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【ユーカリ紹介-53】
レモンユーカリ (Corymbia citriodora)

続きまして第53回目は
日本でも超有名なレモンユーカリ
蚊の禁忌効果などハーブとしても重宝され、
渋めのレモンの皮の香りを強く香らせる
コリンビア・シトリオドラです。

◎レモンユーカリ
【学名:Corymbia citriodora】
【英名:Lemon-scented Gum / Spotted Gum】
fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像1

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像2

ここに来てようやく、
このメジャーなユーカリを紹介することができました。

我が家でも年中調子の良いユーカリで、
現在のところ、6号鉢で2.3mを超える樹高がありますが、
実はメジャー過ぎて、紹介を忘れていました。。。

ユーカリのことなんてあまり知らないという方でも、
少し園芸をかじっている方なら、誰もが
レモンユーカリといえば知っているほどにメジャーで、
ホームセンターや園芸店などでも良く見かけます。

ユーカリと呼ばれる植物には3つの属が存在します。
最も良く知られているのがEucalyptus属ですね。

今までユーカリ紹介に登場した全てのユーカリは、
このEucalyptus属になります。

あと2つはCorymbia属Angophora属です。

Corymbia属は主にEucalyptus属よりも暖かい地域に生息し、
タネや実がとても大きいという特徴があります。
また幼い間は葉が毛で覆われており、
成長するに従って、葉の毛がなくなり、
光沢が出てくるという品種が多いです。
またどれも柑橘系の香りがする品種ばかりです。

Angophora属はさらに暖かく、ほぼ熱帯に近い地域に生息し、
タネがCorymbia属よりもさらに大きいという特徴があります。
成樹の外観はCorymbia属と良く似ています。

このレモンユーカリは、そのCorymbia属に属するユーカリです。
柑橘系の香りがするCorymbia属の中でも
最もレモンの香りが強いのがレモンユーカリです。
学名のcitriodoraもそのままレモンの香りという意味です。

屋外用の観葉植物としてありふれたレモンユーカリですが、
実は50m級の立派な樹木に成長する超大型品種です。

良く地植えをされる方がいるようですが、
いつまで経ってもヒョロっとしており、
台風などの際に折れて倒れたという話を良く聞きます。

実はレモンユーカリは、オーストラリアでもとても暖かい、
亜熱帯地域であるゴールドコーストやケアンズ周辺に
生息しているユーカリです。

一つはかなりの大型樹木であるため、
数メートルの樹高があったとしても、
あくまでも苗木でしかないので、
幹が太りきっていないということもあります。

それに加え、本州の暖地では、
レモンユーカリが本来のパフォーマンスを出すには
少し気温が足らないということも考えられます。

レモンユーカリの生息地の気候は沖縄に良く似ています。
沖縄でレモンユーカリを地植えで育てている人を知っていますが、
そのレモンユーカリは樹高が数十メートルの立派な大木となり、
しっかりと毎年花を咲かせているそうです。

本州で地植えをするには、色々な意味で無理があるため、
やはり鉢植えでコンパクトに管理した方が良いでしょう。

とはいえ、さすが大型樹木!
気候が合わないとはいえ、成長力はかなりのものがあります。

またレモンユーカリの生息地の降雨量は
夏場には軽いスコールが降るようなところですから、
本州のあらゆる地域に比べてかなり多いです。

日本では少し湿潤すぎて
パフォーマンスがイマイチなユーカリが多い中、
レモンユーカリは、湿度や降雨量的には
日本にとても合っているユーカリです。

そのため、鉢植えであまり気を使わずに管理しても、
ワンシーズンで1m近く成長することもあります。

我が家でもかなり激しく切り戻して、
紅茶とミックスしてレモン風味の紅茶として使用したり、
お風呂に入れたりして活用してますが、
それでも毎年2mを超える樹高になっています。

我が家では都合が良いので、
下の写真のように物干しの柱を支柱としてくくりつけています。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像3

6号鉢で2mオーバーということもあるでしょうが、
樹高や葉の大きさの割にはかなりヒョロっとしており、
支柱にくくりつけていないと、
上半分は完全に地面に垂れて着いてしまうほどです。

レモンユーカリの特徴は、とにかく激しく毛が生えており、
とても大きなサイズの葉をしているところです。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像4

この葉に生えた毛には諸説ありますが、
暑い地域に生息しているユーカリのため、
葉の蒸散効率を上げているという説が有力です。

大きく育つとこの毛は全てなくなり、
ツルっとした光沢のある葉に変わります。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像5

我が家では、まだ毛のない葉は生じていませんが、
生育環境や個体差により、
かなり早い段階で毛がなくなることもあります。

とても強く香るレモンユーカリですが、
毛のなくなった個体では、香りがかなり控えめになります。
ただし、毛がなくなると幾分か耐寒性が上がるようです。

葉に毛の生えている間は
茎にも同様に毛が激しく生えています。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像6

この毛は思ったよりもしっかりしていて、
もちろん手に刺さる程の固さはありませんが、
固いところでは男性の髭くらいの固さがあり、
肌の柔らかいところで激しくこすると、
少し肌が痛くなるほどに強靭です。

面白い情報として、剪定したレモンユーカリの葉や茎を
ハーブ利用のために乾燥させるとき、
トレイに入れて日陰で干していると、
この毛が抜けて、トレイの下に粉のように大量にたまります。

生育状況が極めて良いということもありますが、
我が家ではトップクラスに葉の大きなユーカリです。

大きめの葉の長さを測ってみましたが、
20cmもあってびっくりしました!
ちなみに1m程度の樹高であっても、
このサイズの葉が何枚も出ていました。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像7

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像8

レモンユーカリの育て方についてですが、
土の排水性が極端に悪くない場合は、
通常の観葉植物と同様に育てることができます。

水遣りも一般的な観葉植物と同じで、
夏季は表面が乾いたらたっぷり水遣りで大丈夫です。

恐らく、ある程度の樹高がある株は
真夏であれば毎日の水遣りが必要になるでしょう。

ただ湿潤を好み、かなりの水食いであっても、
用土の排水性が悪いベタ土は嫌います。
オリーブなどの乾燥を好む観葉植物と同じように
排水性の良い用土を使用した方が明らかに生育は良くなります。

精油が強烈なため、病虫害はほとんど皆無に等しいです。
たまにハキリバチや芋虫が付くそうですが、
決して深刻になるようなことはありません。

また新芽限定でアブラムシが付くこともあるようですが、
余程株が幼くない限り大した問題にはなりません。

その他では、我が家のようにイマイチな環境でも、
うどんこ病ハダニの被害が出ることは全くありません。

超初心者向けで、在来の植物とほぼ同じように
育てられる程に強健なレモンユーカリですが、
一つだけ厄介な弱点があります。

それは暖かい地域に生息しているため、
耐寒性が非常に弱いというところです。

日本で販売されている場合の説明書きには
万全を期して3℃以上と書かれています。

実際のレモンユーカリの耐寒性は
地植えの成樹で-6℃程度と言われています。

ユーカリの管理にあまり慣れていない人は、
0℃以上の管理を心掛ければ安心です。

その場合は、関西や関東の暖地でも、寒い日の夜には
屋内に取り込むなどの対処が必要です。

レモンユーカリはかなりの過湿耐性を兼ね備えているため、
冬季に室内管理をすることも不可能ではありません。

ただ、その場合はかなり明るい、
直射日光の当たる窓辺に置くことが必須です。

私的には、面倒でなければ、
夜だけ屋内に取り込むなどの管理を推奨します。

東北地方などの寒い場所では、
よほど冬季の管理がうまくない限りは
屋外越冬は難しいかもしれません。

ユーカリの冬季管理に慣れている
親愛なるこあら師匠や私は、
-5℃程度まで下がる大阪の冬でも
レモンユーカリを完全屋外越冬させています。

コツは色々ありますが、
とにかく潅水を極限まで少なめにするということです。

下の写真は厳冬期のレモンユーカリです。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像9

葉は真っ赤になり、
ところどころに霜焼けのような葉痛みが生じています。

このように屋外越冬させる場合は、
葉がボロボロになるという覚悟だけは必要です。

ただ、春が来るとともに、傷んだ葉はほとんど散り、
新しい葉がどんどん出てくるのでさほど問題にはなりません。

こちらの写真の株も、毎年屋外越冬ですが、
すでに冬の痛みの跡は全く見られません。

さらに寒い場所でレモンユーカリを屋外越冬させた場合、
全ての葉が傷んで散ってしまうこともあります。

それでも、枯れたと思って破棄しないでください。
根さえ生きていれば、葉が全てなくなっても、
レモンユーカリはかなりの確率で芽を吹きます。

どうしても室内管理が難しく、屋外で越冬させる場合は、
鉢の周りに防寒材を巻いたり、
発泡スチロールで鉢を防寒対策するだけでも、
かなり安全に屋外越冬させることができます。

どうしても心配な場合は、
葉もボロボロになりますので、
無理をせずに夜間だけ室内取り込みで問題ありません。

私がレモンユーカリを差し上げた知り合いに
ほとんど植物は放置という人がいます。
真冬には-7℃にもなる場所ですが、
冬も完全屋外放置で見るも無残な状態になります。
それでも毎年非常に元気に育っています。

この手のユーカリは、
あまり過保護にせず、放置くらいの方が
たくましく育ってくれるのかもしれません。

レモンユーカリの香りはそのまま名前の通りです。
以前に紹介したstaigeriana
お菓子のレモン香料の香りなのに対して、
レモンユーカリはそのままレモンの皮の香りです。

この香りの主成分はシトロネラールという成分です。
実はこの香りは山椒の葉や実の香りと全く同じなので、
人によっては山椒の香りと言う人もいます。

また人によってはアゲハ蝶の幼虫の舌の香りと言います。
実はこれはある種正解と言えるのです。
アゲハ蝶の幼虫はミカン科の植物や山椒に付きます。
学術的な根拠はありませんが、
恐らく、これらの葉に含まれるシトロネラールを吸収して、
舌の香りに利用しているのではないかと考えています。

シトロネラールには蚊を含む、多くの虫に対して
禁忌効果があるとされており、
蚊除けリングなどにその成分が活用されています。

ただ、効果があるのはあくまでも精油です。
レモンユーカリを育てているだけで
蚊が寄ってこないなどということはありません。
精油を抽出して利用しないと、
効果はほとんど得られませんのでご注意ください。

このレモンユーカリの香りですが、
ユーカリの中でもトップクラスに強いです。
恐らく、globulusと並んでNo.1と言っても良いです。

それでも育てていて香ってくることはほとんどありません。
ただし、葉に手が軽く当たっただけでも、
手に強くレモンユーカリの香りが残ります。

我が家では物干しにくくりつけているので、
たまに洗濯物が擦れて、香りが付くことがあります。

私はハーブ利用で乾燥させる前に、
細かく葉を裁断するのですが、
そのような場合には部屋中が
レモンユーカリの香りでいっぱいになります。

fancyboxシトリオドラ(Corymbia citriodora)の画像10

レモンユーカリはとても育てやすいユーカリです。
あまりにも育てやすすぎて、
ユーカリであるということさえ忘れてしまう程です。

ただ巷では何故か良く枯らせるという話も聞きます。
一つ注意することは、ベタ土を嫌うというところです。
あまり用土は選びませんが、排水性が極端に悪いと、
在来の植物よりも根腐れする可能性は高くなります。

それでも少しでもユーカリをかじったことのある人には、
gunniiなどと比べても、ビックリするほど楽です。

この香り、少し好き嫌いがハッキリするところがありますが、
レモンユーカリのワイルドな香りが好きな方には
とてもオススメなユーカリです。

レモンユーカリ育ててみませんか?

------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★★

要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:☆
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2012-11-09 10:11 | ユーカリ紹介
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