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樹高の伸びと下葉がなくなる問題

梅雨も終わりに差し掛かり、
大阪では軽く30℃を超える日がやってきました。

晴れの日には高温乾燥が好きな
西AZのユーカリを中心に
やっと面倒な梅雨が明けたかとばかりに
新芽の展開を進め始めています。

一部の湿地帯生息種で且つ高温が好きな品種以外は
基本的にユーカリは梅雨時期が苦手で、
多くの品種では葉が傷んだり、
冬の間の傷んだ葉を散らせたりします。

春に次いでこれから
ますます成長を進めていくわけですが、
30m~80mになるような大型品種の場合、
鉢植えでも放置すれば、
ほんの数年で数mになるものがあります。

我が家のベランダでも、

camaldulensis...3m
globulus ssp. globulus...3m
citriodora...3m
risdonii...3m
melliodora...3m
leucoxylon ssp. pruinosa...2.5m
viminalis ssp. viminalis...2.5m
globulus ssp. bicostata...2.5m
coolabah...2.5m
sideroxylon...2m
staigeriana...2m
smithii...2m
rudis...2m
cypellocarpa...2m
morrisbyi...2m
robusta...2m
subcrenulata...2m
maculata...1.7m
bridgesiana...1.8m

と軒並み2mオーバーのオンパレードで、
ほとんどが1.5mオーバー、
1m以内のものは数える程しかないという状況です。

fancybox記事327の画像1

fancybox記事327の画像2

ちょうどこちらの写真に写っている
物干し用の竿が2m弱くらいの高さになります。

先年、足場板で土台を組んで、
全体的な日照を向上させたのが良かったようです。

また毎年猛威を振るっていた、
うどんこ病ハダニの被害も
今年はほぼ皆無という状況で、
これも激しい成長に拍車をかけているようです。

さらに一部の2mオーバー級では、
末葉に変わるものまで出だしています。

fancybox記事327の画像3
末葉に変わりだしたsmithii

鉢は全てが6号スリット鉢で、
一部のものでは5号のものまであります。

通常であれば、鉢のサイズだけで見ると、
完全に根詰まり状態のはずなのですが、
スリット鉢の効果でしょうか。
もちろんそれなりに根はパンパンですが、
根詰まりで急を要するような株はありません。

ただこの大きさになってくると、
下葉はどんどんと落ちていき、
特に2.5~3m級のものでは、
上部1/3程度にしか葉がありません。

fancybox記事327の画像4
物干し竿から下はほとんど葉がないものが多い

ただどれも健康状態自体は悪くはなく、
3mというと完全に天井に頭を打つのですが、
頭を打って削られた頂点の成長はストップして、
その少し下くらいから脇芽を盛んに出しています。

fancybox記事327の画像5
天井に擦られて横から芽を出したcamaldulensis

私は鉢植え管理の宿命と割り切って、
あまり下葉の減少を気にしていませんが、
これは多くのユーカリを美しく育てたい方には、
大きな問題になっているようです。

これの打開策はプロでも悩むところと聞き及びますし、
私にも今のところ、良い案は浮かんでいません。

安全策を取るのであれば、
ある程度葉を残して、切ることですが、
そもそもかなり上部にしか葉がないわけなので、
所詮、妥協策でしかなく、年々下葉は減り続けます。

また上をいくら切り続けても、
下の方はどんどん木化が進んでいき、
下から枝が出るという成果には全く貢献できません。

ただ比較的風通しの良い場所にある、
melliodoraでは、半分以上も葉が残っていたりするので、
下部の風通しの改善などは若干効果があるかもしれません。

fancybox記事327の画像6
melliodoraの幹の下の方

それでも最終的には、限界を迎えて、
一か八かで、かなり下の葉のない部分で
バッサリ切ってしまうのもありなのでしょうが、
その方法で生き残るかどうかは本当に博打感覚です。

実は私はその方法を実行して、
今まで一度も枯らせたことはありませんが、
やはり相応の覚悟が必要になりますし、
時期を間違えるとダメになってしまうこともあります。

やはり先日の記事で書いたように、
「ユーカリは樹木である」という事実がある限り、
ある程度は仕方のないことなのかもしれません。

下の方の幹に傷を付けて、
そこから新芽を出させるという高等テクもありますが、
私は一度もうまくいったことはありません。

上の方の新芽部分をしつこく傷つけていると、
株元から芽が出るという実例もあるのですが、
これも本当にその株次第で絶対というわけではありません。

結局、全く解決策の提示ができないのですが、
もしユーカリが好きなら、
そんなユーカリの姿も受け入れて
楽しく育ててみるのはどうでしょうか?

何か良い方法がある場合、教えていただければ、
株数はありますので、色々と実験も可能です。

それでも、綺麗な樹形でなければ嫌だ!という方は、
とにかく低樹高の内から小まめな摘芯や剪定を心がけるか、
そもそも低樹高で収まる品種や脇芽を吹きやすい品種を
選択して育てるのが良いと思います。

我が家でも、脇芽の吹きやすいcrenulataや、
albida/moon lagoonなどでは、
100~180cm程度になっても、
割と綺麗な樹形を保つことができています。

fancybox記事327の画像7
crenulata(樹高150cm)

fancybox記事327の画像8
albida(樹高100cm)

fancybox記事327の画像9
moon lagoon(樹高130cm)

大型樹木を鉢植えで美しく育てる。
これは趣味の栽培者の永遠の課題ですね。

# by eucalyptus_k | 2014-07-02 16:25 | ユーカリ(栽培知識)
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【ユーカリ紹介-68】
ユーカリ・サブクレヌラータ (Eucalyptus subcrenulata)

続きまして第68回目は
光沢のある鮮やかな深緑色の葉が美しく、
素晴らしい香りが魅力のタスマニア島固有種
ユーカリ・サブクレヌラータです。

◎ユーカリ・サブクレヌラータ
【学名:Eucalyptus subcrenulata】
【英名:Tasmanian Alpine Yellow Gum】
fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像1

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像2

以前、crenulataというユーカリを紹介しましたが、
今回ご紹介するのはsubが付いた
subcrenulataというユーカリになります。

crenulataの意味は
「小さい丸い歯のついた端がある」という意味で、
subが付いているので、crenulataの次に
葉の縁がギザギザになっているという意味になります。

crenulataは誰でもわかる程に
葉の周囲が激しくギザギザになっています。
一方subcrenulataはそれよりは控えめですが、
確かに同じようにギザギザになっています。

この2種は、名前の類似点から考えると
subcrenulatacrenulata
亜種のように思ってしまいがちですが、
実際は名前の由来になっているこのポイント以外には
ほとんど共通点のない、全く異なったユーカリです。

crenulataはVictoria州の湿地帯に生息するユーカリですが、
subcrenulataは、その英名からもわかるように、
タスマニア島の高山地帯出身のユーカリです。
またgunnii等と同様に、完全なタスマニア島固有種になります。

パッと見はあまり大きくなりそうもないsubcrenulataですが、
樹皮が黄色みを帯びた20m前後の立派な樹木へと成長します。

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像3

苗木の間では写真のような卵型の葉をしていますが、
他の多くの大型ユーカリのように、
大きく育ってからは細長い槍型の葉へと変化します。

subcrenulataの見た目の特徴としては、
強い光沢を持った鮮やかな深緑色の葉でしょう。
激しい光沢とその鮮やかな緑色、ツルっとした葉の質感は、
一見するとユーカリとは思えないような外観で、
まるで在来の樹木のようにも見えます。

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像4

新芽のあたりでは比較的先の尖った小さな葉を生成しますが、
その葉は段々と大きくなり、次第に丸みを帯びていきます。
葉の周囲はその学名の通りギザギザになっています。

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像5

以前紹介したvernicosaという
超級レアなユーカリがありますが、
subcrenulataはそのvernicosaとも良く間違われ、
vernicosaとして購入したタネが
subcrenulataのものであることが良くあります。

この2種は光沢のある深緑の卵型葉という点では
確かに非常に良く似ているといえます。

ただし、vernicosaは非常に成長が遅く、
葉の直径も2cm以内と非常に小さなものです。

ところがsubcrenulataは、
比較的初期から2cm以上の大きな葉を生成し、
大きなものでは、その葉の直径が、
5~8.5cmにもなることがあります。

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像6

葉の直径が大きく、成長も早い場合は、
このsubcrenulataで間違いないでしょう。

次にsubcrenulataの茎ですが、
globulusと同じように断面が手裏剣のような形をしている
ウイング型という形状をしています。
ただしglobulus等のように粉を吹くことはありません。

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像7

subcrenulataは、葉でも茎でも実でも、
粉を吹くようなところは全く存在しません。
どこもかしこも鮮やかな緑色をしています。

subcrenulataのもう一つの特徴ですが、
とても良い香りがするというところです。

詳しくは後述しますが、
glaucescensにも良く似た
globulus系のとても良い香りが強くします。

さて、そんなsubcrenulataの育て方についてですが、
subcrenulataは日本の高温多湿な
夏の暑さがあまり得意ではありません。

基本的には比較的大きな樹高になる品種のため、
元来、激しい成長力を持っているはずです。

確かに比較的涼しいsubcrenulataの成長期には、
びっくりするほどに激しく成長を進めます。

ところが大阪ではその成長期がとても短いため、
年間を通して見るとgunniiなどよりも
かなり大人しい感じがします。

もし東北や長野県などの冷涼地で栽培した場合には、
恐らくgunniiを超える程に激しい成長力を発揮すると思います。

大阪などの高温多湿な地域でsubcrenulataを育てると、
夏場に葉に軽い高温障害の症状が出ることがありますが、
さらに暑さに弱いtenuiramisなどと比べると、幾分マシで、
我が家では高温障害で葉枯れが出たことはありません。

ちょうど一番上の写真を見て頂くとわかりますが、
新芽の少し下くらいの葉で、葉脈を残して
少し色素が抜けている箇所があるかと思います。
これが軽い高温障害の症状になります。

subcrenulataの吸水量については、
gunniiよりは少し控え目ですが、
比較的、水が好きなユーカリであるといえます。
ちょうどtenuiramisと同程度くらいでしょうか。

育ててみた感じでは、過湿に対する耐性はかなり高く、
比較的湿った土壌でも上手く育つという情報もあります。
subcrenulataはあまり用土を選ばないユーカリです。

ただ、そこそこの水切れ耐性も同時に兼ね備えているようで、
cinereagunniiと比べると、さらに粘ります。

我が家のsubcrenulataの場合、
何故か鉢の表面はすぐに乾くのですが、
鉢底まで根が行きとどいているにも関わらず、
鉢底までカラカラになるには少し時間がかかるのです。

海外の栽培ガイドには、
「良く乾燥した貧しい土壌が最適」とありますので、
gunniiなどより少し乾燥気味に管理した方が、
より健康な株に育ちやすいかと思います。

subcrenulataはかなり日光が好きなユーカリです。
タスマニア固有種には、少しの耐陰性を兼ね備えた品種と、
激しい日光が必要な品種に大きく分かれていますが、
subcrenulataは後者の日光が必要な部類に属しています。

さすがにurnigeramorrisbyiなどのように、
終日のフルタイム直射が必要とまではいいませんが、
半日陰未満の環境では、生育が非常に悪くなります。

日照が足りないと、非常に貧弱なヨレヨレの葉ばかりを生成し、
葉はいつまで経っても大きくならずに、細長いままになります。

元々subcrenulataのような葉に光沢のあるユーカリは、
うどんこ病に弱いという弱点を持っていますが、
日照の足りないsubcrenulataの貧弱な葉には、
酷いうどんこ病の被害が出ることがあります。

夏場は、ほとんど成長が進まなくなるので、
少し涼しい場所に移動するのも良いでしょうが、
基本的には半日陰以上の環境で育てた方が良いでしょう。

その他で気になる点としては、
葉のシネオール分は決して少なくないはずなのですが、
実家の庭では比較的激しく虫害に合っており、
我が家のベランダでも尺取虫が付いたことがあるので、
subcrenulata虫の付きやすいユーカリといえるかもしれません。

高山地帯出身で英名にalpineとある
subcrenulataの耐寒性についてですが、
ユーカリ中でも間違いなくトップクラスです。

gunniiperrinianaには及びませんが、
-15℃程度までは問題なく耐えられるようです。

寒地に生息している他のユーカリでは、
冬季の過湿に対して比較的強い品種が多いのですが、
このsubcrenulataは、冬季の過湿を嫌います。

-15℃という高い耐寒性は、
乾燥気味に管理することで維持できます。

これはneglectaなどにもいえることですが、
冬季に過湿気味に管理をしてしまうと、
その強い耐寒性が著しく低下して、
マイナス数℃程度で少し葉痛みを生じることがあります。

西AZのユーカリ程ではありませんが、
冬季はかなり水を吸わなくなります。

乾燥気味に管理することさえできれば、
霜が降ろうが雪が降ろうが寒風が吹こうが
全く問題なく冬を越すことができます。

前述した通り、魅力的なsubcrenulataの香りですが、
globulusglaucescensに良く似た非常に良い香りがします。

果実色が強く、甘みのあるglaucescensの香りに対して、
subcrenulataの香りは、果実色に加え、
ハーバル色が強くスッキリとしています。

globulusの香りにも良く似ていますが、
突き抜けるようなシネオールの強さはありません。

このsubcrenulataの香りは、非常に良い香りで、
間違いなく良い香りのユーカリで5本の指に入ります。

香りの強さはglobulusのように、
少し触れただけで良く香るという程までは強くありませんが、
それでもcinereaなどよりも良く香ります。
もちろん香りを楽しむユーカリとして利用できます。

fancyboxサブクレヌラータ(Eucalyptus subcrenulata)の画像8

ユーカリの銀葉が好きな方には
少し異色な存在であるsubcrenulataですが、
銀葉ではなく、葉に光沢があり、
鮮やかな深緑色の葉を持つユーカリは、
思ったよりもたくさん存在しています。

subcrenulataはそんなユーカリ達の中では、
特に魅力的で育てやすいユーカリです。

日光に輝く鮮やかで美しい葉色に加えて、
何よりもその香りはとても素晴らしいです。

香りの良いユーカリをお探しの方には
特にオススメなユーカリの一つです。

以前ユーカリプレゼントで、
subcrenulataを差し上げたことがありますが、
その香りの良さにはとてもご満足いただきました。

残念ながら、現在日本で
subcrenulataの苗を手に入れる方法はありません。

もし育ててみたい方がいらっしゃったら、
タネの販売先をご紹介します。

タネから育てるのも比較的楽なユーカリですので、
ユーカリをタネから育てる入門編にも最適です。
ポイントは比較的涼しい時期にタネ播きをすることです。

特に冷涼地にお住まいの方には、
素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれることと思います。

是非ともsubcrenulataを育ててみて、
その素晴らしい香りを体感してみてください。

------------------------------
<栽培難易度:B>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★
成長力:★★★

要水分:★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2013-10-10 17:27 | ユーカリ紹介
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ユーカリの発芽と事前処理

ユーカリはオーストラリアの各所に生息し、
暑いのが好きなものから、寒いのが好きなもの、
湿潤を好むものから、乾燥を好むものまで
本当に多種多様な品種があります。

その中でも特に寒いのが好きな品種で、
高山や純高山に生息しているような品種には、
上手く発芽をさせるために、
コールドトリートメント(冷却処理)
必要とする品種がいくつかあります。

この処理は、収穫仕立てのタネでもない限り、
大概は冷蔵庫などの中で長期保管されていますから、
全く行わなくても発芽ゼロということは滅多にありません。

私も数株程度確保できればいいので、
この処理をしっかりと行うようなことは滅多にありませんが、
商用などで、より多くを発芽させるためには、
この処理を工夫する必要がありそうです。

先年の秋口に下記のタネを播きました。
Eucalyptus kybeanensis
Eucalyptus glaucescens(Mallee)

glaucescensについては、
以前から育ててはいますが、
珍しいMallee(灌木)タイプのものが
新たに手に入ったので新しく播きました。

これらの品種は、比較的長い
コールドトリートメントを必要とする品種です。

どちらももちろん購入した時点で
収穫仕立てではないでしょうから、
そのまま何もせずに播きました。

私は5.5cmの小さなポリポットに
少しタネを播くくらいですが、
それでも発芽率の良いものであれば、
数えられないほど発芽することがあります。

上記の品種の結果としては、
kybeanensisがわずか3株、
glaucescensが4株という結果でした。

これは信じられないくらい悪い率です。

どちらも寒さにはとても強い品種なので、
そのまま屋外放置で育てながら、
冬を超えて、最近暖かくなってきてから、
そのポットの状態を見てみました。

すると!
信じられないくらいたくさん発芽しています!

恐らく、冬季屋外放置(水は切らしません)で
天然のコールドトリートメントが成立したのでしょう。

趣味で育てているような人は、
少し冷蔵庫でそのままタネを保管してから播けば、
発芽率は悪くとも、それなりに発芽するものです。

冷蔵庫でそのまま保管するという方法は
簡易コールドトリートメント
とでも言ったところでしょうか。

ところが実際の正式なコールドトリートメントは、
タネにしっかりと吸水を行いながら、
指定期間冷蔵保存するというのが正しいのです。

一例として、公開されているやり方としては、
湿らせた不織布などにタネを包み、
容器に入れて、冷蔵庫などで指定期間保管します。
不織布が乾いたら適宜湿らせていきます。

下記は一般的にトリートメントが必要とされている品種です。
確かにcoccofera/pauciflora/nitens/delegatensisなどでは、
冬を超えてから大量に発芽したということが何度もありました。

※期間は必要とされているトリートメントの期間です。
※☆のついている品種ではトリートメントの重要度は低いです。
※あくまでも一例で他にもあります。

Eucalyptus serraensis ... 6週間
Eucalyptus aggregata ... 4週間☆
Eucalyptus coccifera ... 6週間
Eucalyptus crenulata ... 6週間☆
Eucalyptus cypellocarpa ... 1週間程度☆
Eucalyptus dalrympleana ... 4週間☆
Eucalyptus delegatensis ... 8週間から冬季中
Eucalyptus glaucescens ... 6週間
Eucalyptus globulus ... 3週間☆
Eucalyptus gregsoniana ... 4週間
Eucalyptus johnstonii ... 4週間
Eucalyptus kybeanensis ... 4週間
Eucalyptus melliodora ... 3週間☆
Eucalyptus moorei ... 5週間☆
Eucalyptus nitens ... 4週間
Eucalyptus obliqua ... 4週間
Eucalyptus ovata ... 6週間
Eucalyptus pauciflora(亜種含む) ... 6週間以上
Eucalyptus perriniana ... 4週間
Eucalyptus pulverulenta ... 4週間☆
Eucalyptus radiata ... 2週間程度☆
Eucalyptus regnans ... 4週間
Eucalyptus rodwayi ... 4週間☆
Eucalyptus rubida ... 4週間☆
Eucalyptus subcrenulata ... 4週間
Eucalyptus tenuiramis ... 4週間
Eucalyptus vernicosa ... 6週間

多くの苗がちゃんと必要な人は、
コールドトリートメント
しっかりと行った方が良さそうですが、
気長に育てている趣味レベルの人は、
秋口にタネを播いて、水を切らさないように
そのまま越冬すれば春にはたくさん発芽しているでしょう。

この真性のコールドトリートメントですが、
保管状態や場所が悪いと、
そのままタネが腐ってしまうこともあるので、
少し気をつけてくださいね。

# by eucalyptus_k | 2013-03-26 12:21 | ユーカリ(栽培知識)
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タネ播きの適期・適温

最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。

当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。

良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。

ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。

1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です

主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata

これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。

ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。

ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。


2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana

どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。

これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。

グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。

これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。

また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。

このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。

冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。

ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。

一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensdalrympleananitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。

主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona


これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。

このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。

ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。

また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。


4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah


どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。

これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。

これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis

これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。

逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。

どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。


今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。

タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
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ユーカリの耐寒性

遂に大阪でも寒い日が連続でやってきました。
局地的な気温や計測器の情報では、
私の住んでいる周辺の最低気温は-1℃~-2℃。
家のベランダの囲われたゾーンで0~2℃となっています。

ところがこの数日はマンションの12階ということで、
地上に比べて恐ろしく風が強く、半ば軽い台風の如く。
風当たりの強い場所にポット苗を置いておくと、
支柱ごと根こそぎ引き抜かれてしまうといった状況です。

ベランダで作業をしているときに
突風に合うと一瞬息ができなくなり、
まっすぐ立っていることさえ困難になります。
また、スキーウェアを着ていないと作業が出来ないほどの寒さです。
他のお宅から折れた枝や洗濯物、
ラベルなどがどんどん飛んできます。
ちなみに耐寒温度をリンケ耐寒温度に基づいて計算してみると、
-8~-12℃くらいあることが分かりました。。。

寒いだけなら多分大丈夫なのでしょうが、
この異様に強い寒風で相当参っているものがあるようです。
ホームセンターで安売りしている簡易温室に入れてあるものは、
耐寒性のない品種で1cm程度の双葉でもピンピンしています。
もちろん温室は無加温で気温はほとんど外と変わりません。
風だけはほぼ完全にシャットアウトできています。

こんな中で、ヘタるユーカリ、
ピンピンしているユーカリと様々です。
今のユーカリの状況を自身の記録も含めて載せます。
もしよろしければご参考にしてください。

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最低気温:0~2℃
瞬間最大風速:10m以上(突風時は直立困難な状況)
耐寒温度:-8~-12℃ ※リンケ体感温度による
霜:軒下のためほぼなし
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<野外では退避措置が必要なもの>
●Eucalyptus camaldulensis(40cm)
(新芽が完全に萎れる、素焼き鉢で土の量が少なめ)
→簡易温室退避で問題なし
耐寒性はかなりあると思っていましたが、
新芽が寒風にめっきり弱いようです。
先端10cmくらいが完全に萎れてしまいます。

●Eucalyptus gamophylla(18cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
風さえなければこの気温では全然大丈夫です。
実家の庭の50cm程度の株は全然元気なので、
25cmを超える程度までは防寒対策が必要かもしれません。

●Eucalyptus polybractea(15cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
風さえなければこの気温では全然大丈夫です。
まだ幼いことが大きな要因かもしれません。
気温がもう少し高くても、とにかく風に弱いです。

●Eucalyptus forrestiana(10cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
かなり小さい状態での寒風は耐えられないようです。
簡易温室内では元気なものです。

●Eucalyptus pachyphylla(15cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
小さい状態での寒風は耐えられないようです。
簡易温室内では元気なものです。


<耐寒性低めでも簡易温室では問題のないもの>
※野外吹きっさらしではどうなるか不明です。
●Eucalyptus decipiens(25cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus pruinosa(15cm)
●Eucalyptus rudis(45cm)
→葉が固くなりますが、痛みはなし

●Eucalyptus pleurocarpa(15cm)
●Eucalyptus extrica(15cm)
●Eucalyptus erythrocorys(30cm)
●Eucalyptus pachyloma(5cm)
→新芽が赤くなりますが、痛みはなし

●Eucalyptus macrocarpa(15~25cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus rhodantha(5~15cm)
●Eucalyptus uncinata(45cm)
●Eucalyptus accedens(1.5cm)
→全く痛みなし


<葉に少し痛みはあるが株自体は元気なもの>
●Corymbia citriodora(120cm)
→葉が少し焼け、赤くなっているが新芽も何とか無事


<寒風に少しだけヘタるが耐えきれるもの>
●Eucalyptus globulus(20~45cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus polyanthemos(30~40cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus muelleriana(20cm)
●Eucalyptus websteriana(25cm)
●Eucalyptus smithii(20cm)
●Eucalyptus albopurpurea(30cm)
●Eucalyptus melanophloia(50cm)
●Eucalyptus 'Moon Lagoon'(20cm)
●Eucalyptus leucoxylon ssp. pruinosa(15cm)
→夜間に少し葉がヘタるが昼には復活

●Eucalyptus melliodora(40cm)
●Eucalyptus kruseana(35cm)
●Eucalyptus sideroxylon(20cm)
●Eucalyptus torquata(50cm)
→新芽の一部のみ一日中ヘタるが株自体は無事


<思っていたより耐寒性があったもの>
●Eucalyptus staigeriana(30cm)
●Eucalyptus orbifolia(50cm)
●Eucalyptus cladocalyx nana(18cm)
●Eucalyptus gillii(20cm)
●Eucalyptus lehmannii(40cm)
●Eucalyptus albida(15cm)
●Eucalyptus crucis(25cm)
●Eucalyptus tetraptera(20cm)
●Eucalyptus pluricaulis ssp. porphyrea(15cm)
●Eucalyptus caesia ssp. magna(25cm)
●Eucalyptus macrocarpa(15cm)
→ヘタりも痛みも全くなし


<成長したり新芽を展開するもの>
●Eucalyptus gunnii(10cm~60cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus perriniana(40cm)
●Eucalyptus nitens(20cm)
●Eucalyptus aromaphloia(25cm)
●Eucalyptus glaucescens(20cm)
●Eucalyptus dives(15cm)
●Eucalyptus dalrympleana(5~20cm)
●Eucalyptus rubida(5~20cm)
●Eucalyptus nova-anglica(5~20cm)
●Eucalyptus urnigera(5~15cm)
●Eucalyptus neglecta(2~8cm)
●Eucalyptus tenuiramis(25cm)
●Eucalyptus risdonii(20cm)
●Eucalyptus delegatensis(10cm~20cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus parvula(25cm)
●Eucalyptus cordata(25cm)
●Eucalyptus scoparia(35cm)
●Eucalyptus coccifera(5cm)
●Eucalyptus cephalocarpa(2cm)
●Eucalyptus cypellocarpa(2cm)
●Eucalyptus subcrenulata(8cm)
●Eucalyptus ovata(5~30cm)
●Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila(5cm)
●Eucalyptus pauciflora ssp. debeuzevillei(5cm)
●Eucalyptus vernicosa(2cm)

これらの品種は本当に凄いですね!
家ではgunniiperrinianaなどは寧ろ冬季の方が元気な程です。

野外越冬で気づいたポイントとしては、
・耐寒性が増す樹高のポイントは25cm以上
・風にさえ気をつければかなり耐える
・少し肌寒くなった間から寒さに慣らせておく
・水遣りのタイミングに気をつける

などです。

その中でも寒風だけは本当に怖いですね。
調べたところによると、
体感温度は風速1mでおよそ1℃下がるようです。
マンションでは寒さには強風が付きものですから。。。

全て無事に越冬できるように学びながら頑張ります!

# by eucalyptus_k | 2010-12-26 20:10 | ユーカリ(栽培知識)
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