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ユーカリ栽培で厳禁なコト その2(用土・鉢・肥料)

毎月たくさんのお問い合わせをいただきます。
その多くは栽培知識に関することであったり、
調子の悪いユーカリの改善策についてです。

ユーカリは栽培の難しい植物と言われることがあります。
確かに日本とは大きく気候の異なる
オーストラリアの植物なので、
若干癖のある部分もあると思います。

ただ大きく分けて3つのポイントにさえ気を付ければ、
特に難しい植物ではなく、その他の在来の植物でも
もっと難しいものはたくさんあると思います。

ただこの3つのポイントを抑えていないと、
なかなかうまくいかないことが多いです。

これからユーカリの栽培を始める方や、
ユーカリの栽培に苦戦している方は
この3つのポイントをチェックしてみてください。


2. 用土・鉢・肥料
--------------------------------------------------------
この中で特に用土・鉢という部分は
品種によって問うもの問わないものがあります。

例えばcamphora/robustaといったような
湿地帯に生息している品種、
rudis/grandisといったような
完全に水没した土壌でも生息可能な品種、
nitens/cypellocarpaといったような
日本よりも雨量の多い地域に生息する品種では、
特に用土も鉢も問わずに栽培が可能です。

ところが主に西オーストラリアのユーカリや
半砂漠地帯などの乾燥した環境のユーカリでは、
用土や鉢というのはとても重要な要素になります。

ただ前回の記事の「日照と風通し」
十分に満たされている場合には、
用土や鉢が多少合わなくても、
比較的楽にに育てることができる場合もあります。


●用土
----------------------------------
まず用土ですが、多くの品種では

花と野菜の土の使用は厳禁

通常の観葉植物用土では保水性が高すぎる

という結果が出ています。

ただ用土をオリジナルでブレンドするには
ある程度の知識が必要になりますので、
良く分からない方には
観葉植物用の粒状培養土をオススメしています。

この粒状培養土はベストではありませんが、
ヘタなブレンドを行うよりは遥かにベターです。

用土と言うものは環境にも左右されますので
何をブレンドすれば良いかは一概には言えませんが、
参考までに私のブレンド用土を公開させていただきます。

fancybox記事381の画像1

硬質赤玉土(中粒):3割
手で潰せない固さのものを使用します。
通常の赤玉土はすぐに崩れて微塵になり、
保水性が上がってしまうので、
使用する場合は少量に留めた方が良いです。
砂漠品種の場合は大粒でも良い実績があります。
この部分を先日ご紹介いただいた
赤ボラ石などで代用するのもありでしょう。
人によっては焼赤玉土や
セラミスを使用している方もいらっしゃいます。

硬質鹿沼土(中粒~大粒):2割
手で潰せない固さのものを使用します。
この部分を日向土や軽石、先日ご紹介いただいた
赤ボラ石などで代用するのもありでしょう。

桐生砂:1~2割
鉄分豊富な桐生砂を選択しています。
この部分を川砂などで代用しても良いでしょうし、
上記の鹿沼土の部分でカバーしても良いと思います。

ゼオライト:2割
良く100均などで見かけるモルデナイトではなく、
ミネラル質豊富なクリノプチロライトを使用しています。
この部分は私的な拘りもありますので、
通常のゼオライトやパーライトで代用しても
省いてしまってもOKでしょう。

くん炭:1割
根腐れ防止効果やその他の利点を踏まえて
微量を配合することにしています。
この辺りは個人的な拘りの範囲です。

ピートモス:1割
これはユーカリの性質によって、
多量に配合する場合、全く配合しない場合があります。
保水性を調整する部分であると考えてください。
好みで腐葉土を配合するのもありでしょうが、
私はマンションなのでコバエの発生等を抑えるため、
腐葉土、堆肥は一切使用しないことにしています。


ちなみにこの用土は非常に乾きやすい用土です。
実家の庭のような終日直射日光の当たる場所では
真夏は確実に1日で用土がカラカラになり、
春秋でも暖かい日には1日で乾いてしまいます。

ただそのような環境でも
macrocarpakruseanaでは上々の結果が出ています。

gunniicinereaを育てる場合には
ピートモスの部分をもっと増やした方が良いでしょう。

ただし半日陰の環境で育てる場合には、
gunniiなどのユーカリでも非常に良い結果が出ています。

理想は真夏は2日以上、春秋冬は1週間以上、
水分を残さない用土がベストだと思っています。

ご自身の栽培環境に合わせて、
適切な用土を使用してください。

市販されているものでは、
粒状培養土の他にオリーブの土なども実績があります。

ただし先述した通り、亜熱帯のユーカリや
湿地帯生息種ではほとんど用土は問いません。

ただしあまりに過湿過ぎると
暑い夏場に根が蒸し状態になってしまいますので、
過湿に強い品種であっても、
夏場の暑い時間の水遣りは避けた方が良いです。

これはユーカリだけでなく、
在来の植物でも同様に言えることではあります。


植物の栽培を行う人には
用土は拘るべきだという人と、
用土はコストを抑える部分だという人がいます。

私は現在は後者に位置するでしょうが、
本質的には無駄なコストは抑えたいと常々思っています。

当初、結構用土はケチっていたのですが、
ケチることで弊害が生じて、
高いコストをかけているユーカリのタネや苗を
無駄にしてしまうくらいなら、
用土などを含めてできる限りベストな環境を構築した方が
遥かに総合的なコストに無駄がないことが分かりました。

今はせっかく育てた苗が枯れてしまうことは
コストも時間も無駄にして、私的にも悲しいので、
無駄なくケチらないようにしています。

例えば硬質用土は比較的高価なので、
以前は通常の安価な用土をミックスしたり、
ポット等も安価なポリポットを使用していましたが、
今は硬質用土には一切妥協せずに、
安価な赤玉土等の使用は一切行わず、
苗育成にも全てスリットポットを使用するようにしています。


●鉢
----------------------------------
基本情報としては下記の通りです。

■ 幅のある鉢より高さのある長鉢の方が経過が良い
■ 素焼きや陶器よりもプラスチック製が好ましい
■ 多くの品種ではスリット鉢の使用を推奨
■ 乾燥を好む品種ではワンサイズ小さな鉢を使用


色々と実験を行いましたが、
ユーカリでは盆栽皿のような幅広の鉢よりも
高さのある長鉢の方が圧倒的に経過が良いです。

これはユーカリが直根性の植物で
根を真っ直ぐに伸ばす性質に合っているからです。

一部woodwardiiなどこの根を真っ直ぐに伸ばせる
鉢の選択にうるさい品種などもありますが、
多くの品種では特に高さの低いもの以外であれば、
通常の高さの鉢で問題ありません。

実際に長鉢は転倒しやすいというリスクもあります。


鉢の素材ですがプラスチックがベターです。
これは乾きやすく、清潔に保てるという利点があることと、
目立った欠点がないことが大きな利点になっています。

素焼き鉢は乾燥が進みやすいという利点がありますが、
鉢表面の小さな穴がカビなどの温床となり、
根腐れや病気を誘発しやすいという情報もあります。

実際に何度か使用したことがありますが、
逆に用土全体の乾燥が進み過ぎたこともあり、
あまり経過は良くありませんでした。

陶器の鉢は水分が籠りやすく、
過湿になりやすいという欠点があります。
またデザイン重視のものが多いので、
これも過湿になりやすい要因になります。


そこでオススメなのがスリット鉢です。

参考記事:
スリット鉢は素晴らしい!!! その1
スリット鉢は素晴らしい!!! その2

スリット鉢は非常に乾燥が進みやすいため、
湿潤を好む品種などで賛否両論がありますが、
やはり大型樹木のユーカリでは、
根のサークリングを防止できるという効果が大きいです。

何年も育てていると良く分かりますが、
ユーカリの根張りは激しく、
通常の鉢では、短期間の内に根が飽和状態となります。

またユーカリの多くは
根を真っ直ぐに長く伸ばす性質があるので、
非常にサークリングが起こりやすいです。

サークリングの大きな弊害として、
根が鉢底部でサークリングを起こして、
吸水用の細根が底部に集中します。

すると鉢の底部は水切れを起こしているのに、
鉢の上部はまだ湿っているということが起き、
水切れを起こしているにも関わらず、
同時に根腐れを起こすということが起こります。

これはポリポットなどで
長期間苗を育てることでも良く起こります。

正直この症状は鉢を替えること以外に対処法が無く、
長期間の栽培の大きな障害となるため、
スリット鉢の使用はとても良い結果につながります。

またサークリングを防止することで
根が中心部に集まって正常に生育していくので、
根の飽和が起こりにくく、幹も太りやすくなります。

実際に我が家では、わずかスリット5号で150cm以上、
スリットの6号で3mにまで成長が進んでも、
根の飽和が限界に達することはありません。

ただしこのような場合、わずか6号の鉢に
2m以上の樹高の株が植わっているので転倒は必至です。
転倒に対しての対策が必要になるでしょう。


ワンサイズ小さな鉢で育てるという方法は
非常に水分管理にうるさい半砂漠地帯の品種や
水分管理にあまり自信のない初心者の方にオススメな方法です。

これは実際に鉢サイズ云々が重要なのではなく、
用土量を少なめで栽培することができるため、
過湿を避けて、健全な根の育成が可能になる部分が重要になります。

鉢をワンサイズ小さくすることで、
日照や風通し、用土の水分管理の難しさを
大幅に軽減できることになります。

globulusgrandisといったような
湿潤を好み、大型で根張りの激しい品種では
ワンサイズ小さめの鉢で育てる利点は全くありません。

このワンサイズ小さめの鉢で育てる方法は
主に西AZのユーカリの低樹高時の栽培に効果的です。

どうしても用土の選択がうまくいかず、
水分管理が上手にできない初心者の方で
ユーカリを何度も枯らせてしまう人には
ワンサイズさらにはツーサイズ小さな鉢で育てることで、
非常に良い結果が出ているとご報告をいただいています。

ただしこの方法は根のサークリングを防ぐ
スリット鉢で行う必要があります。

この方法を行うことで過湿は避けられても、
更なるサークリングを引き起こす可能性がありますので、
できる限りスリット鉢で行うことが推奨となります。

主な西AZの品種での目安ですが、
5号で樹高100~120cmまで、
6号で2mまでというのが理想でしょうか。

水分管理に慣れてきたら、
通常の鉢サイズでも問題なく育てられますし、
根が十分に張り切った株ではあまり心配はいらなくなります。

主には低樹高時の根の生育に
高い効果を上げることのできる方法といえます。

ワンサイズ小さな鉢で育てると
植え替えの回数が増加するのではという心配がありますが、
西AZの乾燥を好む品種は成長速度も遅く、
同時に根の成長速度も緩慢なので、
そこまで頻繁に植え替えを要することはありません。

結論として鉢の選択は
用土の選択と密接に関わっています。
用土の問題を鉢でカバーするという感じです。


●肥料とpH
----------------------------------
ハーブ草木や野菜を育てていると
肥料の問題は切っても切れない問題です。

ところがユーカリを育てていると
肥料の知識がちっとも育ちません。

極論としてユーカリの多くは

全く肥料を与えなくても栽培可能です。


肥料を与えたとしても
ハーブ草木のように目に見えた効果は出ませんが、
それでも全くないというわけではありません。

西AZのユーカリの多くは多肥を嫌うものが多く、
一部では特にリン酸分を嫌うものがあります。

ただそこまで養分にうるさいものは
日本では滅多に手に入らないレアな品種になります。

肥料を与える場合は成長期の液肥、
通年での化成肥料の置肥が有効です。

液肥については特に問いませんが
拘るのであれば窒素やカリの多い、
観葉植物用や野菜用が効果的です。

成熟期の成長促進には窒素系が、
生育初期の根の成長促進にはカリ系が有効です。

その他にオーストラリアの土壌には
鉄分・亜鉛・マグネシウムなどの微量要素が豊富なため、
このような微量要素の補給も有効です。

ただあまりに肥料に拘り過ぎると多肥となり、
肥料にはアルカリ性のものが多いため、
用土のpHを上げてしまうことになります。

pHが高くなりすぎてしまうと、
鉄分欠乏症の症状が出ることがあります。


間違った情報でネット上などに

ユーカリは高pHを好むとありますが

結論としてこれは間違いです!

ユーカリの多くは弱酸性~酸性よりの用土を好みます。
一部のユーカリではアルカリ耐性の高いものもあります。

主に南AZや西AZ沿岸部の石灰岩地帯に生息するユーカリは
比較的高いアルカリ耐性を有しています。

ただあくまでもアルカリ耐性があるというだけで、
アルカリ性の土壌を好むというわけではありません。

現在私の育てている範囲で
たった1種類だけ例外があります。

Eucalyptus moon lagoonというユーカリです。

moon lagoonのみアルカリ寄りの土壌を好み、
比較的多肥を好みます。

ただ所詮好むという程度なので、
特に無理にpHの操作は不要ですし、
他よりも少し肥料を多めに与える程度でOKです。

経験上、あまり多肥にし過ぎると
間延びして、開花が遅れるという結果が出ています。

moon lagoonは通常かなり成長の遅いユーカリですが、
多肥にすることでかなりその成長速度を上げることができます。

ユーカリの好む弱酸性~酸性とはどういう用土かというと、
通常の赤玉土や鹿沼石などがそのpHなので、
特に石灰などを加えずにそのまま用土を使用すればOKです。

私も数年間同じ用土で栽培を続けて、
何か調子悪そうだなあとふと思った時に
少し苦土石灰を加えることがある程度です。

結論として肥料の重要度は低いです。
効果は相応にありますが、
肥料に注目しすぎることによる
多肥の弊害の方が遥かに大きいです。

あまり肥料には固執せずに、
全く与えなくても栽培可能なことを覚えておいて、
たまのご褒美程度に与えるのが良いです。


用土・鉢・肥料という要素は
一般的にとても注目されやすい要素です。

ただあくまでも最も重要なのは日照と風通しです。
まずはこの部分で最善を尽くせるようにしてください。

正直日照と風通しがベストな栽培者は
皆ユーカリなんて簡単だ!
eucalyptus_kは拘り過ぎだと言います。

実際に日照と風通しはそれほど大きな要素です。

ところが私は住居の関係上、
日照と風通しをベストに完備することができなかったため、
この用土・鉢で工夫せざるを得なかったのです。

日照と風通しが十分ではない場所で栽培する際には
この用土・鉢・肥料の情報を
是非とも参考にしていただければと思います。

# by eucalyptus_k | 2015-10-08 19:28 | ユーカリ(栽培知識)
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寒波を乗り越えたユーカリたち

昨晩の冷え込みは凄かったですね!
日本で有数の暖地である大阪でも
私の住む市の最低気温は-2℃程になりました。

私はその市の中でも最も京都よりに住んでおり、
場所は一級河川のすぐそばで
マンションの12階になりますので、
昨晩の最低気温は-3℃を越えました。

そして何よりも厄介だったのが、
ビル風によって強化された寒風による暴風です。

マンションのロータリーでは
何十キロもあるような看板が
簡単に倒れていましたし、
12階では正直、中規模の台風クラスの
暴風が吹き荒れていました。

もちろんここまでの暴風は予測していなかったので、
何鉢かは転倒していましたが、
先年のレイアウト変更で、転倒はしても、
絶対に台からの転落はないようにしていたので、
表層部の土が少しこぼれた程度で済みました。

結果的に転倒による被害は、ベランダの掃除
という面倒を引き起こしただけでした。

ベランダには様々な置き場所があります。

特に小さな苗などは、日照を確保するために、
全く寒風を凌げず、暴風吹きっ晒しの場所にあったので、
その幼さもあって、ある程度の被害が出ました。

まずtereticornisです。
このユーカリはオーストラリアでも
比較的暖かい、沖縄のような気候の地域出身のため、
耐寒性は大したことがありません。

大きな株や樹木になったものであれば、
大阪の冬で枯れることはまずありませんが、
それでも結構な葉痛みを起こします。

fancybox記事353の画像1

この2苗は見るも無残な姿になっており、
用土もカチカチに凍結して盛り上がっています。

既に見る影もありませんが、
昨晩の寒波を向かえる前には、
大きな葉が立派に生えそろっていました。

fancybox記事353の画像2

特にこの右側の苗の方は、
葉の大部分が吹き飛ばされていて、
このまま生き残るか微妙な状況です。

元々強健な品種のため、
暴風吹きっ晒しの場所の置きっぱなしでしたが、
移動させておけばよかったかなと少し後悔しています。

今後は寒風をしのげる場所で養生させる予定です。


次はpreissianaの苗です。

fancybox記事353の画像3

これもかなり傷んでいて、
緑の葉もカリカリになっていますが、
恐らくこの程度であれば大丈夫でしょう。

写真を撮っている苗置き台は
かなり寒さをしのげる場所にあります。

この傷んだ苗は、寒風吹きっ晒しの場所から
苗置き台に移動させて写真を撮っていますが、
この苗容器の右手一番後ろにある
緑鮮やかな苗も同じpreissianaです。

この小さなポットのpreissianaは、
ずっとこの場所に置いていました。

人間にとってはどちらも極寒の場所ですが、
寒風をしのげるかどうかで、
こうまで状態が変わってきます。

軒下に移動させることの効果が
目に見えてわかる実例です。

preissianaの用土も凍結していますが、
元々耐寒性の弱いユーカリといわれている割には、
tereticornisよりも遥かに善戦してくれました。


次はどうしても葉の散ってしまう
woodwardiiの葉です。

fancybox記事353の画像4

こちらの記事にも書いていますが、
本当にwoodwardiiは脆いです。

何か作りが柔いというか、
もろもろしていて、弾力性がなく、
すぐに折れてしまうのです。

寒さではなく、昨晩の強風にあおられて、
いくつかの葉が折れて取れてしまいました。

揺れ動かないように
かなりガチガチに固定していても、
他のユーカリの葉が当たったり、
単純に暴風に吹かれただけでも、
このように葉が取れてしまいます。

正直寒さに対してはかなり頑張ります。
昨晩くらいの温度では全然問題ありません。

ところが風にはめっぽう弱いので、
あらゆる状況で退避の優先順位が高いです。

毎年いくつか蕾が付きますが、
春や冬の強風で大体葉と同じように取れてしまいます。

現在も一つだけ蕾が付いていますが、
これは何とか落ちずに耐えてくれました。

これからのさらなる寒波による強風や
春一番に耐えることができるでしょうか。。。

ちなみにこのwoodwardii
ユーカリ中でもかなり香りの強いユーカリです。

このように取れた葉は少し揉んでから、
生ゴミ用のゴミ箱に入れて置くと、
その悪臭が完全に消臭されて
ユーカリの香りに変わります。


次は打って変わって寒さに強いユーカリたちです。

まずは我が家でも耐寒性トップクラス、
昨晩程度の寒波などものともしない
希少種のvernicosaです。

fancybox記事353の画像5

最も寒い場所に置いていて、
用土は完全にガチガチに凍結していますが
わずか数センチの苗が葉痛み完全ゼロです!
これでもし水浸しだったとしても全然大丈夫です。

少し葉先が赤いのは
夏場に傷んだものですので、
本当にこのユーカリの耐寒性は凄いです。

ちなみにvernicosaは非常に成長の遅い
超小型品種なので、この樹高であっても、
根はほぼパンパンになっています。

既に来春には5号鉢に植えかえようかな?
という状態ですので、
本当に色々と変わったユーカリです。


そして耐寒性最強クラスの評判を持つ、
pauciflora ssp. niphophilaの小苗です。

fancybox記事353の画像6

これも最も寒い場所に置いています。
わずか2センチ程度の幼苗で
用土は凍結していますが
これも全く問題のない状態です。

pauciflora系のユーカリは、
冬場に紅葉して色こそ変わりますが、
ほとんど痛みが出ることはありません。

逆に夏を乗り越えるのがとても難しく、
特にこのniphophilaは、私も一度しか
夏を乗り越えられたことがありません。

この幼苗も恐らく冬は問題なく越えられるでしょうが、
来年の夏が一番の山場になることでしょう。


次は寒さにはめっぽう強い
ツキヌキユーカリperrinianaです。

fancybox記事353の画像7

我が家では毎年冬場に
葉が傷んだことは一度もありません。

逆に夏場は苦手で、
かなり風通しを良くしておかないと、
葉がどんどんと汚くなっていきます。

この株はTasmanian Formとして
品種管理されているタネ屋から購入したものです。
小ぶりな葉が冬場には純白~水色に変わるのも、
Tasmanian Formの特徴になります。

本当にperrinianaの葉は
冬にこそ美しく映えます。


最後は意外にも寒さに強いユーカリたちです。

まずは耐寒性に難ありとわれている
pleurocarpaです。

fancybox記事353の画像8

比較的寒風の直撃を受ける場所に置いていますが、
現在のところ葉痛みはゼロです。

pleurocarpaは育苗初期には
葉にたくさんの毛が生えています。

この毛の生えた状態のときには、
耐寒性が弱く、寒風で激しく傷みます。

ところが葉の毛がなくなると
このように耐寒性がぐんと増します。

先日、pleurocarpaの耐寒性について
お問い合わせがありましたが、
このように安心して冬を乗り越えられますよ。

この株は他のユーカリに比べて、
かなり乾燥気味に管理しているので、
その効果も加わっているのかもしれません。


次はmoon lagoonalbidaです。

fancybox記事353の画像9

手前の葉の小さなものがmoon lagoon
左上に見えている大きな葉のものがalbidaです。

moon lagoonは元々寒風に弱いと言われています。

我が家の株は150cmを越える樹高がありますし、
水切れギリギリにまで乾燥させて育てていますので、
その効果もあるかもしれません。
昨晩の葉痛みはほぼゼロという結果です。

albidaの方は正直かなり耐寒性が高いです。
以前、家の最も寒い場所に置いていたことがありますが、
わずか10cm程度の幼苗でも問題なく越冬できました。

このように少し寒風をしのげる場所に置いている場合は、
葉痛みは全く起こりませんし、新芽が展開したりもします。

ただ冬季の過湿には弱いところがあり、
過湿気味に管理すると冬でも葉が散っていきますので、
その辺りは少し注意が必要です。

先述した小苗以外は
その他のユーカリにもほとんど被害なし、
寒さに弱いと言われるユーカリでも、
あまり大きな影響はありませんでした。

albidaの後ろから
少しだけ顔を覗かせているwebsterianaですが、
これは寒波の前日にたっぷり水を与えていました。

外観的にも全く問題ないレベルですが、
恐らくそのせいで少しだけ葉が傷みました。

前日の水遣りをもう少し待っていたら、
きっと葉痛みゼロだっただろうという感じです。

全体的に寒波の前日に水を与えていたかどうかが
葉痛みに最も大きく影響を及ぼしているように思います。

私は虫を飼っていることもありますので、
ほぼ毎日天気をチェックしていますが、
葉痛みを避けたい場合には、
毎日天気をチェックするのも良いかもしれませんね。

まだまだ寒くなることと思いますが、
皆さんも皆さんのユーカリたちも
達者に冬を乗り越えられますよう祈っています!

# by eucalyptus_k | 2014-12-18 16:31 | ユーカリ(栽培実績)
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樹高の伸びと下葉がなくなる問題

梅雨も終わりに差し掛かり、
大阪では軽く30℃を超える日がやってきました。

晴れの日には高温乾燥が好きな
西AZのユーカリを中心に
やっと面倒な梅雨が明けたかとばかりに
新芽の展開を進め始めています。

一部の湿地帯生息種で且つ高温が好きな品種以外は
基本的にユーカリは梅雨時期が苦手で、
多くの品種では葉が傷んだり、
冬の間の傷んだ葉を散らせたりします。

春に次いでこれから
ますます成長を進めていくわけですが、
30m~80mになるような大型品種の場合、
鉢植えでも放置すれば、
ほんの数年で数mになるものがあります。

我が家のベランダでも、

camaldulensis...3m
globulus ssp. globulus...3m
citriodora...3m
risdonii...3m
melliodora...3m
leucoxylon ssp. pruinosa...2.5m
viminalis ssp. viminalis...2.5m
globulus ssp. bicostata...2.5m
coolabah...2.5m
sideroxylon...2m
staigeriana...2m
smithii...2m
rudis...2m
cypellocarpa...2m
morrisbyi...2m
robusta...2m
subcrenulata...2m
maculata...1.7m
bridgesiana...1.8m

と軒並み2mオーバーのオンパレードで、
ほとんどが1.5mオーバー、
1m以内のものは数える程しかないという状況です。

fancybox記事327の画像1

fancybox記事327の画像2

ちょうどこちらの写真に写っている
物干し用の竿が2m弱くらいの高さになります。

先年、足場板で土台を組んで、
全体的な日照を向上させたのが良かったようです。

また毎年猛威を振るっていた、
うどんこ病ハダニの被害も
今年はほぼ皆無という状況で、
これも激しい成長に拍車をかけているようです。

さらに一部の2mオーバー級では、
末葉に変わるものまで出だしています。

fancybox記事327の画像3
末葉に変わりだしたsmithii

鉢は全てが6号スリット鉢で、
一部のものでは5号のものまであります。

通常であれば、鉢のサイズだけで見ると、
完全に根詰まり状態のはずなのですが、
スリット鉢の効果でしょうか。
もちろんそれなりに根はパンパンですが、
根詰まりで急を要するような株はありません。

ただこの大きさになってくると、
下葉はどんどんと落ちていき、
特に2.5~3m級のものでは、
上部1/3程度にしか葉がありません。

fancybox記事327の画像4
物干し竿から下はほとんど葉がないものが多い

ただどれも健康状態自体は悪くはなく、
3mというと完全に天井に頭を打つのですが、
頭を打って削られた頂点の成長はストップして、
その少し下くらいから脇芽を盛んに出しています。

fancybox記事327の画像5
天井に擦られて横から芽を出したcamaldulensis

私は鉢植え管理の宿命と割り切って、
あまり下葉の減少を気にしていませんが、
これは多くのユーカリを美しく育てたい方には、
大きな問題になっているようです。

これの打開策はプロでも悩むところと聞き及びますし、
私にも今のところ、良い案は浮かんでいません。

安全策を取るのであれば、
ある程度葉を残して、切ることですが、
そもそもかなり上部にしか葉がないわけなので、
所詮、妥協策でしかなく、年々下葉は減り続けます。

また上をいくら切り続けても、
下の方はどんどん木化が進んでいき、
下から枝が出るという成果には全く貢献できません。

ただ比較的風通しの良い場所にある、
melliodoraでは、半分以上も葉が残っていたりするので、
下部の風通しの改善などは若干効果があるかもしれません。

fancybox記事327の画像6
melliodoraの幹の下の方

それでも最終的には、限界を迎えて、
一か八かで、かなり下の葉のない部分で
バッサリ切ってしまうのもありなのでしょうが、
その方法で生き残るかどうかは本当に博打感覚です。

実は私はその方法を実行して、
今まで一度も枯らせたことはありませんが、
やはり相応の覚悟が必要になりますし、
時期を間違えるとダメになってしまうこともあります。

やはり先日の記事で書いたように、
「ユーカリは樹木である」という事実がある限り、
ある程度は仕方のないことなのかもしれません。

下の方の幹に傷を付けて、
そこから新芽を出させるという高等テクもありますが、
私は一度もうまくいったことはありません。

上の方の新芽部分をしつこく傷つけていると、
株元から芽が出るという実例もあるのですが、
これも本当にその株次第で絶対というわけではありません。

結局、全く解決策の提示ができないのですが、
もしユーカリが好きなら、
そんなユーカリの姿も受け入れて
楽しく育ててみるのはどうでしょうか?

何か良い方法がある場合、教えていただければ、
株数はありますので、色々と実験も可能です。

それでも、綺麗な樹形でなければ嫌だ!という方は、
とにかく低樹高の内から小まめな摘芯や剪定を心がけるか、
そもそも低樹高で収まる品種や脇芽を吹きやすい品種を
選択して育てるのが良いと思います。

我が家でも、脇芽の吹きやすいcrenulataや、
albida/moon lagoonなどでは、
100~180cm程度になっても、
割と綺麗な樹形を保つことができています。

fancybox記事327の画像7
crenulata(樹高150cm)

fancybox記事327の画像8
albida(樹高100cm)

fancybox記事327の画像9
moon lagoon(樹高130cm)

大型樹木を鉢植えで美しく育てる。
これは趣味の栽培者の永遠の課題ですね。

# by eucalyptus_k | 2014-07-02 16:25 | ユーカリ(栽培知識)
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Eucalyptus platypus(プラティパス)の水切れ

先日、こちらの記事で、
植え替え情報を紹介したてだったplatypusですが、
油断していて、いきなり水切れを出してしまいました。

植え替えのしたてで根が安定していないこともあったでしょうが、
理由は完全に水切れで、私の不注意と油断が原因です。

気づいたのが早かったので、
全枯れ-枯死には至りませんでしたが、
大体1/3くらいの葉に枯れが出てしまいました。

先日、ご紹介した時の写真が下のもの、

fancybox記事318の画像1

そして今回、枯れた葉を取り除いたものが下の写真です。

fancybox記事318の画像2

fancybox記事318の画像3

多くのユーカリでは水切れ前に、
葉が犬の耳のように垂れ下がったりなど、
ある程度のサインがあります。

また、ユーカリの多くは乾燥耐性が強く、
水切れで、しな垂れても、
そこまで速攻で葉枯れが出ることは少ないです。

ところが今回のこのplatypusや、
他ではMoon Lagoonkruseanaなどのように、
カラッとした質感で葉の硬い品種では、
その水切れのサインが全くわからないことがあります。

そしてplatypusMoon Lagoonは、
比較的水が大好きなユーカリのため、水切れも早く、、
特にplatypusでは乾燥耐性が非常に低いようです。

この株は昼の11時ごろに確認したときには、
鉢の表面こそカラカラでしたが、
鉢底のスリットから見える土はまだ良く湿っていました。

もう一日耐えられるかなと、その日は水を与えず、
次の日、用事で水遣りが少し遅めになって、
13時ごろ確認したところ、既に水が切れて、
葉枯れが出ていたという状況です。

今回のように1/3もの葉を枯らせたのは初めてですが、
実は以前にも、同じplatypusで、
1/5~1/6程度の葉を水切れで枯らせたことが何度もあります。

かなりの水食いで、すぐに葉がしな垂れるユーカリは結構あります。
ところがこんなに急速に葉枯れが出るユーカリは珍しいです。

本当に、このplatypusは水切れに対して、
かなりシビアなユーカリであると思います。

ちなみに水切れで、
ギリギリ間に合った場合の葉の症状例です。

fancybox記事318の画像4

発見が遅くて全てがカリカリになった場合は別ですが、
写真のように葉の一部は瑞々しいのに、
一部が枯れているというような状態になります。

過湿で根がやられてしまった場合には、
このような枯れ方にはならず、
全体的にカリカリになって枯れていきます。

とりあえず新芽部分に
あまりダメージがなかったのが救いです。

fancybox記事318の画像5

ボリュームもかなり控えめになり、
下葉の色も少し悪くなってしまいましたが、
新芽部分はまだまだイキイキしているので、
これも経験!ということで次への糧にしていきます。

fancybox記事318の画像6

fancybox記事318の画像7

しかしこのplatypus
乾燥を好む西AZのユーカリの仲間のはずなのですが、、、
特に水切れで気をつけていく必要がありますね。

とりあえずこれからが成長期ですから、
気持ちを新たに、仕切り直しです!

# by eucalyptus_k | 2014-04-27 01:52 | ユーカリ(栽培実績)
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最近の近況

最近本当に冷えてきましたね。
こう寒くなってくると
ユーカリの世話もとても暇になります。

毎年冬になると同じ事を書きますが、
本当に私はユーカリ育成初期の頃、
冬に水をあげすぎていたんだなと反省します。

現在の水遣りは、
2mを超えるような水好きの品種では
週に1~2回程度を鉢の上から与えますが、
1m以内程度の乾燥を好む西AZの品種では、
週に1回程度、鉢底のスリットから水を少しかける程度です。

一部、根張りが良く、鉢が小さめの下記の品種に限り、
1~2週に一回程度、鉢表面から水を与えます。

■ 80cm程度のalbida
■ 120cm程度と150cm程度のorbifolia
■ 80cm程度のwebsteriana
■ 160cm程度のerythrocorys
■ 140cm程度のcaesia ssp. magna
■ 80cm程度のMoon Lagoon
■ 樹高50cmでも幅も50cmのplatypus
■ 樹高80cm程度のuncinata

これでも十分すぎるほどで
日照の悪い我が家のベランダの話ではありますが、
どれほど水を吸わないかが良く分かります。

比較的、耐寒性が高いと言われながら、
我が家では、毎年早いうちから葉が赤く染まり、
0℃程度でも結構葉の散っていた、
viminalis/nicholii/bridgesiana/neglectaなども、
水を減らしてからは、全くそのような兆候が見られません。

特にneglectaは最強クラスの耐寒性が特徴と言われますが、
東AZには珍しく、かなり乾燥に耐えることができるので、
乾燥した環境があってこその強い耐寒性のようです。

一方ではかなり冷涼地の湿地帯に生息している、
ovatacamphoraなどは、本当に夏の調子はさっぱりですが、
この時期でも他と比べるとかなり早いペースで水を吸います。

我が家のovatacamphoraはまだ樹高が60cm以下で
鉢はそこそこ大きめの鉢に植えているにも関わらず、
コンスタントに週一回程度の水遣りを行っています。

恐らくこれ以下でも問題なく生存できるでしょうし、
これ以上でも耐えることができるでしょう。

この2種に関しては、今の時期でも、新芽を吹くので、
思った以上に冷涼湿潤な環境が好きなようです。

もうユーカリを育て始めて5年近くになりますが、
最近になってやっと理解・納得のできた、
個々のユーカリの性質が本当にたくさんあります。

まだまだ勉強と経験あるのみですね!

寒い中、私はちょっと体調を崩し気味で、
記事の更新もかなり遅れ気味になっていますが、
皆さまは体調に十分気をつけて、
寒い日々を達者にお過ごしくださいね

# by eucalyptus_k | 2013-12-18 12:14 | ユーカリ(栽培実績)
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