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樹高の伸びと下葉がなくなる問題

梅雨も終わりに差し掛かり、
大阪では軽く30℃を超える日がやってきました。

晴れの日には高温乾燥が好きな
西AZのユーカリを中心に
やっと面倒な梅雨が明けたかとばかりに
新芽の展開を進め始めています。

一部の湿地帯生息種で且つ高温が好きな品種以外は
基本的にユーカリは梅雨時期が苦手で、
多くの品種では葉が傷んだり、
冬の間の傷んだ葉を散らせたりします。

春に次いでこれから
ますます成長を進めていくわけですが、
30m~80mになるような大型品種の場合、
鉢植えでも放置すれば、
ほんの数年で数mになるものがあります。

我が家のベランダでも、

camaldulensis...3m
globulus ssp. globulus...3m
citriodora...3m
risdonii...3m
melliodora...3m
leucoxylon ssp. pruinosa...2.5m
viminalis ssp. viminalis...2.5m
globulus ssp. bicostata...2.5m
coolabah...2.5m
sideroxylon...2m
staigeriana...2m
smithii...2m
rudis...2m
cypellocarpa...2m
morrisbyi...2m
robusta...2m
subcrenulata...2m
maculata...1.7m
bridgesiana...1.8m

と軒並み2mオーバーのオンパレードで、
ほとんどが1.5mオーバー、
1m以内のものは数える程しかないという状況です。

fancybox記事327の画像1

fancybox記事327の画像2

ちょうどこちらの写真に写っている
物干し用の竿が2m弱くらいの高さになります。

先年、足場板で土台を組んで、
全体的な日照を向上させたのが良かったようです。

また毎年猛威を振るっていた、
うどんこ病ハダニの被害も
今年はほぼ皆無という状況で、
これも激しい成長に拍車をかけているようです。

さらに一部の2mオーバー級では、
末葉に変わるものまで出だしています。

fancybox記事327の画像3
末葉に変わりだしたsmithii

鉢は全てが6号スリット鉢で、
一部のものでは5号のものまであります。

通常であれば、鉢のサイズだけで見ると、
完全に根詰まり状態のはずなのですが、
スリット鉢の効果でしょうか。
もちろんそれなりに根はパンパンですが、
根詰まりで急を要するような株はありません。

ただこの大きさになってくると、
下葉はどんどんと落ちていき、
特に2.5~3m級のものでは、
上部1/3程度にしか葉がありません。

fancybox記事327の画像4
物干し竿から下はほとんど葉がないものが多い

ただどれも健康状態自体は悪くはなく、
3mというと完全に天井に頭を打つのですが、
頭を打って削られた頂点の成長はストップして、
その少し下くらいから脇芽を盛んに出しています。

fancybox記事327の画像5
天井に擦られて横から芽を出したcamaldulensis

私は鉢植え管理の宿命と割り切って、
あまり下葉の減少を気にしていませんが、
これは多くのユーカリを美しく育てたい方には、
大きな問題になっているようです。

これの打開策はプロでも悩むところと聞き及びますし、
私にも今のところ、良い案は浮かんでいません。

安全策を取るのであれば、
ある程度葉を残して、切ることですが、
そもそもかなり上部にしか葉がないわけなので、
所詮、妥協策でしかなく、年々下葉は減り続けます。

また上をいくら切り続けても、
下の方はどんどん木化が進んでいき、
下から枝が出るという成果には全く貢献できません。

ただ比較的風通しの良い場所にある、
melliodoraでは、半分以上も葉が残っていたりするので、
下部の風通しの改善などは若干効果があるかもしれません。

fancybox記事327の画像6
melliodoraの幹の下の方

それでも最終的には、限界を迎えて、
一か八かで、かなり下の葉のない部分で
バッサリ切ってしまうのもありなのでしょうが、
その方法で生き残るかどうかは本当に博打感覚です。

実は私はその方法を実行して、
今まで一度も枯らせたことはありませんが、
やはり相応の覚悟が必要になりますし、
時期を間違えるとダメになってしまうこともあります。

やはり先日の記事で書いたように、
「ユーカリは樹木である」という事実がある限り、
ある程度は仕方のないことなのかもしれません。

下の方の幹に傷を付けて、
そこから新芽を出させるという高等テクもありますが、
私は一度もうまくいったことはありません。

上の方の新芽部分をしつこく傷つけていると、
株元から芽が出るという実例もあるのですが、
これも本当にその株次第で絶対というわけではありません。

結局、全く解決策の提示ができないのですが、
もしユーカリが好きなら、
そんなユーカリの姿も受け入れて
楽しく育ててみるのはどうでしょうか?

何か良い方法がある場合、教えていただければ、
株数はありますので、色々と実験も可能です。

それでも、綺麗な樹形でなければ嫌だ!という方は、
とにかく低樹高の内から小まめな摘芯や剪定を心がけるか、
そもそも低樹高で収まる品種や脇芽を吹きやすい品種を
選択して育てるのが良いと思います。

我が家でも、脇芽の吹きやすいcrenulataや、
albida/moon lagoonなどでは、
100~180cm程度になっても、
割と綺麗な樹形を保つことができています。

fancybox記事327の画像7
crenulata(樹高150cm)

fancybox記事327の画像8
albida(樹高100cm)

fancybox記事327の画像9
moon lagoon(樹高130cm)

大型樹木を鉢植えで美しく育てる。
これは趣味の栽培者の永遠の課題ですね。

# by eucalyptus_k | 2014-07-02 16:25 | ユーカリ(栽培知識)
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最近の近況

最近本当に冷えてきましたね。
こう寒くなってくると
ユーカリの世話もとても暇になります。

毎年冬になると同じ事を書きますが、
本当に私はユーカリ育成初期の頃、
冬に水をあげすぎていたんだなと反省します。

現在の水遣りは、
2mを超えるような水好きの品種では
週に1~2回程度を鉢の上から与えますが、
1m以内程度の乾燥を好む西AZの品種では、
週に1回程度、鉢底のスリットから水を少しかける程度です。

一部、根張りが良く、鉢が小さめの下記の品種に限り、
1~2週に一回程度、鉢表面から水を与えます。

■ 80cm程度のalbida
■ 120cm程度と150cm程度のorbifolia
■ 80cm程度のwebsteriana
■ 160cm程度のerythrocorys
■ 140cm程度のcaesia ssp. magna
■ 80cm程度のMoon Lagoon
■ 樹高50cmでも幅も50cmのplatypus
■ 樹高80cm程度のuncinata

これでも十分すぎるほどで
日照の悪い我が家のベランダの話ではありますが、
どれほど水を吸わないかが良く分かります。

比較的、耐寒性が高いと言われながら、
我が家では、毎年早いうちから葉が赤く染まり、
0℃程度でも結構葉の散っていた、
viminalis/nicholii/bridgesiana/neglectaなども、
水を減らしてからは、全くそのような兆候が見られません。

特にneglectaは最強クラスの耐寒性が特徴と言われますが、
東AZには珍しく、かなり乾燥に耐えることができるので、
乾燥した環境があってこその強い耐寒性のようです。

一方ではかなり冷涼地の湿地帯に生息している、
ovatacamphoraなどは、本当に夏の調子はさっぱりですが、
この時期でも他と比べるとかなり早いペースで水を吸います。

我が家のovatacamphoraはまだ樹高が60cm以下で
鉢はそこそこ大きめの鉢に植えているにも関わらず、
コンスタントに週一回程度の水遣りを行っています。

恐らくこれ以下でも問題なく生存できるでしょうし、
これ以上でも耐えることができるでしょう。

この2種に関しては、今の時期でも、新芽を吹くので、
思った以上に冷涼湿潤な環境が好きなようです。

もうユーカリを育て始めて5年近くになりますが、
最近になってやっと理解・納得のできた、
個々のユーカリの性質が本当にたくさんあります。

まだまだ勉強と経験あるのみですね!

寒い中、私はちょっと体調を崩し気味で、
記事の更新もかなり遅れ気味になっていますが、
皆さまは体調に十分気をつけて、
寒い日々を達者にお過ごしくださいね

# by eucalyptus_k | 2013-12-18 12:14 | ユーカリ(栽培実績)
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ユーカリの幹が太らない?

最近、「ユーカリの幹が太らない!」
というお問い合わせをいくつかいただいています。

確かに私もたくさんユーカリを育てていますが
支柱をせずに自立するようなユーカリは
本当にわずかしかありません。

この理由はいくつか考えられますが、
まずほとんどのユーカリは
かなりの大型樹木であるということがあります。

特に日本で良く見かけるユーカリは
どれも大きくなるものばかりです。

gunnii(グニー)...25m程度
globulus(グロブルス)...45~70m超
polyanthemos(ポポラス)...20m程度
cinerea(銀丸葉)...20m程度
citriodora(レモン)...50m程度
bridgesiana(アップルボックス)...25m程度

どれも家の2階なんて
簡単に超えてしまうようなサイズですね。

良く聞くのが、2~3mでも
幹が一向に太らないというお話ですが、
これらのユーカリにとって、
2~3mなんてまだまだ子供で、
苗木レベルでしかないということになります。

サクラなどの植樹を思い浮かべていただくとわかりますが、
数メートル程度の苗木はそれはそれはヒョロヒョロで
どれもしっかりと支柱や添え木がされていると思います。

丁度これと全く同じ状態になるのです。

幹を早く太らせるためには
環境やその他様々な要因も絡んでくると思いますが、
樹木は先に背丈を伸ばそうとする性質が強いので、
相応に年月をかけて太らせていくものだとご認識ください。

だって、考えてもみてください。

ユーカリ自体は、20m以上の高い樹高を目指して、
どんどん枝や葉を出して樹高を伸ばそうと頑張っているのに、
わずか2~3mで新芽を摘まれたり、
剪定で樹高を抑えられてしまうので
幹を太らせる余裕なんて中々ないというわけです。

おまけにそれが鉢植えだったり、
いくら地植えでも、根を伸ばせば
すぐに家の基礎や壁、他の植物の根があるような場所では、
なかなか根も満足に伸ばせないので、
もちろん幹を太らせる力も満足に出せないのです。

gunniiは先述した通り25m級のユーカリですが、
良くご近所のお庭に植わっているgunnii
25mになっているものなんてほとんどないと思います。

恐らく、樹高は2~4m程度で止まり、
幹もとても細くヒョロヒョロしていると思います。

これは上記の要因の通り、小まめな剪定のたまものでもあり、
日本の庭がどうしても狭いという事情によるものでもあります。

試しに広い畑の真ん中にgunniiを地植えした人がいますが、
何も邪魔をするものもなく、ふんだんに根を伸ばすことができ、
日光もガンガン浴びることのできるそんなベストな環境では、
3年程度の短期間で簡単に電信柱を超えたそうです。
もちろんこのような株は幹も早く太ります。

ソースは忘れてしまいましたが
大型樹木の成長の変遷として、
樹高を伸ばす→葉を茂らす→幹を太らす
という大まかな順序があったかと思います。

そのため、大きな樹木であるユーカリは
まず樹高を伸ばすことに必死で
幹を太らすのは後回しになるというわけですね。

5年前に近所で見つけた地植えのgunniiがあります。

その当時このgunniiは良く見かける通りヒョロヒョロで
それはそれは頼りない印象がありました。

そのお宅は植木屋さんの親戚がいるので、
毎シーズン見事に剪定を行っており、
いつ見ても3m程度の樹高に収まっていました。

そして5年が経過して、先日見たそのgunnii
樹高は5年前と全く同じく3m程度で収まっていましたが、
幹はとても太くなり、とても立派な木になっていました。

このように、根気良く管理を続けていれば
いつかは必ず立派な幹になるものです。

あと、日本ではあまり見かけないレアなユーカリで
最高樹高が2~4m程度という品種がいくつかあります。

このようなユーカリは品種ごとの性質にもよりますが、
比較的早い段階で幹が太り、自立しやすいものが多いです。

我が家でも250cmを超えるcamaldulensis
株元の直径はわずか1.5cm程しかありませんが、
70cmのalbidaの株元の直径は2.5cm以上、
120cmのcaesia ssp. magnaの株元の直径は4cm以上、
100cmのmacrocarpaの株元の直径も4cm以上あります。

camaldulensisは45m級の大木品種ですから、
250cmでもわずか1/18しか成長していません。

ところが、macrocarpaであれば、3m程度ですから、
既に樹高の1/3は成長しているわけです。

その他では、日本はオーストラリアよりも
かなり湿潤でジメジメしているので、
現地よりも根張りが悪くなる傾向があり、
地植えでも徒長しやすいという話もあります。

このような理由により、
多くのユーカリはちょっと幹が太りにくいのですが、
ぜひ根気よく育てていってみてください。

# by eucalyptus_k | 2013-06-10 18:13 | ユーカリ(栽培知識)
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【品種別栽培ガイド-10】
ユーカリ・アップルボックス (Eucalyptus bridgesiana)

続きまして第10回目は
ユーカリ・ブリジシアナです。

◎ユーカリ・アップルボックス
【学名:Eucalyptus bridgesiana】
【英名:Apple Box / Apple Gum】
fancyboxブリジシアナ(Eucalyptus bridgesiana)の画像1

【品種情報】
最高樹高:20m前後
樹形:Tree(木立)型
親葉への変化:逆ハート型の丸葉~柳型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性~中性(5.5-7.5)


【生息地情報】
地域:New South Wale東部全域、Victoria東部
夏季最高気温:最高値40℃、平均値28℃
夏季最低気温:最低値4℃、平均値14℃
冬季最高気温:最高値19℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-9℃、平均値2℃
年間降水量:650~1000mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度でも何とか育てられますが、
日照が悪いといつまでも小さな葉のままで貧弱になります。
また葉の緑色が濃くなり、美しい白銀色がうまく出ません。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、縦長の方がパフォーマンスは出ます。
他のユーカリに比べると、横広の鉢でも
パフォーマンスの低下があまりありません。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。

・植え替え
植え替えに対しての耐性は強い方ですが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、吸水力が激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
葉のシネオール分が少ないためか、
新芽を中心にアブラムシが発生したり、
尺取虫や蓑虫などの食害が出ることもあります。

・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、簡単に家の二階を超えます。

・耐寒性
地植えの成樹で-10℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
鉢植えの場合は、東北や北海道の寒地では
屋外越冬は難しいかもしれません。

・成長力
鉢植えであれば、最高で年40~60cm以上。
かなり成長の激しいユーカリです。
地植えすると1年で1mを簡単に超えるでしょう。
地植えの場合は、思ったより成長が激しいので
ある程度の覚悟と注意が必要です。

・開花
日本では開花したという情報を聞いたことがありません。
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
蕾や実は全く粉を吹かないのが特徴です。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、葉の周囲が、ヨレヨレになることがあります。
また、そのような葉は緑色が強くなってしまいます。
そのような葉には、うどんこ病が発生することもあります。
丈夫で白みの強い葉にするためには良く日光に当ててください。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
決して弱くはないですが、日本の高温多湿な夏は、
どちらかというと苦手なので、
過湿による根の蒸れに十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
夏場は少し成長が控え目になります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒地では葉が赤紫色に紅葉することもあります。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
日光が控え目の場合には、葉の緑色が強くなり、
ヨレヨレの貧弱な葉になってしまいますが、
それでもそれなりに成長を続けてくれます。
あまり枯れる気のしないユーカリの一つです。

個人的には、gunniiよりも
さらに日本に合っている印象なので、
成長はとても激しく感じられると思います。

春・秋の暖かい時期には良く水を吸いますが、
夏場は成長がかなり控えめになり、
思ったより水を吸わなくなることがあります。

葉の精油含有量が少ないため、
ユーカリには珍しく、虫害に合いやすいところがありますが、
深刻になることはなく、成長力で十分カバーできます。

とにかく成長が激しく、簡単に育てられるユーカリです。
良く日光に当てた葉は厚みが出てきて、
美しく魅力的な銀葉へと育っていきます。
美しく育った銀葉は花材にも利用されています。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。


※情報は適宜追加・変更します。

 
# by eucalyptus_k | 2013-01-22 13:20 | 品種別栽培ガイド
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タネ播きの適期・適温

最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。

当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。

良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。

ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。

1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です

主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata

これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。

ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。

ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。


2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana

どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。

これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。

グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。

これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。

また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。

このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。

冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。

ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。

一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensdalrympleananitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。

主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona


これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。

このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。

ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。

また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。


4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah


どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。

これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。

これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis

これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。

逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。

どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。


今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。

タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
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