月別の記事表示
月 
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
             

今年の冬季管理からわかったこと

初めに!
非常に遅くなってしまいましたが、、、

あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします!

今年はブログの機能追加と
それに関するトラブル云々に加えて、
年末年始のバタバタで、
記事の更新もままなりませんでした><;

季節は厳冬期に差し掛かろうというところですが、
今年は未だに温室を出してさえいません。
寒さに弱いユーカリを軒下に移動させたり、
後ろに下げるといったようなことも全く行っていません。

camaldulensis/robusta/melanophloia/rudis
レモンユーカリといったような、
そこまで寒さに強くないユーカリは
既に真っ赤に紅葉しています。

ところが、
decipiens/kruseana/pleurocarpa/extrica

などの若干耐寒性に難ありの西AZのユーカリや、
耐寒性が未知数の新参のユーカリについては、
特に大きな葉痛みや、紅葉も起こっていません。

我が家で最も耐寒性に難のあるerythrocorysも、
成長が進んで、葉の毛がなくなり、
光沢のある葉へと変わったからでしょうか。
今のところ目立った痛みは出ていません。

このままいけそうな気もしているので、
今年は、まだしばらく、
温室や移動なしで行きたいと思っています。

今年の管理で、例年と大きく違うところは、ただ一つ!
ほぼ全ての株で、鉢の上からは全く水を与えていないことです。

寒さに強く、冬季の吸水もそこそこあるような、
globulus/risdoniiなどはその限りではありませんが、
特にmacrocarpaなどのユーカリでは、3~14日に1回程度、
ほんの数秒、鉢底のスリットから軽く水をかける程度です。

特に冬季の吸水が少ないユーカリにwoodwardiiがあります。
我が家のwoodwardiiは35cmくらいの樹高で、
スリットの5号鉢に植わっています。
これももちろん、鉢底のスリットからの吸水のみです。

試しに、用土全てがカラカラの状態のときに、
鉢底のスリットから5秒程度水をかけて、
そこから、鉢底のスリットから見える土が、
何日で乾くのかを実験してみました。

結果は、余裕で半月以上かかりました。

わずか5秒、鉢底から水をかけただけですから、
用土の表面は最初から最後までカラカラです。

60cmで6号鉢のkruseanaでも実験しましたが、
余裕で半月くらいは湿ったままでした。

これは、鉢底から見えるスリット付近の土だけの話ですから、
恐らく完全に水が切れて、枯れが出るまでには、
まだ何日も余裕があるものだと思います。

これらのユーカリが、
冬季はどれほど水を吸わないのかがわかります。

先年までの冬季管理では、最低でも半月に1度くらい、
鉢の表面からたっぷりと水を与えていました。
これでは正直少ないかなと思っていたのですが、
とんでもない話で、寧ろ多すぎたようですね。

今年、一切温室を使用していなくても、
ほとんど全てのユーカリに痛みがないのは、
この吸水量の調整の恩恵なのかもしれません。

吸水を減らし、乾燥気味に管理することで、
大幅に耐寒性を上げることができる。

この言葉の意味をようやく体感できた気がします。

一方で、冬季にこれらのユーカリを
常時、雨の当たる場所で管理するというのは
ちょっと難しいことなのかもしれません。。。

# by eucalyptus_k | 2013-01-05 19:38 | ユーカリ(栽培知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(11)

【ユーカリ紹介-53】
レモンユーカリ (Corymbia citriodora)

続きまして第53回目は
日本でも超有名なレモンユーカリ
蚊の禁忌効果などハーブとしても重宝され、
渋めのレモンの皮の香りを強く香らせる
コリンビア・シトリオドラです。

◎レモンユーカリ
【学名:Corymbia citriodora】
【英名:Lemon-scented Gum / Spotted Gum】
fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像1

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像2

ここに来てようやく、
このメジャーなユーカリを紹介することができました。

我が家でも年中調子の良いユーカリで、
現在のところ、6号鉢で2.3mを超える樹高がありますが、
実はメジャー過ぎて、紹介を忘れていました。。。

ユーカリのことなんてあまり知らないという方でも、
少し園芸をかじっている方なら、誰もが
レモンユーカリといえば知っているほどにメジャーで、
ホームセンターや園芸店などでも良く見かけます。

ユーカリと呼ばれる植物には3つの属が存在します。
最も良く知られているのがEucalyptus属ですね。

今までユーカリ紹介に登場した全てのユーカリは、
このEucalyptus属になります。

あと2つはCorymbia属Angophora属です。

Corymbia属は主にEucalyptus属よりも暖かい地域に生息し、
タネや実がとても大きいという特徴があります。
また幼い間は葉が毛で覆われており、
成長するに従って、葉の毛がなくなり、
光沢が出てくるという品種が多いです。
またどれも柑橘系の香りがする品種ばかりです。

Angophora属はさらに暖かく、ほぼ熱帯に近い地域に生息し、
タネがCorymbia属よりもさらに大きいという特徴があります。
成樹の外観はCorymbia属と良く似ています。

このレモンユーカリは、そのCorymbia属に属するユーカリです。
柑橘系の香りがするCorymbia属の中でも
最もレモンの香りが強いのがレモンユーカリです。
学名のcitriodoraもそのままレモンの香りという意味です。

屋外用の観葉植物としてありふれたレモンユーカリですが、
実は50m級の立派な樹木に成長する超大型品種です。

良く地植えをされる方がいるようですが、
いつまで経ってもヒョロっとしており、
台風などの際に折れて倒れたという話を良く聞きます。

実はレモンユーカリは、オーストラリアでもとても暖かい、
亜熱帯地域であるゴールドコーストやケアンズ周辺に
生息しているユーカリです。

一つはかなりの大型樹木であるため、
数メートルの樹高があったとしても、
あくまでも苗木でしかないので、
幹が太りきっていないということもあります。

それに加え、本州の暖地では、
レモンユーカリが本来のパフォーマンスを出すには
少し気温が足らないということも考えられます。

レモンユーカリの生息地の気候は沖縄に良く似ています。
沖縄でレモンユーカリを地植えで育てている人を知っていますが、
そのレモンユーカリは樹高が数十メートルの立派な大木となり、
しっかりと毎年花を咲かせているそうです。

本州で地植えをするには、色々な意味で無理があるため、
やはり鉢植えでコンパクトに管理した方が良いでしょう。

とはいえ、さすが大型樹木!
気候が合わないとはいえ、成長力はかなりのものがあります。

またレモンユーカリの生息地の降雨量は
夏場には軽いスコールが降るようなところですから、
本州のあらゆる地域に比べてかなり多いです。

日本では少し湿潤すぎて
パフォーマンスがイマイチなユーカリが多い中、
レモンユーカリは、湿度や降雨量的には
日本にとても合っているユーカリです。

そのため、鉢植えであまり気を使わずに管理しても、
ワンシーズンで1m近く成長することもあります。

我が家でもかなり激しく切り戻して、
紅茶とミックスしてレモン風味の紅茶として使用したり、
お風呂に入れたりして活用してますが、
それでも毎年2mを超える樹高になっています。

我が家では都合が良いので、
下の写真のように物干しの柱を支柱としてくくりつけています。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像3

6号鉢で2mオーバーということもあるでしょうが、
樹高や葉の大きさの割にはかなりヒョロっとしており、
支柱にくくりつけていないと、
上半分は完全に地面に垂れて着いてしまうほどです。

レモンユーカリの特徴は、とにかく激しく毛が生えており、
とても大きなサイズの葉をしているところです。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像4

この葉に生えた毛には諸説ありますが、
暑い地域に生息しているユーカリのため、
葉の蒸散効率を上げているという説が有力です。

大きく育つとこの毛は全てなくなり、
ツルっとした光沢のある葉に変わります。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像5

我が家では、まだ毛のない葉は生じていませんが、
生育環境や個体差により、
かなり早い段階で毛がなくなることもあります。

とても強く香るレモンユーカリですが、
毛のなくなった個体では、香りがかなり控えめになります。
ただし、毛がなくなると幾分か耐寒性が上がるようです。

葉に毛の生えている間は
茎にも同様に毛が激しく生えています。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像6

この毛は思ったよりもしっかりしていて、
もちろん手に刺さる程の固さはありませんが、
固いところでは男性の髭くらいの固さがあり、
肌の柔らかいところで激しくこすると、
少し肌が痛くなるほどに強靭です。

面白い情報として、剪定したレモンユーカリの葉や茎を
ハーブ利用のために乾燥させるとき、
トレイに入れて日陰で干していると、
この毛が抜けて、トレイの下に粉のように大量にたまります。

生育状況が極めて良いということもありますが、
我が家ではトップクラスに葉の大きなユーカリです。

大きめの葉の長さを測ってみましたが、
20cmもあってびっくりしました!
ちなみに1m程度の樹高であっても、
このサイズの葉が何枚も出ていました。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像7

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像8

レモンユーカリの育て方についてですが、
土の排水性が極端に悪くない場合は、
通常の観葉植物と同様に育てることができます。

水遣りも一般的な観葉植物と同じで、
夏季は表面が乾いたらたっぷり水遣りで大丈夫です。

恐らく、ある程度の樹高がある株は
真夏であれば毎日の水遣りが必要になるでしょう。

ただ湿潤を好み、かなりの水食いであっても、
用土の排水性が悪いベタ土は嫌います。
オリーブなどの乾燥を好む観葉植物と同じように
排水性の良い用土を使用した方が明らかに生育は良くなります。

精油が強烈なため、病虫害はほとんど皆無に等しいです。
たまにハキリバチや芋虫が付くそうですが、
決して深刻になるようなことはありません。

また新芽限定でアブラムシが付くこともあるようですが、
余程株が幼くない限り大した問題にはなりません。

その他では、我が家のようにイマイチな環境でも、
うどんこ病ハダニの被害が出ることは全くありません。

超初心者向けで、在来の植物とほぼ同じように
育てられる程に強健なレモンユーカリですが、
一つだけ厄介な弱点があります。

それは暖かい地域に生息しているため、
耐寒性が非常に弱いというところです。

日本で販売されている場合の説明書きには
万全を期して3℃以上と書かれています。

実際のレモンユーカリの耐寒性は
地植えの成樹で-6℃程度と言われています。

ユーカリの管理にあまり慣れていない人は、
0℃以上の管理を心掛ければ安心です。

その場合は、関西や関東の暖地でも、寒い日の夜には
屋内に取り込むなどの対処が必要です。

レモンユーカリはかなりの過湿耐性を兼ね備えているため、
冬季に室内管理をすることも不可能ではありません。

ただ、その場合はかなり明るい、
直射日光の当たる窓辺に置くことが必須です。

私的には、面倒でなければ、
夜だけ屋内に取り込むなどの管理を推奨します。

東北地方などの寒い場所では、
よほど冬季の管理がうまくない限りは
屋外越冬は難しいかもしれません。

ユーカリの冬季管理に慣れている
親愛なるこあら師匠や私は、
-5℃程度まで下がる大阪の冬でも
レモンユーカリを完全屋外越冬させています。

コツは色々ありますが、
とにかく潅水を極限まで少なめにするということです。

下の写真は厳冬期のレモンユーカリです。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像9

葉は真っ赤になり、
ところどころに霜焼けのような葉痛みが生じています。

このように屋外越冬させる場合は、
葉がボロボロになるという覚悟だけは必要です。

ただ、春が来るとともに、傷んだ葉はほとんど散り、
新しい葉がどんどん出てくるのでさほど問題にはなりません。

こちらの写真の株も、毎年屋外越冬ですが、
すでに冬の痛みの跡は全く見られません。

さらに寒い場所でレモンユーカリを屋外越冬させた場合、
全ての葉が傷んで散ってしまうこともあります。

それでも、枯れたと思って破棄しないでください。
根さえ生きていれば、葉が全てなくなっても、
レモンユーカリはかなりの確率で芽を吹きます。

どうしても室内管理が難しく、屋外で越冬させる場合は、
鉢の周りに防寒材を巻いたり、
発泡スチロールで鉢を防寒対策するだけでも、
かなり安全に屋外越冬させることができます。

どうしても心配な場合は、
葉もボロボロになりますので、
無理をせずに夜間だけ室内取り込みで問題ありません。

私がレモンユーカリを差し上げた知り合いに
ほとんど植物は放置という人がいます。
真冬には-7℃にもなる場所ですが、
冬も完全屋外放置で見るも無残な状態になります。
それでも毎年非常に元気に育っています。

この手のユーカリは、
あまり過保護にせず、放置くらいの方が
たくましく育ってくれるのかもしれません。

レモンユーカリの香りはそのまま名前の通りです。
以前に紹介したstaigeriana
お菓子のレモン香料の香りなのに対して、
レモンユーカリはそのままレモンの皮の香りです。

この香りの主成分はシトロネラールという成分です。
実はこの香りは山椒の葉や実の香りと全く同じなので、
人によっては山椒の香りと言う人もいます。

また人によってはアゲハ蝶の幼虫の舌の香りと言います。
実はこれはある種正解と言えるのです。
アゲハ蝶の幼虫はミカン科の植物や山椒に付きます。
学術的な根拠はありませんが、
恐らく、これらの葉に含まれるシトロネラールを吸収して、
舌の香りに利用しているのではないかと考えています。

シトロネラールには蚊を含む、多くの虫に対して
禁忌効果があるとされており、
蚊除けリングなどにその成分が活用されています。

ただ、効果があるのはあくまでも精油です。
レモンユーカリを育てているだけで
蚊が寄ってこないなどということはありません。
精油を抽出して利用しないと、
効果はほとんど得られませんのでご注意ください。

このレモンユーカリの香りですが、
ユーカリの中でもトップクラスに強いです。
恐らく、globulusと並んでNo.1と言っても良いです。

それでも育てていて香ってくることはほとんどありません。
ただし、葉に手が軽く当たっただけでも、
手に強くレモンユーカリの香りが残ります。

我が家では物干しにくくりつけているので、
たまに洗濯物が擦れて、香りが付くことがあります。

私はハーブ利用で乾燥させる前に、
細かく葉を裁断するのですが、
そのような場合には部屋中が
レモンユーカリの香りでいっぱいになります。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像10

レモンユーカリはとても育てやすいユーカリです。
あまりにも育てやすすぎて、
ユーカリであるということさえ忘れてしまう程です。

ただ巷では何故か良く枯らせるという話も聞きます。
一つ注意することは、ベタ土を嫌うというところです。
あまり用土は選びませんが、排水性が極端に悪いと、
在来の植物よりも根腐れする可能性は高くなります。

それでも少しでもユーカリをかじったことのある人には、
gunniiなどと比べても、ビックリするほど楽です。

この香り、少し好き嫌いがハッキリするところがありますが、
レモンユーカリのワイルドな香りが好きな方には
とてもオススメなユーカリです。

レモンユーカリ育ててみませんか?

------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★★

要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:☆
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2012-11-09 10:11 | ユーカリ紹介
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(19)

タネ播きの適期・適温

最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。

当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。

良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。

ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。

1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です

主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata

これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。

ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。

ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。


2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana

どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。

これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。

グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。

これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。

また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。

このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。

冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。

ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。

一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensdalrympleananitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。

主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona


これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。

このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。

ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。

また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。


4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah


どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。

これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。

これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis

これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。

逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。

どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。


今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。

タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(4)

ベランダでも育てられるユーカリ10選

私もユーカリを育て始めて数年になります。

日光の良く当たる広い庭で育てれば
そんなに難しい植物ではないユーカリですが、
日照も風通しもイマイチな
マンションのベランダで栽培すると
とても厄介な植物のように思えてきます。

放置しておけばぐんぐん育つ
実家の庭のユーカリたちを尻目に、
初期の頃のベランダ栽培は本当に困難を極めました。

今でも、結構病気がちな株があったり、
パフォーマンスがイマイチだったり、
これからも、学習の余地は多々あります。

そんな中、日照も風通しもイマイチで
空中湿度が高くなりがちな

ベランダでも育てやすいユーカリ10選

を発表したいと思います。

これは、日照や風通しの悪い、
とても狭い庭やその他スペースでの栽培の場合にも
参考になるかと思います。


1. Eucalyptus rudis
暑さにも湿度にも強いユーカリ
日照が良ければ成長力がとても激しくなりますが、
半日陰の方が大人しくて良いくらいです。
病気の蔓延する我が家でも病気知らずです。

2. Eucalyptus crenulata
耐陰性がとても強く、置き場所によって
あまり成長が左右されません。
ハダニなどの被害は激しいですが、
強健で調子が良いので問題なしです。

3. Eucalyptus risdonii
何故か家ではトップクラスに調子の良いユーカリ。
見た目も美しく、とてもオススメな品種です。
逆に少し涼しいくらいの環境が好みなので、
それがベランダの環境と合っているのかもしれません。
病害虫の影響は全く受けることはありません。

4. Eucalyptus tenuiramis
これもrisdoniiと並んでトップクラスに調子が良いです。
日照が良いと、馬鹿みたいに成長するので、
半日陰のベランダくらいの方が良いくらいです。
日照が悪くても美しい葉をキープし、病虫害知らずです。

5. Eucalyptus goniocalyx
日照の良い方がパフォーマンスは格段にあがりますが、
ベランダの悪い場所でもコンスタントに健康に成長します。
精油が濃く、葉が分厚いためか、病害虫の影響は皆無です。
家では最悪のクーラー室外機前に置いていますが、
それでも特に問題なく育っている強者です。

6. Eucalyptus viridis
日照が悪いとパフォーマンス自体はイマイチですが、
何よりも病害虫の影響なしで、コツコツと成長を続けてくれます。
あまり手がかからずに健康なのがとても良いです。

7. Eucalyptus robusta
日照が良いことがベストですが、
成長力と生命力がケタ外れているため、
他のユーカリと比べると、ベランダであっても
余りパフォーマンスの低下を感じられません。

8. Eucalyptus camaldulensis
成長力が激しすぎるので、家のベランダのような
イマイチの環境でいじめ気味に育てた方が
寧ろ丁度良いのではないかというユーカリです。
※それであってもまだ成長が激しすぎます!

9. Corymbia citriodora
これも成長が激しいのでベランダくらいの方が良いです。
また冬は少し寒さに弱いので、
比較的暖かいベランダとの相性がとても良いユーカリです。

10. Eucalyptus 'Moon Lagoon'
日照の良い方が格段にパフォーマンスは良いですが、
ベランダのような環境でも、
さほど大きなパフォーマンスの低下を感じません。
ただ成長はとても遅くなるので
気長に育てていくといった感じです。


どれも強健で過湿に強い品種ばかりです。
また、耐陰性が比較的強い品種か、
成長力が激しすぎて、環境が悪い方が
丁度良いというユーカリに分かれています。

ちなみに日本でメジャーなgunnii
globulus/cinerea/pulverulentaなどは、
日照が足りずにかなり難易度が高くなります。

globulusだけは枯らさずに管理するのは
さほど難しくはありませんが、
パフォーマンスは著しく低下します。

余り良い環境を用意できないという人は
ぜひとも参考にしてみてください{#音符}

# by eucalyptus_k | 2012-07-10 18:32 | ユーカリ(栽培知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(0)

水遣り三年

水遣りというのは本当に難しいものです。。。

「水遣り三年」という言葉があります。

何だかんだウンチクを垂れても、
マニュアルを読み漁っても、
プロに講義を受けてみたとしても、

本当に丁度三年の歳月を経て
私もようやく水遣りの感覚が養われてきました。

2010年~2011年の冬については
異様に雨が少なく、雑草が枯れ出す始末でした。
この冬は雨ざらしのユーカリにとっては
とっても良い環境となったようです。

そして、2011年~2012年の冬
比較的湿潤で雨が多かったように思います。
これは少しユーカリには雨が多すぎたようで、
雨ざらしのユーカリには多く枯れが出ているようです。
また、枯らせたという報告も多く頂いています。

でも、実際にユーカリは
そんなに難易度の高い植物ではありません。

ただ、日本では終日日光がふんだんに降り注ぐという
広いオープンスペースを確保することが難しいことと、
気候が湿潤なため、あまりユーカリには合っていないことで
どうしても水分管理が難しくなってしまいます。

水遣りが難しい原因は、植物の性質だけでなく、
設置環境や風通し、日照、用土、鉢などの要素により
大きく左右されるため、これ!という決め手がないためでしょう。

もし、一度機会があるのであれば、
下の写真のような小さなスリットポットで
全く同じ用土で30~40cmくらいまで栽培してみると
どのユーカリがどのくらい水食いで、
どのユーカリがびっくりするほど水を吸わないのか
非常に良く知ることができると思います。

fancybox記事188の画像1

fancybox記事188の画像2

例えば上の写真はmacrocarpaですが、
これを真夏の日光下に置いていたとしたら、
間違いなく、一日一回の水遣りが必要になってくるでしょう。

しかし、これが冬となると、
例えば家では、比較的日光を当てていたとしても
週一回程度の水遣りになってきます。
ちなみに、この株は根はパンパンになるまで育っています。

風通しがもっと良い場所に置いているならば
また、そのスパンは変わってくると思います。

fancybox記事188の画像3

fancybox記事188の画像4

次にこれが5号のスリット鉢に植えているmacrocarpaです。
この鉢の口径は私が手を広げた程度の大きさです。

このmacrocarpaはもう50cmを超える大きさとなり、
根も下からはみ出してきつつあるので、
そろそろもう一回り大きな鉢に植え替えようかと考えています。

この株も真夏には毎日水遣りをコンスタントに行っています。
ところが冬には二週間に一回以下程度にまで激減します。

実際、これらのスリットポットや鉢は
鉢底のスリットからも用土が乾燥するため、
他の鉢に比べてビックリするほどの乾燥力を持っています。

そのため、見た目は少し業者っぽいかもしれませんが、
初心者には育てやすく、根腐れを出しにくいアイテムです。

また一般的に言われる、用土の表面が乾いてから
数日後に水遣りというようなマニュアル通りの管理でも
問題なく管理ができる環境を構築できます。

ところがエクステリアの一部として考えていると
どうしても鉢のビジュアルに拘りたくなります。

fancybox記事188の画像5

これは少しビジュアルに拘ったMoon Lagoonです。

Moon Lagoonは上記の小さなスリットポットで育てると
冬でも比較的水を欲しがり、
水食いなユーカリであることがよくわかる品種です。

fancybox記事188の画像6

ところが、このように大きな鉢で、
且つ、鉢底から乾かないような鉢の場合、
一般的に言われるような
用土の表面が乾いてから数日後に水遣り
というマニュアル通りの管理は全く通用しません。

fancybox記事188の画像7

この写真を見ていただくとわかりますが、
鉢の表面は完全に乾ききっています。
また、鉢の表面を指で軽く掘ってみても
その位置は完全に乾ききっています。

実はこの鉢は表面が乾いてから
既に一週間以上が経過しています。
天気にもよりますが、
恐らくあと一週間程度は水遣りを行わないでしょう。

そのくらい、この手の鉢は鉢底まで乾くのに時間がかかります。
素材が厚手なので、日光を受け続けたとしても
そう簡単に、内部まで乾ききるようなことはありません。

この鉢と容量であれば、真夏であったとしても、
4日程度は水遣りを行わなくても全く問題ありません。

このような環境は
比較的湿潤を好むMoon LagoonだからこそOKなわけで、
これが乾燥を好むmacrocarpaだったら
恐らく上手くいかないでしょう。

素焼き鉢も渇きが早く、根腐れを出しにくい鉢です。
ところが気をつけなければいけないのが、
外側の素材は素焼きでも、
内面には塗りが施されているような場合があります。

ちなみに上の銀の鉢も外の素材は素焼きのようですが、
内面には塗りが施されています。

このような鉢の場合は、素焼き鉢のような
強烈な乾燥力は全く得られなくなってしまいます。

日本でメジャーなgunniiレモンユーカリなどは
macrocarpaなどに比べると、ビックリするほど水が好きで
湿気に耐えうる力を持っています。

それでも、ビタビタなベタ土が好きなわけではなく、
シェフレラやベンジャミンなどの観葉植物に比べると
さらに乾燥を好む植物といえます。

ただし、globulusだけは、
根がとても強く、吸水力も馬鹿にならないので、
よほどのことがない限りは
過湿で枯らせるようなことはないように思います。
これは、マニュアル通りの管理でも育てることができるでしょう。

ちなみに良く話題に上がる私の配合用土ですが
このような感じになっています。
完璧な粒状になっているのが特徴です。
赤玉土は硬質で指で潰せない程の固さです。

fancybox記事188の画像8

土に拘るねぇなんて言われてしましますが、
私の場合は、風通しと日照の悪いベランダで
何とかユーカリを育てようと試みた上での
苦肉の策の一つなんです。。。

枯らせたというお話を聞くのは悲しいですが、
それでも、ユーカリが好きならば、
挫けずにぜひトライしてみてください。

お恥ずかしいお話ですが、
私が枯らせたユーカリは本当に数知れずです{#汗}

難易度が高いと言われるmacrocarpaだけで、
小さな苗も合わせると、数十株も枯らせて、
その上でこうして何とか育っているのです。

水遣りだけは、メールでも上手く伝えられないので、
ぜひ、数をこなしてコツを掴んでみてください{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-04-10 15:27 | ユーカリ(栽培知識)
↑PageTop
Trackback(0) |  Comments(7)
ブログ内記事検索
カテゴリ
ランダム掲載画像
おすすめユーカリ販売先

珍しいユーカリの宝庫です♪