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ユーカリ栽培で厳禁なコト その1(日照と風通し)

毎月たくさんのお問い合わせをいただきます。
その多くは栽培知識に関することであったり、
調子の悪いユーカリの改善策についてです。

ユーカリは栽培の難しい植物と言われることがあります。
確かに日本とは大きく気候の異なる
オーストラリアの植物なので、
若干癖のある部分もあると思います。

ただ大きく分けて3つのポイントにさえ気を付ければ、
特に難しい植物ではなく、その他の在来の植物でも
もっと難しいものはたくさんあると思います。

ただこの3つのポイントを抑えていないと、
なかなかうまくいかないことが多いです。

これからユーカリの栽培を始める方や、
ユーカリの栽培に苦戦している方は
この3つのポイントをチェックしてみてください。


1. 日照と風通し
--------------------------------------------------------
ユーカリ栽培に失敗される方の多くは、
ユーカリを観葉植物やハーブ草木だと思って、
育てている人が多いです。

率直に

ユーカリは観葉植物でも

ハーブ草木でもありません。

ユーカリは大型樹木になります。

樹高が最も小さなものでは、
1~2mというものもありますが、
これは砂漠地帯に生息する非常に希少な種です。
まず日本で手に入れることはできません。

実際に手に入れることができる品種としては、
最も小さなものでも2~4m程度の樹高があります。
これはかんきつ類の樹木やツバキなどに相当します。

ただこの超小型の品種は決してメジャーではなく、
日本で手に入れやすいユーカリの多くは、
最低でも20m程度の大型樹木になるものばかりです。
これはケヤキやクスノキなどに相当します。

gunniiglobulusレモンユーカリポポラス
銀丸葉ユーカリなども全てが20mオーバーで
要するにケヤキの苗木を盆栽ばりの鉢植えで
育てていることに等しくなります。

そしてユーカリはこれらのクスノキなどと同じく、
森林の最も高い位置で繁栄している陽樹になります。

そのため、基本的には、終日の直射日光が必要になり、
最低でも半日陰以上の日照が必要です。

また乾燥した国の植物ですので、
周囲に他の植物のない、風通しの良い環境を好み、
用土が長く湿っていることを嫌います。

これらの性質を踏まえて、
多くの観葉植物のように、

--------------------------
 室内管理は不可能です。
--------------------------


これは実際にやってみるとわかりますが、
色々実験してみて、
室内栽培は不可能であると言い切ります。


人間の目は光を感じる能力が高いので、
屋外と室内の明るさの差が良く分かりませんが、
実際に照度計で計測してみるとびっくりするほどの差があります。

正直明るい室内の窓辺よりも、暗い屋外の日陰の方が
遥かに明るいということがわかります。

また室内というのは、
びっくりするほどに風の動きがありません。
特に昨今の機密性の高い住居ではなおさらです。

実際に何も植えていない2つの鉢と土を容易し、
室内の明るい窓辺と暗い屋外の日陰にそれぞれ置いて、
どちらが早く全乾燥するのかテストしてみると、
圧倒的に後者の方が早いことが分かります。

ヘタをすると少し日当たりの悪い室内の場合、
いつまで経っても土の内部が乾かずに
いつしかカビが生えてしまうこともあります。

私は虫を飼っていますので、
これでもその差を実感しています。

虫の飼育容器を室内に置いた場合、
いつまで経っても用土が乾かず、
排泄物はカビだらけで酷い臭いを出します。
これは乾燥器や空気清浄機を置いても効果なしです。

虫の場合は暗い日陰に置く必要があるので、
屋外のかなり暗い場所に置いたものでも、
すぐに用土は乾き、カビも臭いもほとんどありません。

このように室内と屋外では、
実際にテストを行ってみないとわからない、
天と地ほどの環境の差があるのです。

この日照と風通しというのは、
ユーカリ栽培にとって最も重要なポイントといえます。

正直これさえ押さえておけば、
それだけでユーカリ栽培は簡単と言える程です。

また逆にこのポイントを押さえていないと、
ユーカリは非常に栽培が困難な植物と思えるでしょう。

少々用土や鉢が悪くても、水分管理がまずくても、
日照と風通しさえ良ければ、何とかなるものです。


他では多くのユーカリの耐寒性は
多くの方が思っているよりも遥かに高いです。

日本で見かける多くのユーカリでは、
レモンユーカリを除いて、
最低でも-8℃以上を耐えることができます。

レモンユーカリも幼い間は、
-3℃程度で管理することが望ましいですが
成長して葉の毛が無くなった後は
-8℃程度でもほとんど葉痛みが生じなくなります。

冬場の管理は過湿を避けることで、
耐寒性をさらに上げることが可能になります。
逆に過湿は大きく耐寒性を下げることにもなります。

耐寒性-20℃のユーカリであっても、
厳冬期に毎日用土がビタビタでは、
枯れずとも激しく葉痛みが起こってしまいます。

良くユーカリを販売している店舗の説明に、

●室内で育てられます。
●冬場は0℃以上の管理が必要です。
●冬場は室内で管理しましょう。

と書かれているのを見かけますが、
これら全ては大ウソです!

■ユーカリは室内では育てられません。
■0℃ごときを耐えられないユーカリは日本にありません。
■冬場もできる限り屋外で管理しましょう。

これが正解です。


寒地で耐寒性の厳しいユーカリを育てる場合には、
下記のような方法が有効です。

1. 簡易温室を使用する
----------------------------------
ホームセンターなどで2,000円程度で売られている、
無加温の簡易温室を使用することでかなり耐えられます。
実際に-3℃程度での管理が推奨のユーカリでも、
-8℃以上の環境で葉痛みなしという実績があります。

ただし、寒さの和らぐ昼間には、
温室の窓は完全に開け放っておいてください。

これ以上に寒さの厳しい地域では
簡単な加温温室を使用すると良いでしょう。


2. 夜間のみ室内で管理する
----------------------------------
昼間は完全に屋外で管理します。
そして夜間のみ玄関などに取り入れて管理します。

例えば朝出かける際に外に出して良く日光と風に当て、
夜帰宅時に玄関内に取り込むといった感じです。

やたらと寒さの厳しくなるような日は
終日玄関内に取り込んでいても、
数日程度であれば調子を崩すことはないでしょう。


しつこいようですが、

ユーカリの室内管理は不可能です。

是非ともこの失敗だけは犯さないように気をつけて、
ユーカリは観葉植物ではなく樹木であることを
忘れないで栽培に臨んでください。

# by eucalyptus_k | 2015-09-02 18:59 | ユーカリ(栽培知識)
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ユーカリの名前について

ユーカリに限らずですが、
学名・英名・和名・商品名など様々な呼び名があります。

特にユーカリの場合、
日本にはほとんど存在しない品種が多いので、
英名がそのまま和名になっているものや、
和名がそもそも存在しないものもあります。

例えば、Eucalyptus cinereaの場合、

[学名] cinerea
[英名] Silver Doller Gum / Argyle Apple / Mealy Stringybark
[和名] ギンマルバユーカリ
[商品名] シルバーダラーユーカリ etc.

といった感じになります

英名はともかくとして、和名は非常に曖昧です。
そのため、本ブログではあまり使用しないか、
「銀丸葉ユーカリことcinerea」と言ったりしています。

試しに近くのホームセンターや園芸店で
「銀丸葉ユーカリ」と注文してみてください。
恐らく十中八九、gunniipulverulentaが届くでしょう。

このようにユーカリの場合、
和名なんてあってないようなものです。

一部、レモンユーカリユーカリノキだけは、
比較的日本に根付いた和名と言えます。


色々な名前が交錯すると
私でもややこしいと思う程なので、
基本当ブログでは学名を使用するようにしています。

また学名の読み方には、極力cinerea/macrocarpa等の
アルファベット表記を使用するようにしています。

この学名というのは、
ラテン語ギリシャ語を元に付けられています。

そのため、macrocarpa
マクロカーパと読むのは間違いで、
正しくはマクロカルパという読みになります。

ただその販売者が、
これはマクロカーパという商品名なんだ!
と言い張った場合にはそれで通ってしまうので、
あくまでも正式な学名の読みが
マクロカルパということしか言えないのです。

他にはcypellocarpaというユーカリがあります。
このユーカリは当初様々な読みが交錯していました。

私も最初はシペロカルパだと思っていましたが、
サイペロカルパではないか?と言われたこともあります。

それで調べてみた結果、
ギリシャ語のカップという意味の
キペロという単語が語源になっているので、
正しくはキペロカルパということがわかりました。

他にも正しいとわかっているものでは、

[albopurpurea]
アルボパープレア ×
アルボプルプレア○

[nitens]
ナイテンス ×
ニテンス ○

などがあります。


人名や地名が元になっている品種があります。
これは一体何語で読むのが正しいのか、
正直全くわかりません。

[archeri] アーチェリー氏発見
アーチェリ? アルチェリ?

[woodwardii] ウッドワード氏発見
ウッドワルディー? ウッドワーディー?

[kybeanensis] カイビーン付近に生息
キベアネンシス? カイビーネンシス?

[lane-poolei] レーンプール氏発見
ラネプーレイ? レーンプーレイ?


こんな感じで困惑しますので、とにかく
アルファベット表記をするようにしています。

学名の語源を調べる資料自体はあるので、
一度時間があったら、
再編集してみようかなとも考えています。

ぶっちゃけ私自身も日本語読みは
間違っているものがたくさんあると思います。。。

ピックアップしてみるだけで、

[urnigera]
アーニゲラ×
恐らくウルニゲラ

[urna]
アーナ
恐らくウルナ

[orbifolia]
オービフォリア×
恐らくオルビフォリア

[campaspe]
カンパスプ×
恐らくカンパスペ

[cladocalyx]
クレイドカリックス×
恐らくクラドカリックス

[sturgissiana]
スタージシアナ×
恐らくストゥルジシアナ

などなど...トホホ...

# by eucalyptus_k | 2015-08-06 19:04 | ユーカリ(品種知識)
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冬の水遣りのミス

先日は雪だるまが作れるほどの大雪になりました。
ところが雪によるユーカリへの影響は
全くといっていい程ありませんでした。

我が家では雪よりも遥かに厄介なのが、
寒波による寒風の暴風です。

この暴風により、枝葉が折れたり、
鉢が転倒して割れたりと散々です。

またせっかく付いた蕾や新芽が
風によって煽られて、取れてしまったり、
暴風による用土凍結で用土が細粒化したり、
厄介なことは尽きません。

風による転倒や枝の折れは
ある程度は致し方ありませんが、
用土凍結や過湿+寒風による痛みは、
人為的ミスによる部分もあります。

fancybox記事357の画像1

これはmacrandraというユーカリです。
葉がかなり傷んで枯れているのがわかります。

元々株が小さいこともありますが、
macrandraは寒風に弱いユーカリです。

ところがここまで傷んでしまったのは、
私による人為的なミスが原因です。

写真を見ていただくと、用土が湿っているのがわかります。
macrandraは厳冬期に鉢の表面から水遣りをすると、
傷んで枯れてしまうこともありますが、
きちんと天候をチェックして、水遣りを制限して、
乾燥気味に管理をすれば、
ここまで傷むこともなかったでしょう。

要するに、朝方晴れていて、暖かくて、
久々に少し多めに水を遣ってみると、
昼過ぎから急に曇りだして、寒くなり、
翌日は寒波が訪れるといったケースが鬼門です。

このようなミスを避けるためには、
ある程度、天気予報をチェックする必要があります。

次の例も典型的な人為的ミスです。

fancybox記事357の画像2

これはgongylocarpaというユーカリです。
下葉がかなり傷んで枯れかかっています。
典型的な冬季過湿の症状です。

fancybox記事357の画像3

こちらが全体図で下葉だけが
見事に傷んでいるのがわかります。

このような葉は春までに
散ってしまう可能性が高いです。

gongylocarpaは決して寒さに弱いユーカリではなく、
かなり乾燥気味に管理をすれば
大阪の冬は余裕で越せます。

ところがミスを犯してしまいました。

通常ですとgongylocarpaには、
冬季は絶対に用土表面から水を与えません。

ところが、別のユーカリに水を与えている時に
誤ってgongylocarpaにも
たっぷりと水をかけてしまったのです。
そしてその翌日にこの冬一番の寒波が訪れました。

嘘のようですが、このgongylocarpa
私がミスを犯すほんの数日前までは、
何度も寒波の影響を受けながら、
下葉まで綺麗で真っ白な美しい葉をしていました。

ところが一度ミスっただけで、
その翌日に不運にも寒波が訪れただけで、
ここまで一気に下葉がやられてしまいました。

gongylocarpaは比較的難易度の高いユーカリですが、
いくつかの難しいと言われるユーカリは、
このようにたった一度のミスで痛みが出ることがあります。
このあたりが我儘で難しいという所以になります。

fancybox記事357の画像4

これが最も長い枝の先の状態です。
この部分は最も高い位置にあるので、
もっとも寒風の当たる場所になるわけですが、
このように紅葉もしないくらいに綺麗です。

このgongylocarpaはまだ下葉のダメージだけで済み、
葉先には全くダメージがなく、セーフですが、
ミスに気づかずにさらに水を与え続けてしまうと、
この葉先も下葉と同じように傷んでボロボロになります。

現在も用土はかなり湿っていて、
さらに痛みが進む可能性はあります。

恐らくもう、この株には春になるまで
水遣りは一切不要になると思います。

いくら時間をかけて気をつけていても、
150鉢近くもあると、どうしてもミスを犯してしまい、
悔しい思いをしてしまうことがあります。

今後も気を引き締めて頑張っていきたいと思います。

極めて寒さに弱いと言われている品種でも、
しっかりと乾燥気味に管理できている株は、
年末の寒波や大雪の影響を受けても元気です。

fancybox記事357の画像5

これは巷の園芸店では
3℃以上で管理すべしと言われている、
まだ葉に毛の生えているレモンユーカリです。

まあ少し葉に霜焼けの症状は出ていますが、
この程度であれば散ることもなく、
春には元に戻るでしょう。

我が家では初年度から
レモンユーカリは完全屋外管理ですが、
年々寒さには強くなっている感じがします。

後ろに見えている丸い葉のrudis
極めて寒さに弱いユーカリで、
場合によってはレモンユーカリよりも傷みますが、
成長が激しいので春以降にすぐに復活してくれます。

fancybox記事357の画像6

そしてこれも寒さに弱いと言われる
decipiens ssp. decipiensです。

樹高が高く、樹勢が強いこともありますが、
傷むというよりは紅葉している感じで、
恐ろしく寒い場所に置いているにも関わらず、
全く心配無用な状態です。

ちなみにこのdecipiensは、
樹高が1mを越えていますが、
冬になってから、
ほぼ水遣りという水遣りは行っていません。

忘れたころに鉢底のスリットから
チョロっと水をかける程度です。

後ろに見える蕾の付いたtorquata
激乾燥管理で痛みなし、元気です。
暴風に煽られても蕾は無事でした。

まだまだ春の足音は聞こえてきませんが、
これからもミスなく冬を乗り越えたいものです。

# by eucalyptus_k | 2015-01-05 17:50 | ユーカリ(栽培知識)
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室内管理について

多くの人は観葉植物を室内で管理すること
ごく当たり前のことだと思っていると思います。
私も以前はそうでした。

ただ室内で管理するという行為は
植物にとっては最悪であるということは
多くの栽培ガイドにも書かれていますし、
これは間違いのない事実であると実感しています。

我が家も室内で観葉植物をいくつか育てていますし、
多くの御宅でも室内の観葉植物を見かけますが、
まあ大概の場合、その植物の状態は最悪です。

葉色も悪く、徒長して、生育も悪い。
これは屋外でそれらの植物の
本来の姿を見ると一目瞭然です。

大手ショッピングモールなどにある
観葉植物はいつ見ても綺麗だなと思いますが、
これは実は見た目が悪くなると
速攻で新しいものに変える業者が入っているからです。

園芸に興味を持った初期に
ベンジャミンなどの栽培に
少々てこずったことがあります。

その際に樹医と呼ばれる人にアドバイスを貰ったところ、

そんなもん外に出して日に当てれば速攻で復活だよ!
そもそも室内で植物を管理しようということ自体が
人間の我儘で無理のある行為なんだよ。

と嘲笑されたことがあります。

その時はちょっとムッとしたのですが、
今は全くこの方と同じ意見を持っています。


そこでユーカリですが、

ユーカリの室内栽培は不可能

私は色々試しましたが
はっきりと言い切ります。

台風などで取り込む場合も
1週間が限界ではないでしょうか?

明るい室内だから大丈夫では?
常に日が当たるし、窓も開け放っているから、
とご相談をいただくこともありますが、
常に枯れても良いなら自己責任でとお話しています。

理由は色々と実験もしてみましたが、
一番わかりやすい例は
虫を飼ってみると良くわかります。

最近鳴く虫の飼育にはまっていますが、
例えばスズムシでもバッタでも、
何でも良いので、飼育してみると実感できます。

虫は直射日光を嫌いますので、
屋外とはいっても、必ず完全な日陰に置きます。

我が家ではクツワムシを飼育していますが、
これは鳴き声が非常にうるさく、
夜間の屋外管理は騒音公害のために不可能です。

それでも何とか鳴かない日中は
必死で外に出して風通しを良くしています。

鳴き声のうるさくないマツムシの場合、
常に屋外に出していますが、
まず土の乾きの早いことに驚きます。

逆に室内で管理をしていると
いつまで経っても土がジメジメしていて、
たった1日で糞にカビが生えてきます。
屋外管理では糞にカビなど滅多に生えません。

虫の場合、屋外屋内どちらも完全日陰なので、
全てが風通しの成せる業ということになります。

次に日光についてです。
専門器具になりますが、
単純に照度計で測ってみるとわかります。

我々人間が明るいと思う室内と
暗いと思う屋外を測ってみると、
圧倒的に屋外が明るいことがわかります。

我々人間の目は大した画素数を見れませんが、
集光能力はどんな機械もかなわない
無限大の力があります。

逆にその弊害として
どこが明るく、どこが暗いのかという事実を
認識することがとても困難なのです。

それからもう一つ、ユーカリでは、
株が日光を浴びることは大切ですが、
実は鉢や用土も日光を浴びることが重要です。

これはもちろん乾燥を促し、
用土の消毒になるという効果がありますが、
特に西AZの半砂漠地帯のユーカリの場合、
非常に高い土中温度が強い根張りに影響するからです。

我が家のmacrocarpaで実験を行いましたが、
株のみほぼ終日直射日光が当たる株と
鉢や用土までほぼ終日直射日光が当たる株を比較してみました。

すると全く同じ時にタネを播いた株であるにも関わらず、
前者と後者では既に樹高に2倍近い差があり、
幹の太さや葉の大きさ、量などにも大きな差が出ています。

このように多くのユーカリでは、
室内管理は非常に都合が悪いです。

まだ、なぜダメなんだろう?という疑問がある場合、
ネットでユーカリの木が生えている写真を
いくつか検索してみるとさらにわかると思います。

一体ユーカリはどのような環境で生息しているでしょうか?
ユーカリは決してハーブ草木ではありません。
列記とした屋外性陽樹の大型樹木になります。

一部、冬季限定で室内管理が可能な品種もあります。
ただこれは下記の条件が必須になります。

■半日以上直射日光の当たる南向きの窓辺に置く
■その株の樹高や根張りがかなりしっかりしている
■それでも暖かい日には少し外の風に当てる

これを満たしていても、難易度は高めですし、
生育状況は並以下となります。

また春以降の成長のエンジンがかかる際にも
色々と影響が出てくることは否めません。

とりあえず私が実験上可能であった品種は
下記の品種になります。

●Corymbia citriodora(レモンユーカリ)
●Eucalyptus crenulata
●Eucalyptus glaucescens
●Eucalyptus robusta
●Eucalyptus camaldulensis
●Eucalyptus staigeriana
●Eucalyptus grandis
●Eucalyptus nitens
●Eucalyptus pruinosa

単純にユーカリ中でも
屈指の過湿耐性を持つものばかりです。

citriodorastaigeriana以外は
耐寒性もありますので、
室内に取り込む意味はあまりありませんね。

植物というものはインテリアやエクステリアである
という考えを持っている人は多いと思います。
一方で植物は生物を飼っているという感覚の人もいます。

私は完全に後者の考え方を持っています。
今は飼っていませんが、昔は犬を飼っていました。
私にとっては犬も虫も植物も同じ位置づけです。

そのため綺麗に見せようという剪定は最低限で、
基本的には健康上どうか?という観点でのみ剪定をします。

我が家には室内にも屋外にもたくさんの植物があります。
でもどれもインテリア的な見栄えではなく、
どこに置いてあげればその植物が健康に育つか?
という観点のみで配置しています。

そのため、人間の導線上に普通に植物がありますし、
植物のために人間が我慢することもあります。

お客様が我が家に訪ねて来られると、
大概、「家の中も外も森のようですね」と苦笑されます。

でもそうやって育てた植物には、
室内でもキラリと光る自然の美があります。
※美と取るかは人次第?ですが。

例外としてポトスシェフレラ(カポック)
かなり暗い場所でも育てることができます。

特にポトスは窓のないトイレ内などでも
意外に健康に栽培することができます。

植物に関する思い。
本当に十人十色ですね。

# by eucalyptus_k | 2014-10-14 13:08 | ユーカリ(栽培知識)
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ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その1

今日から私の育てている
全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いていきたいと思います。

ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。

他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。


■ Eucalyptus globulus ssp. globulus(グロブルス)
水食いで強健だが、暑いのはあまり好きではない。
ただ高温障害の出る程までに弱くはない。
日照が足りないと極端に生育が悪くなる。
例えば、葉の一部だけに日光が当たっていると、
その周囲の葉だけがやたらと大きく立派になる程である。
鉢植え管理でも激しい剪定を必要とする程の
基本的に枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:スリット7号】


■ Eucalyptus globulus ssp. bicostata(ビコスタータ)
水食いで強健、私的にはグロブルスでは最も楽で育てやすい。
原種よりも暑さや日照不足に対する適応力が高い模様。
基本、水だけ毎日与えて放置でも全然問題ないが、
放置しすぎるとハダニが発生するのでたまに水をかける。
成長は激しいが原種程の暴力的な印象はない。
基本的に全く枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus globulus ssp. maidenii(マイデニー)
寒い季節や涼しい季節は放置気味だが、
かなり高温多湿に弱いらしく、梅雨時期や夏などは、
少し気にかけて、水分管理に気を付けている。
原種やビコスタータのように適当に管理していて、
一度150cm級を枯らせたので、グロブルスでは最も鬼門。
真夏の日光の激射を浴びると葉先が少しヘタることもある。
夏場はしっかりと頭で考えて水分管理を心掛ける必要がある。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus(スードグロブルス)
置き場所が悪いので成長はあまり進んでいないが、
原種とビコスタータの間のような位置づけ。
暑さや空中湿度に対しては原種よりも強く、
ビコスタータ程は安心のできないレベル。
基本強健で放置でも問題ない。
ただししっかりと日光に当てないと成長は遅くなる。
葉色の緑が強く、あまり粉を吹かないのが特徴。
【樹高:100cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus cinerea(シネレア)
一般の御宅で屋外管理すると基本的には生育良好。
我が家では生育こそ良好で強健ではあるが、
置き場所が悪いので、夏場は葉が傷みやすい。
どちらかというと涼しい季節に良く日光に当てると良い感じ。
家では強健が故に辛い環境で育てられて見栄えはイマイチ。
葉を綺麗に保ちたい場合は、程良い日照と風通しの良さが大切。
水は思ったより吸わないなという印象。
今は枯れる気のしないユーカリの一つになっている。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus cinerea var. pendula(シネレア・ペンデュラ)
タネが希少なこともあって
少し気にかけているので、見栄えは悪くない。
基本定期的に水を与えるだけの管理で問題ない。
原種同様に過湿、日照不足にも強いので非常に楽な部類。
ただ原種に比べると過保護な管理をしている割には成長が遅い印象。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus pulverulenta ssp. pulverulenta(プルベルレンタ)
一般の御宅では生育が良好なことを考えると
我が家ではあまり良い状態とは言えない。
特に我が家の風通しの悪い高温多湿な環境が嫌いな模様。
手をかけて場所を改善すればもっと良くなると思われる。
用土や鉢、日照はそこそこ高いレベルを要求するので、
シネレアのように放置でOKとはまだいかない。
思い通りの樹形に育てるには恐ろしく難易度が高い。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus pulverulenta ssp. babyblue(ベイビーブルー)
以前は日照の悪いクーラー室外機の近くに置いており、
年中葉はボロボロで枯死寸前までいったので、
西AZのユーカリ並みの良い場所に移して手をかけたところ、
一気に葉が綺麗になって樹形も良くなってきた。
日照は半日陰程度でも良いので、
涼しく風通しの良い環境が最も大切。
環境さえ良くて少し手をかけてやればまだ楽な部類。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos(ポリアンセモス)
これもかなり強健な部類なので、
可愛そうな程、劣悪な場所に置いていて、
葉の状態はとても綺麗とは言えない。
ただ放置で全然育てられるレベル。
上の方の一部の葉には少し日光が当たるのだが、
その場所の葉は驚く程に立派で美しくなる。
用土の選別さえ間違わなければ、
ある程度の日照環境で放置でも問題ない。
暑さにはとても強いようで、
少し暑くなってからの方が成長が進む。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus polyanthemos ssp. vestita(ポリアンセモス・ベスティタ)
こちらは原種とは異なって、ある程度の環境に置いて
ある程度手をかけてあげないと一気に痛む。
また原種に比べると色々と病気にも弱い模様。
相応の場所で少しだけ水分管理に気を使ってあげれば、
特に問題なく、美しい樹形を維持できる。
少し我儘とは言えども他に比べると遥かに楽な部類。
高温障害の症状は出ないが、原種よりは暑さを嫌う。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus camphora(カンフォラ)
巷では生育良好で楽なユーカリというイメージだが、
かなり「純粋な暑さ」を嫌うイメージ。
春先の涼しい季節の生育は良好だが、
夏場は葉が汚くなって、成長が進まない。
耐陰性などの前評判はそこそこだったが、
我が家では少しは手をかけてあげないとしんどいレベル。
冬場以外の水遣りは表面が乾いたらの超級水食い。
水分管理はスルーで日照と風通しの工夫が少しだけ必要。
東北で育てている人は非常に生育良好との情報有り。
【樹高:50cm / 鉢:スリット6号】


■ Corymbia maculata(マキュラータ)
成長も早く、一般的なユーカリの管理でOK。
暑さや空中湿度、過湿に対する耐性は高いが、
寒さにはそこまで強くない(-5℃程度)。
クーラー室外機の側でも全然放置でOKだが、
ある程度の日照がないと成長が進まなくなる。
水切れにだけ少し気を付ければ非常に楽なユーカリ。
【樹高:170cm / 鉢:プラスチック6号】


■ Corymbia citriodora(レモンユーカリ)
クーラー室外機の間横でも生育は良好。
暑さや過湿に対する耐性はぴか一。
その代わり毛の生えている葉は冬場に激しく傷む。
日光はとても好きなようで、
これも日光の当たっている葉だけが大きく立派になる。
定期的に水さえ与えていれば完全放置でOKのユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:プラスチック7号】


■ Corymbia peltata(ペルタータ)
小型品種のためか成長は少し控え目。
ある程度の日光さえ確保できればとても楽なユーカリ。
これも日光が当たる場所の葉だけが極端に大きくなる。
レモンユーカリ程ではないが寒さは得意ではない模様。
樹高の割には水切れが激しいので、相当水食いのイメージ。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus staigeriana(スタイゲリアナ)
空中湿度や暑さには我が家では全く問題ないレベル。
ただし日照だけは少し大切で、日照が不足すると、
へなちょこな葉ばかりでうどんこ病が発生する。
以前は劣悪な環境に置いていたが、
最近は少しは日光の当たる場所に置いているので、
生育も良く、基本放置でOKなユーカリ。
日照以外では我が家の環境に適応していると言える。
樹高の大きさもあるが、水切れが非常に早いので、
旅行に行かせてくれないユーカリの一つ。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】

■ Eucalyptus muelleriana(ミューレリアナ)
暑さ、空中湿度、過湿に対して非常に強く、
寒さにも弱くないと弱点の見つからないユーカリ。
日照が良いと成長が激しすぎるので、
クーラー室外機の風をもろに浴びるような
劣悪な場所に置いているにも関わらず、
それでも成長は激しく、全く痛み知らず。
水切れが激しく我が家では間違いなくトップの水食い。
恐らく炎天下で育てるなら、一日何度も水がいるかもしれない。
現在予定はないが、鉢増しの際には、
かなり保水性の高い用土を使うつもりでいる。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】


もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。

それでは、その2に続きます。

# by eucalyptus_k | 2014-08-22 14:24 | ユーカリ(栽培知識)
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