向にある
○肥料はリン酸分を嫌い鉄分や亜鉛などを多く必要とする。
○室内管理は論外

macrocarpa/rhodantha/kruseana/campaspe/woodwardii
youngiana/gamophylla/gongylocarpa/tetraptera など


2. 非常に乾燥した半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリも、
最も日本と環境の差のあるグループです。
1のグループ程、激しい日光と高温を必要とはしませんが、
用土の乾燥力はさらに強化した方が良いものが多いです。

用土の選定を間違えると難しいところは同じですが、
日照よりも風通しに気を付ける必要があります。
高い空中湿度のある場所ではすぐに葉を散らせます。

多くの品種において、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものが多いです。

○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○終日直射日光に当てて育てるのが良く、半日陰程度でもOK
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○梅雨時期の葉痛みはある程度の妥協が必要な場合もある
○夏場でもかなり水切れに耐えられるものが多い
○半日陰程度であれば夏場でも一週間程度持つものもある。
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○冬場は底面吸水が良いが1ほどは気を使わない
○肥料は1ほど気を使わないが高pHや多肥は好まない。
○室内管理は論外

orbifolia/websteriana/gillii など


3. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(高温を好む)
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。

その中でも特に高温と日光を好み、
夏場に大きく成長を進めるものが多いです。

このグループのユーカリを入門編として
育てると良いと思います。

私のユーカリ栽培方法は
このグループのユーカリを最も中心に考えていて、
我が家でも調子の良い品種が多いです。

○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものもある
○終日直射日光に当てて育てるのが良い
○半日陰程度でも栽培は可能だが成長力はかなり悪くなる
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○肥料にはそこまでうるさいものは少ないが高pHは良くない。
○室内管理は論外

albida/pleurocarpa/extrica/dicipiens/torquata/torwood
caesia/forrestiana/pachyphylla/pluricaulis
salmonophloia/uncinata/dolichorhyncha など


4. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(穏やかな気候を好む)
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。

日光は特に好きな品種ですが、
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはあまり動きがなくなるものが多いです。

中にはあまりにも真夏の激しい日光を浴びると
少し葉焼けをするものもありますので、
半日陰強くらいでの管理が良いです。

その分、3よりも少し過湿に強いものが多いです。

このグループのユーカリも入門編として
育てると良いと思います。

私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し葉が汚くなることがあります。

○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をした方が経過は良い
○風通しの良い場所に置くことは3に同じ
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○比較的高pHに対する耐性の高いものが多い
○室内管理は論外

lehmannii/macrandra/erythrocorys/urna/grossa
accedens/crucis/lane-poolei/leptopoda など


4. 冷涼湿潤でかなり穏やかな気候を好むグループ
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
冬も夏も非常に温暖且つ涼しく、
少しぬるま湯的な環境で育っているものが多いです。

平均的な西AZのユーカリ栽培方法よりも
少し湿潤を好み、過湿耐性はそこそこです。

ところが高温多湿な環境をとても嫌い、
高温多湿が過ぎると、葉が激しく傷んだり、
菌類系の病気に悩まされることが多いです。

日照は半日陰程度で十分なので、
できる限り風通しの良い涼しい場所で管理します。

どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはほとんど動きがなくなるものが多いです。

冬場もそこまで耐寒性の強いものは少ないですが、
寒くてもそれなりに吸水の進むものが多いです。

私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し厄介なところもあるユーカリです。

○育苗初期は湿潤に管理しても生育は良好(育苗は楽)
○初期の育苗はなるべく涼しい季節を中心に行う
○用土は排水性の良いものを選ぶ(夏を乗り切るため)
○根をしっかり張った後は吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をして育てる
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○冬場は東AZのユーカリと同じような水遣りでOK
○肥料はリン酸分を嫌い高pHでは障害の発生するものが多い
○一部厳冬期の日中や夜間限定の室内退避は可能

preissiana/pachyloma/nutans/platypus/vesiculosa など


5. 例外-1(rudis)
-------------------------------------------------------------------------------
高い空中湿度に対する耐性もあり、
暑さに対する耐性も高いので、
楽な東AZのユーカリと同様に育てられます。

西AZのユーカリではありますが、
ユーカリ全体でもかなり育てやすい部類になります。

湿地帯生息種のため相当の水食いですが、
そこまで水切れが早いということもありません。

特筆すべきポイントは、冬の寒さには特に弱いので、
小さな間は0℃以下にならない場所に
退避して管理することが大切です。
※成長後は-5℃程度でも耐えることができる。

日照も半日陰程度で育てられます。

また高pHに対する耐性も高く、
用土を酸性にする力が強いので、
アルカリ土壌の改良にも使用されるそうです。


5. 例外-2(moon lagoon)
-------------------------------------------------------------------------------
半日陰程度の日照でも育てられます。
また過湿に対してもかなり高い耐性を持っています。

かなりの水食いで水切れに気を付ける程ですが、
排水性の高い用土を好みますので、
ある程度乾燥気味に管理した方が生育は良好です。

特筆すべきポイントは
ユーカリには珍しく高pHと多肥を好みます。

肥料をたくさん与えないと生育が悪くなり、
与えれば与える程効果が表れてきます。


そして最後に総括です。

■用土
最も重要な要素の一つです。
この選定を間違えると難易度が跳ね上がったり、
根本的に栽培が不可能な場合があります。

置き場所や栽培環境により左右されますが、
下記が一般的にオススメの用土です。

○ゴールデン粒状培養土 観葉植物用などの粒状培養土
1や2などの強乾燥を好む品種では、
ここに鉄分が豊富な桐生砂、岡山土などや、
ゼオライト、日向土、軽石などを加えて乾燥力を強化する。

○自前でブレンドする場合
硬質赤玉土や硬質鹿沼土などをベースに使用するか
上記の岡山土や日向土などをベースに使用する。
赤玉土や鹿沼土は硬質のものを使用しないと
崩れて粘土化して逆効果になる。
※硬質と名の付くものは通常の2倍以上の価格がします。

○私のブレンド用土(参考)
硬質赤玉土...3
硬質鹿沼土...2
桐生砂...2
ゼオライト(クリノプチロライト系)...2
くん炭...1


■鉢
乾燥力の強いものが推奨です。
下からも乾燥が進むスリット鉢がオススメです。

陶器系のしゃれた鉢などはオススメできません。
また根張りを考えて縦に長いものが良いです。
テラコッタや素焼き鉢などもOKですが、
素材状菌類の繁殖が進みやすいようです。
※経験上経過がイマイチ

根が十分に張り切るまでは、
全体的に株に比べて少し小さめの鉢で栽培すると
格段に難易度が下がります。

この理由は単純に鉢が小さいと
用土量が少なくなるため、
根の行き届かない範囲の用土に
無駄な水分が残ることを防止できるからです。


■日照
一部の真夏の直射日光を避ける品種以外では、
在来の植物では信じられないほどに耐性があります。
特に葉の白い粉は日焼け防止の効果もあるので、
白みの強いものは激しい日光を好むものが多いです。

ユーカリはあくまでも樹木なので、
基本は花草よりも多くの日光を必要とします。

また日光は蒸散と吸水の少ない西AZのユーカリの
用土乾燥を促す効果もあります。

株だけではなく、鉢や用土にも良く日光を当てることで、
根の成長促進と乾燥力強化につながります。
これはかなり大きく成長に差の出るポイントです。


■風通し
全体的に風通しの良さは重要です。
特に東AZのユーカリと比べると大きく差の出るポイントです。

目安は気温自体は暑くても良いので、
人間が不快になるようなジメジメした空中湿度を避けます。
風が良く吹いて外でも涼しいなと感じる場所が良いです。

私がユーカリに適したような
湿度の低い国を訪れた際の経験談ですが、
気温が30℃以上あったとしても、
長袖の白い服を着ている方が涼しいのです。
このような湿度の低い環境がユーカリには最適になります。

また周囲に他の植物や壁などがない場所の方が
格段に風通しが良くなります。
ただし強風による転倒には注意が必要です。


■水分管理
西AZのユーカリ栽培を左右するとても重要なポイントですが
用土と日照、風通し次第では
そこまで気を使わなくて良くなります。

日本の多くの植物では用土表面が乾き始めたら
水遣りを行うという指標がありますが、
それでは少し多すぎるきらいがあります。

どちらかというと用土が中の中まで
ほぼ全乾きする寸前がベストな水遣りタイミングです。

このタイミングは本当に
置き場所や根の張り具合で大きく変わります。

例えば1のグループに属するmacrocarpaでも、
用土と鉢サイズが適切で真夏に直射日光下に置くことで、
ほぼ一日で完全に用土が乾くということになります。

逆に用土の保水性が高く、置き場所の日照が悪く、
根の張りも不十分である場合には、
真夏でも一週間経っても用土が一向に乾かないこともあります。

ユーカリ全般に言えることですが、
特に西AZのユーカリでは、
用土が良く乾き、良く水を与えるといったサイクル
最も健康な株を安定して育てられる要素になります。

そのためには先述した通り、
用土と日照、風通しがキーになってきます。


■肥料
良くあるマグァンプなどの肥料は
リン酸分が多くなっています。

日本の多くの肥料は花を綺麗に咲かせるものが多いので
自ずからリン酸分が多めに設定されています。

オーストラリアの土壌にはリン酸分が存在しないため、
ユーカリにはほとんど役に立ちません。
品種によっては害にさえなる程です。

基本的に商用栽培でもない限りは
肥料を全く与えなくても栽培は可能ですが、
成長期の液肥などはある程度の効果が見込めます。

その際にはリン酸分が少ない肥料や
微量要素(鉄分など)が多いものを選択します。

我が家では根菜用のカリウム分の多い肥料なども
相応に効果が出ていることを確認しています。

また石灰や化成肥料を与えすぎると、
土壌のpHが上がって、アルカリ寄りになります。
そうなると鉄分欠乏の症状が現れることがあります。

一部、高pHを好むユーカリもありますが、
基本ユーカリは弱酸性~酸性の用土を好みます。
肥料の与えすぎによる高pHには注意してください。


まずは入門編と言われている西AZのユーカリを育ててみて、
西AZのユーカリの育て方に慣れることが先決です。

西AZのユーカリは外観の面白いものや、
美しい花を咲かせるものが多いので、
是非とも育ててみてください!

# by eucalyptus_k | 2014-09-01 17:02 | ユーカリ(栽培知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(0)

【ユーカリ紹介-46】
ユーカリ・アクセデンス (Eucalyptus accedens)

続きまして第46回目は、
白銀色の大きなスペード型の葉と
エメラルド色や薄紫色の粉を吹いた茎が美しい
ユーカリ・アクセデンスです。

◎ユーカリ・アクセデンス
【学名:Eucalyptus accedens】
【英名:Powder-bark Wandoo】
fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像1

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像2

このaccedensは、当初全くノーマークでした。
というかあまり文献にも出てこず、
とてもマイナーなユーカリであったため、
なかなか目にとまらなかったのです。

ところがある日、無作為に
ユーカリ識別ソフトを見ていたとき、
下の写真が目に留まりました。

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像3

なんか蔦やヘデラ、ポトスのようにも見えませんか?
これは面白い!ということで、
速攻でタネを注文することになりました。

私の場合、育てる前に写真などで見て
こんなユーカリかとイメージしていた想像と
実際に育ててみてからの姿が
大きく異なることが多いのですが、
このaccedensは想像と実際の姿が
バッチリ一致していました。

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像4

大きなスペード型の粉を吹いた銀葉と
英名の通り、激しく粉を吹いた茎が美しいです。

大きなスペード型の葉は
caesia ssp. magnaの葉とも良く似ています。

大きな違いは深緑で光沢のあるcaesiaの葉に対して、
accedensの葉は銀葉で強く粉を吹いているところです。

また、accedensの粉を吹いた茎は、エメラルド色から
時には薄紫色になり、葉だけでなく、
その自慢の茎もかなりの見どころになります。

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像5

最初は、私が知るきっかけになった写真から
かなり低木でブッシュ状になるユーカリかと思っていました。
ところが、実際には25m以上の
比較的大きな樹木になる品種なのです。
樹形も灌木型ではなく、しっかりとした木立型です。

また、見た目こそ少し変わりますが、
英名の通りの粉を吹いた樹皮は大木になってもキープします。
完璧に真っ白な樹皮になるようです。

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像6

元々西オーストラリアには
Eucalyptus wandoo(ワンドゥ)という、
比較的大きな樹になり、材木としても使われる
メジャーなユーカリが自生しています。

学名のaccedensには「模した、近しい」といった意味があり、
wandooにそっくりなことからその名が付けられたようです。

wandooは樹皮こそ白くツルツルしており、葉も銀葉ですが、
葉型はもう少し細長く、卵型で、より男前な感じです。
また機会があったら育ててみようかなと考えています。

とても特徴的で美しい葉を持つaccedensですが、
他の多くのユーカリと同じように、
大きく育ってからは柳のような細葉へと変わります。

ただ比較的大きくなる品種なので、
鉢植えであれば、この特徴的な葉を
ずっと楽しむことができると思っています。

accedensの管理方法についてですが、
デリケートで我儘な品種が多い
西オーストラリアのユーカリの中では、
びっくりするほど強健で育てやすいです。

管理方法としては葉の似ているcaesiaにそっくりですが、
私個人的にはcaesiaよりももっと楽だと思っています。

最も気をつけることは、caesiaと同じ、
とても大きな葉を持っているからでしょうか。
夏場の吸水量がかなりのものなので、
盛夏の水切れには十分注意する必要があります。

この記事の写真のaccedensは、
5号のスリット鉢で、樹高はまだ30cmくらいです。
ところが余りにも暑く天気の良い日には、
朝に水を与えても、一日持たないことがあります。

もちろん外泊するときなどは
底面を水につけていかないと枯れてしまいます。

その他では病虫害に対しても強く、
高い空中湿度や少しの過湿にも耐えることができるので、
あまり気にすることなく気軽に管理できます。

accedensは日光についても、
少しの耐陰性を備えているようです。

ある程度の明るささえキープできれば、
直射日光が当たらない場所でも
それなりに健康に育ってくれます。

ただ、もちろん太陽は大好きで
粉を吹いていますから、夏の直射日光も大丈夫です。
終日直射日光に当てて育てていると、
下の写真のようにウサギの団扇の如く大きくなります。

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像7

西オーストラリアの多くのユーカリは
タネ播きから育苗の難易度がとても高いです。
時期によっては、プロでも生存率が5割を切る程です。

その中でも、海外では園芸初心者向けの品種として
caesiaerythrocorysなどが紹介されていますが、
accedensはこれらよりも間違いなく簡単です。

私は生存率がほぼ100%だったのでビックリしています!
少ししかタネを播いていないにも関わらず、
とてもたくさんの苗ができたので、
既に知人などに苗をたくさん配りました。

夏場の水切れにさえ気をつければ、
accedensはとても育てやすく
気軽に管理できる美しいユーカリです。

ただ、吸水が凄いと言っても
用土の排水性は良い方がとても健康に育ちます。

苗の数が多かったので、色々と実験してみましたが、
排水性の良い用土で育てた方が
とても立派で丈夫な株に育つという結果が出ています。

accedensの成長力は
さすが大木になる品種!結構激しいです。
もちろんglobuluscamaldulensisには敵いませんが、
albidaなど他の西AZのユーカリと比べると群を抜いています。

地植えでも管理しやすい西AZのユーカリの中では、
少し気をつけて地植えを決断した方が良いかもしれません。

accedensの生息地は、decipiensrudisなどと同じ、
オーストラリア南西の沿岸部です。

この辺りは気候がとても穏やかで温暖なため、
耐寒性がイマイチなユーカリが多いです。

当初は耐寒性がネックかなと思っていたのですが、
育ててみると、ビックリするほど寒さにも強いです。

accedensの耐寒性は、恐らくalbidaと同程度で
葉痛みもほとんどなかったので、
-7℃くらいまでは耐えられるように思います。

葉が厚く、比較的寒風や霜にも強いのですが、
あまり無理をすると、葉が部分的に枯れるかもしれません。
ただ、枯死するようなことはないように思います。

冬場も全く水を吸わない他の西AZのユーカリと比べると
そこそこ水を吸う方で、安心していると水切れします。
ただ、在来の植物と比べると、全然水を吸わない方です。
冬場の過湿には気をつけた方が良いでしょう。

気になるaccedensの香りですが、
花や香水系の香りが多い西AZのユーカリの中では
比較的シネオールの香りが強い方です。

ただ、globulusなどのようにガツンと来る感じではなく、
さほど香り自体が強い方でもないので、
爽やかにスッと香る感じです。

育てていて微かに香る良さはありますが、
香りを楽しむハーブとしては少し弱いかもしれません。

fancyboxアクセデンス(Eucalyptus accedens)の画像8

こんな育てやすくて美しいaccedensですが、
非常にマイナーなのが玉にきずです。

ところが今回試験的に
親愛なるこあら師匠の農場にタネを持ちこんだので、
今年はいくつかの在庫をお持ちのことと思います。

今後も定番商品として定着するかはわかりませんので、
育ててみたい方は今がチャンスです!

また、accedensは、西AZのユーカリのタネ播きに
チャレンジしたいと思っている方にも
簡単で始めやすいユーカリだと思っています。

美しい銀葉と魅力的な茎を見ると
とても繊細なイメージがしますが、
実際にはなかなか強健で男前なユーカリです。

小さな小丸葉ではなく、
大きな銀葉に興味のある方には
ぜひとも育ててみて欲しいユーカリです!

------------------------------
<栽培難易度:B>
香良さ:★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★

要水分:★★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2012-07-24 12:40 | ユーカリ紹介
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(0)

実家の庭のユーカリたち

先日、実家の庭でユーカリの蕾の話について
書かせていただきましたが、
ついでに撮ってきた実家の庭の写真と共に
実家の庭のユーカリをいくつかご紹介します。

素晴らしくも悔しいことに
日照の悪い我が家のベランダとは、成長力が全然違って、
ものによっては本当に同じユーカリなの?
と思ってしまうほどに成長が良いです。

ちなみに鉢は全てが縦長の5号鉢です。
そして用土は市販の粒状培養土です。

水遣りは毎日(下手をすると1日2回)ですが、
これがユーカリには最適な環境となっているようです。

まず、庭のユーカリたちの引きショットです。
私が勝手にたくさん持ち込んだので、
元々薔薇とクリスマスローズがメインだった
実家の庭が大変なことになっています(--;;

fancybox記事202の画像1

先日、蕾の見つかった
Eucalyptus pulverulentaです。
ひときわ立派で葉も茎もとても丈夫です。

fancybox記事202の画像2

1mオーバーのEucalyptus pleurocarpaです。
これも今年は開花が見込めるかもしれません。
別にextricaもありますが、これも1m程あります。

fancybox記事202の画像3

次はEucalyptus erythrocorysです。
この庭では最も成長が激しく、
切りに切ってこの大きさです。

とても丈夫で、幹は蹴っても
ピクリともしないほどに丈夫です。

恐らく切らなければ2mを超えているでしょう。
今の時点で私の背丈ほどあります。

成長が進むと葉の毛がなくなるようですが、
まだ、毛の生えた葉をしています。
毛のない葉が出だしたら開花のチャンスです!

fancybox記事202の画像4

皆さんに大人気のEucalyptus albidaです。
この庭には数株ありますが
どれも1mを超える高さまで成長しています。

この庭では最も丈夫なユーカリの一つで
馬鹿みたいに環境が合っているようです。
放置でも全く枯れる気のしないユーカリになっています。

fancybox記事202の画像5

次はEucalyptus accedensです。
家では可愛い白銀の逆ハートリーフなのですが
ここではドでかくなって、ウサギの団扇のようです。

fancybox記事202の画像6

そしてこれも大人気のEucalyptus ’Moon Lagoon'です。
家では繊細で小さな葉っぱが美しい品種ですが、
ここではかなり大きめの葉っぱになっています。
樹高も80cm程はあります。

小型のalbidaという感じで、
ほとんどalbidaと大差ないほどに白葉になります。
個人的にはalbidaを超える美しさだなと思いました。

fancybox記事202の画像7

次はこの庭では難しいというのが嘘のような
Eucalyptus macrocarpaです。
これも恐らく近年中に開花が見込めるのではないでしょうか。

実家の庭は本当にmacrocarpaを育てるには
最高の環境のようですね。

ちなみにgunnii/delegatensis/glaucescensなどの
あまり暑さが得意でないユーカリは
既に暑すぎて全滅しているような状況です。

他にもcaesia ssp. magnaなどは
根本的に保水性が足りなかったようで、
水切れで全て全滅してしまいました。

fancybox記事202の画像8

結構癖が悪いので剪定していますが、
それでも1mは軽く超えています。
三株ありますがどれもかなり元気です!

fancybox記事202の画像9

そして最後は
Eucalyptus macrocarpa ssp. elachanthaです。

私の父はかなりマメな管理をしており、
頻繁に液肥を与えているようなので
我が家のような鉄分欠乏の症状も発生しません。

少し半日陰に置いているにも関わらず
なかなか立派に成長しています。

fancybox記事202の画像10

これも他に2株ありますが、
どれもとても丈夫で健康な株です。


いかがでしょうか?

管理者と環境が違うと
こんなにも立派に成長するのですね><;

他にも数十種のユーカリがありますので
また、機会があったらご紹介します{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-06-12 12:53 | ユーカリ(栽培実績)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(4)

久々に品種未定のユーカリ

今まで品種の識別には色々ありました。
neglectaのタネを注文したのに、
発芽したのはcrenulataだったり。。。

cephalocarpaだと思って育てていたら、
実はfasciculosaだったり。。。

ずっとcamphoraだと思って育てていたのが
実は最近、kitsonianaだったと知ったり。。。

そして今回、accedensのタネに交じって
新しく育ったのが下記のユーカリです。

fancybox記事184の画像1

fancybox記事184の画像2

今わかっている一番重要な情報は
主に西AZのユーカリに多い
><型の双葉をしていたことと、
写真からはわかりにくいですが
茎が四角型であるということです。

これでユーカリ識別ソフトにかけて
識別してみることにしました。

出てきた中で、有力なのは4種類!
この中のどれかであることは間違いありません。

どれもNindethana seedに在庫がある品種なので
超レア品種というわけでもありません。

●Eucalyptus calycogona
fancybox記事184の画像3

●Eucalyptus celastroides
fancybox記事184の画像4

●Eucalyptus cneorifolia
fancybox記事184の画像5

●Eucalyptus gracilis
fancybox記事184の画像6

現在、幼苗の間の識別ではここまでが限界で、
この先は花や実や樹皮を見て識別するしかありません。

あとは実際にこの4品種を育ててみることです。

そうすれば、写真ではわからない違いが分かり、
明確な識別が可能になります。

実はこのうちの2種類、
calycogonagracilisについては
栽培を検討していたところだったので、
早速タネを取り寄せてみることにしました。

どちらも比較的低木なので
早期に低樹高での開花が見込めそうです。

特にcalycogonaピンクの花が魅力的なので
ちょっと力を入れて育ててみたいと思います。

fancybox記事184の画像7

せっかく、久々にタネを購入する機会なので
下記の品種もついでに購入してみることにしました。

・Eucalyptus dolichorhyncha
・Eucalyptus nutans
・Eucalyptus youngiana

どれも低木での開花が見込める
少し面白そうなユーカリばかりです{#笑顔}

# by eucalyptus_k | 2012-02-26 19:05 | ユーカリ(品種知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(6)

ユーカリの耐寒性

遂に大阪でも寒い日が連続でやってきました。
局地的な気温や計測器の情報では、
私の住んでいる周辺の最低気温は-1℃~-2℃。
家のベランダの囲われたゾーンで0~2℃となっています。

ところがこの数日はマンションの12階ということで、
地上に比べて恐ろしく風が強く、半ば軽い台風の如く。
風当たりの強い場所にポット苗を置いておくと、
支柱ごと根こそぎ引き抜かれてしまうといった状況です。

ベランダで作業をしているときに
突風に合うと一瞬息ができなくなり、
まっすぐ立っていることさえ困難になります。
また、スキーウェアを着ていないと作業が出来ないほどの寒さです。
他のお宅から折れた枝や洗濯物、
ラベルなどがどんどん飛んできます。
ちなみに耐寒温度をリンケ耐寒温度に基づいて計算してみると、
-8~-12℃くらいあることが分かりました。。。

寒いだけなら多分大丈夫なのでしょうが、
この異様に強い寒風で相当参っているものがあるようです。
ホームセンターで安売りしている簡易温室に入れてあるものは、
耐寒性のない品種で1cm程度の双葉でもピンピンしています。
もちろん温室は無加温で気温はほとんど外と変わりません。
風だけはほぼ完全にシャットアウトできています。

こんな中で、ヘタるユーカリ、
ピンピンしているユーカリと様々です。
今のユーカリの状況を自身の記録も含めて載せます。
もしよろしければご参考にしてください。

-------------------------------------------------------------
最低気温:0~2℃
瞬間最大風速:10m以上(突風時は直立困難な状況)
耐寒温度:-8~-12℃ ※リンケ体感温度による
霜:軒下のためほぼなし
-------------------------------------------------------------

<野外では退避措置が必要なもの>
●Eucalyptus camaldulensis(40cm)
(新芽が完全に萎れる、素焼き鉢で土の量が少なめ)
→簡易温室退避で問題なし
耐寒性はかなりあると思っていましたが、
新芽が寒風にめっきり弱いようです。
先端10cmくらいが完全に萎れてしまいます。

●Eucalyptus gamophylla(18cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
風さえなければこの気温では全然大丈夫です。
実家の庭の50cm程度の株は全然元気なので、
25cmを超える程度までは防寒対策が必要かもしれません。

●Eucalyptus polybractea(15cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
風さえなければこの気温では全然大丈夫です。
まだ幼いことが大きな要因かもしれません。
気温がもう少し高くても、とにかく風に弱いです。

●Eucalyptus forrestiana(10cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
かなり小さい状態での寒風は耐えられないようです。
簡易温室内では元気なものです。

●Eucalyptus pachyphylla(15cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
小さい状態での寒風は耐えられないようです。
簡易温室内では元気なものです。


<耐寒性低めでも簡易温室では問題のないもの>
※野外吹きっさらしではどうなるか不明です。
●Eucalyptus decipiens(25cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus pruinosa(15cm)
●Eucalyptus rudis(45cm)
→葉が固くなりますが、痛みはなし

●Eucalyptus pleurocarpa(15cm)
●Eucalyptus extrica(15cm)
●Eucalyptus erythrocorys(30cm)
●Eucalyptus pachyloma(5cm)
→新芽が赤くなりますが、痛みはなし

●Eucalyptus macrocarpa(15~25cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus rhodantha(5~15cm)
●Eucalyptus uncinata(45cm)
●Eucalyptus accedens(1.5cm)
→全く痛みなし


<葉に少し痛みはあるが株自体は元気なもの>
●Corymbia citriodora(120cm)
→葉が少し焼け、赤くなっているが新芽も何とか無事


<寒風に少しだけヘタるが耐えきれるもの>
●Eucalyptus globulus(20~45cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus polyanthemos(30~40cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus muelleriana(20cm)
●Eucalyptus websteriana(25cm)
●Eucalyptus smithii(20cm)
●Eucalyptus albopurpurea(30cm)
●Eucalyptus melanophloia(50cm)
●Eucalyptus 'Moon Lagoon'(20cm)
●Eucalyptus leucoxylon ssp. pruinosa(15cm)
→夜間に少し葉がヘタるが昼には復活

●Eucalyptus melliodora(40cm)
●Eucalyptus kruseana(35cm)
●Eucalyptus sideroxylon(20cm)
●Eucalyptus torquata(50cm)
→新芽の一部のみ一日中ヘタるが株自体は無事


<思っていたより耐寒性があったもの>
●Eucalyptus staigeriana(30cm)
●Eucalyptus orbifolia(50cm)
●Eucalyptus cladocalyx nana(18cm)
●Eucalyptus gillii(20cm)
●Eucalyptus lehmannii(40cm)
●Eucalyptus albida(15cm)
●Eucalyptus crucis(25cm)
●Eucalyptus tetraptera(20cm)
●Eucalyptus pluricaulis ssp. porphyrea(15cm)
●Eucalyptus caesia ssp. magna(25cm)
●Eucalyptus macrocarpa(15cm)
→ヘタりも痛みも全くなし


<成長したり新芽を展開するもの>
●Eucalyptus gunnii(10cm~60cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus perriniana(40cm)
●Eucalyptus nitens(20cm)
●Eucalyptus aromaphloia(25cm)
●Eucalyptus glaucescens(20cm)
●Eucalyptus dives(15cm)
●Eucalyptus dalrympleana(5~20cm)
●Eucalyptus rubida(5~20cm)
●Eucalyptus nova-anglica(5~20cm)
●Eucalyptus urnigera(5~15cm)
●Eucalyptus neglecta(2~8cm)
●Eucalyptus tenuiramis(25cm)
●Eucalyptus risdonii(20cm)
●Eucalyptus delegatensis(10cm~20cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus parvula(25cm)
●Eucalyptus cordata(25cm)
●Eucalyptus scoparia(35cm)
●Eucalyptus coccifera(5cm)
●Eucalyptus cephalocarpa(2cm)
●Eucalyptus cypellocarpa(2cm)
●Eucalyptus subcrenulata(8cm)
●Eucalyptus ovata(5~30cm)
●Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila(5cm)
●Eucalyptus pauciflora ssp. debeuzevillei(5cm)
●Eucalyptus vernicosa(2cm)

これらの品種は本当に凄いですね!
家ではgunniiperrinianaなどは寧ろ冬季の方が元気な程です。

野外越冬で気づいたポイントとしては、
・耐寒性が増す樹高のポイントは25cm以上
・風にさえ気をつければかなり耐える
・少し肌寒くなった間から寒さに慣らせておく
・水遣りのタイミングに気をつける

などです。

その中でも寒風だけは本当に怖いですね。
調べたところによると、
体感温度は風速1mでおよそ1℃下がるようです。
マンションでは寒さには強風が付きものですから。。。

全て無事に越冬できるように学びながら頑張ります!

# by eucalyptus_k | 2010-12-26 20:10 | ユーカリ(栽培知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(0)
 
1/1
 
ブログ内記事検索
カテゴリ
ランダム掲載画像
おすすめユーカリ販売先

珍しいユーカリの宝庫です♪